横浜弁護士会新聞

2011年12月号  −3− 目次

刑弁塾 勉強会のテーマを募集中
 刑弁塾は、刑事弁護センター運営委員会とは別の私的な勉強会で、秘密結社やカルト集団では勿論ない。現在、毎月1回最終金曜日に午後6時から8時まで当会会館内で開講し、毎回20人前後が参加している。入会金等は無く、参加は自由、飛び込みや司法修習生の参加も歓迎している。
 勉強会のテーマは、刑事尋問技術、無罪事案の検討、控訴審での弁護など多岐に渡る。参加は簡単、会員メーリングリストに流れる「開催のお知らせ」を見て、来るだけである。
 勉強会の最後には個別事案の悩みを相談する時間があり、勉強会後に懇親会もあるので、個別事案についても自由に相談ができる。
 9月30日には、裁判員裁判で責任能力を争った事案の報告会を行った。この回は、精神鑑定書の信用性が争われた場合に、立証について、実際の論告、弁論、判決を踏まえどのような点を注意すべきかであったか、責任能力を争う場合どのような証拠を集めるべきか等について議論をした。
 また10月28日には情状弁護の基礎について講義を行った。この回は、「反省している」「若い」等の情状について、そのまま主張した場合に裁判員がどう受け止めるのか、どのような言葉で説明すれば裁判員にも有利な情状として伝わるのか等について議論をした。
 勉強会のテーマは随時募集しているので、希望があれば幹事の古宛(nagai.amano-lawfirm@nifty.com)に遠慮なくご連絡頂きたい。
 刑弁塾ではメーリングリストも開設しており、随時他の弁護士に質問ができる。「執行猶予中に海外旅行に行けるか」「不起訴処分告知書は郵送でもらえるか」、分かる方は回答者として、分からない方は質問者として是非御参加して頂きたい。参加は簡単、幹事の澄川宛(att-mlist@sumikawa.net)に「刑弁塾メーリングリスト登録希望」という件名で名前と登録を希望するアドレスを書いてメールを送るだけである。
 今年度は、12月22日、平成24年1月27日、2月24日、3月29日に開講を予定しているので是非ご参加ください。
(会員 古 梓)

よろず相談を気軽に 三会合同相談会
 10月22日午前10時から午後4時まで、かながわ県民センターにおいて、当会、神奈川県司法書士会及び東京地方税理士会による三会合同相談会が開催された。本相談会は平成9年からスタートし、毎年1回秋に行われ、今年で15回目を迎える。
 今回は午前中に雨が降ったにもかかわらず、開始前から相談希望者が多数訪れ、全部で80人を超える市民が相談をした。弁護士は午前8人・午後4人、税理士は午前午後とも3人、司法書士は午前午後とも2人の相談員が対応した。本相談会は相談料無料、予約も不要であり、法律、税務、登記に関する総合的なよろず相談を気軽にできる貴重な場となっている。
 今回も、相続案件などで複数の専門家に相談をする市民がおり、また、相談を終えて相談員やスタッフに笑顔で「ありがとうございました」と言って帰って行く相談者が多かった。
 本相談会は、三会の担当者が打合せを重ねて準備をしたうえで実施されており、三会の交流としても一定の意義がある。
(伴 広樹)

新こちら記者クラブ 事件の風化
 「坂本弁護士事件報道記録」。神奈川県警が1996年3月に発行したA4判全212ページの冊子は、黄色く変色していた。
 坂本堤弁護士(当時33歳)、妻の都子さん(当時29歳)、長男の龍彦ちゃん(当時1歳)が新潟、富山、長野県内の雑木林などでそれぞれ見つかったのは、1995年9月。報道記録を読み進めながら、捜索の様子を伝えるテレビにくぎ付けになっていた当時を思い出した。龍彦ちゃんの遺体だけがなかなか見つからず、やきもきしたことを覚えている。
 入社した2007年、新人記者として磯子警察署の担当となった。横浜市磯子区内で起こる火災や事故の現場を駆け回る日々が続いた。秋頃だったと思う。署の警察官に教えられて初めて、坂本弁護士一家が住んでいたのが同区洋光台のアパートだと知った。
 普段の取材で事件のことが話題に上ることはなかったが、今でも、事件の話を向けると、せきを切ったように当時のことを語り出す警察官は少なくない。龍彦ちゃんの捜索現場では、土の中から樹木の根毛が出るたびに「龍彦ちゃんの髪の毛ではないか」と、鑑定を行ったという。
 今年11月、事件を巡る裁判はすべて終了する見通しとなっている。11月3日、鎌倉市円覚寺で営まれた坂本弁護士一家の23回忌法要があった。参列した弁護士が「事件を知らない新人弁護士もいる」と漏らしていたのが印象に残っている。「事件を風化させない」ことの難しさを、改めて突きつけられたような気がした。
(読売新聞 阿部 真司)

常議員会のいま 一票の重さ
会員 羽生 達之(58期)
 常議員会は、毎月1回のペースで行われ、1回に費やされる時間はほぼ3時間である。審議内容は弁護士会内部にかかわる財政や規則の問題、裁判員制度や民法改正など法制度の根幹にかかわる問題など多岐にわたっているが、上程される議案は毎回10件程度である。
 そのなかで、毎回といってよいほど上程されるのが、入会申込者入会許否の件である。
 入会申込者にインタビューした結果(当会への入会動機や公益活動への参加意思など)が副会長から報告され、常議員全員が経歴書を閲覧することになる。
 今まで特に異論が出たことはなく、このような場合は、わざわざ挙手による採決まではしない。他方、少しでも異論が出る場合は、必ず決を採るものの、賛否拮抗することはあまりない。
 しかし、先日の常議員会では、ある議案をめぐって激論が戦わされた。規則の法解釈なども議論の対象になり、さすが法律家の集団だなあなどと感心しているうちに、挙手による採決となった。
 どちらの意見ももっともであり、他人の意見に流されやすい自分の優柔不断な性格もあいまって、最後までどちらの立場に与するか悩んだ。
 激論が戦わされたことを反映して、採決の結果はなんと可否同数となった。
 結局、議長決裁となったが、もし、あの時、私が反対の立場に挙手していたら結論は大きくかわったのであり、一票の重さを痛感するとともに、常議員としての責任の重大性を感じざるを得なかった。
 すでに常議員会も後半に入っており、より一層気を引き締めて臨みたい。

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