横浜弁護士会新聞

2011年12月号  −1− 目次 

日韓における弁護士の業務領域の拡大について意見交換 当会・京畿(キョンギ)中央地方弁護士会 第9回交換訪問記念セミナー
 10月14日、韓国の京畿(キョンギ)中央地方弁護士会(以下「京畿弁護士会」という)から京畿弁護士会弁護士ら一行18名が当会を訪問した。
 両会の交流会は9回目で、京畿弁護士会が当会を訪問するのは5回目となる。
 京畿弁護士会一行は午後1時半に当会会館に到着し、出迎えた当会会員らから熱烈な歓迎を受けた後、横浜地方裁判所及び横浜地方検察庁を表敬訪問した。
 午後3時40分より当会会館にて共同セミナーが開始された。今回の共同セミナーのテーマは「弁護士の業務領域の拡大」についてであった。
 セミナーではまず高橋理一郎会員とイ・ゼジン弁護士の基調報告が行われた。
 司法改革に伴う弁護士数の増加や社会からの要請に伴い、これまでの訴訟業務だけではなく裁判外業務や紛争予防業務などに弁護士の活動領域を拡大すべく業界全体を挙げて取り組むべき問題であることがお互いに確認された。
 韓国側の報告では、大韓弁護士協会による専門分野登録制度の制定や一定規模の上場会社に経営透明性向上のために遵法支援人の雇用を義務付ける遵法支援人制度の立法化など示唆に富む制度の紹介がなされた。
 基調報告に続いて、基調報告者を含めた双方3名ずつのパネリストによるディスカッションがなされた。
 韓国では近く第1期のロースクール卒業生が輩出される見込みであり、ロースクール卒業生は日本で言う司法研修を経ることなくそのまま弁護士登録されるようである。この点に関し、韓国側から日本のロースクールを卒業した登録弁護士の業務能力についての質問がなされるなど活発な議論が交わされた。
 最後に会場からの質疑応答が行われ、FTAによる法律市場の解放による弁護士業務への影響や遵法支援人制度の在り方などについて双方の弁護士から忌憚ない意見交換がなされた。同時通訳を採用したことで通訳の時間を待つことなく密度の濃い議論ができた。
 午後7時からは会場をメルパルク横浜に移し、記念パーティーが行われた。小島周一会長及び京畿弁護士会ウィ・チョルファン会長のあいさつの後、記念品交換が行われた。
 パーティーは着席形式で行われ、各テーブルで日韓の弁護士同士の交流がなされた。また、生バンドの演奏も催され、華やかかつ和やかな雰囲気の中パーティーは終了した。
 今回の共同セミナーのテーマは両会の弁護士にとって関心が高く、真に時宜を得たものであった。
 他国の制度との比較の中で我が国の制度の在り方について改めて気付かされる点も多く、国際交流の必要性を実感させられた大変意義のあるセミナーであった。
(会員 岡部 健一)

就職応援会 大盛況のうちに幕
 司法修習生の就職状況は年々厳しさを増しており、64期司法修習生にいたっては、8月25日時点で、43%が就職未定との新聞報道がなされている。まさに未曾有の就職氷河期である。このままでは、弁護士のOJTの機会は失われ、弁護士の質の低下を招きかねない。そこで、就職問題プロジェクトチームでは、2月に開催した合同就職説明会に加えて、さらなる司法修習生の就職支援のための企画を立ち上げようということになり、10月7日、当会初の企画となる「就職応援会」を開催した。
 「就職応援会」とは、64期司法修習生と採用予定事務所の弁護士とを引き合わせることと、参加弁護士から司法修習生に対し、就職に関する情報を提供することを目的とする懇親会である。当日は、関連委員会から多数の会員に集まってもらった。また、司法修習生に対する告知は、当会ホームページに2週間掲載しただけであったにもかかわらず、実に40名もの司法修習生が参加し、大規模な懇親会となった。
 「就職応援会」は立食形式で行われたが、司法修習生も積極的に採用予定事務所の弁護士にアプローチしたり、参加弁護士から情報収集するなど、活発な活動が繰り広げられた。1時間半という時間はあっという間に経過し、就職応援会は大盛況のうちに幕を閉じた。
 司法修習生に対するアンケート結果を見ても、概ね満足を得ており、初めての試みとしては大成功に終わったのではないかと自負している。あとは、「就職応援会が縁で就職が決まりました!」という声が1つでも多く届くことをただただ祈るばかりである。
 就職問題は、既に、弁護士として稼働している我々にとっては関心の薄い問題かもしれないが、司法修習生にとっては深刻な問題である。
 何十通という履歴書を送っても、面接すらしてもらえず、二回試験が目前であるにもかかわらず、就職が決まらず、二回試験の勉強に集中したいのに、就職活動も平行して行わなければならない。
 司法修習生は今も悲痛な叫びをあげている。会員の方々にも是非、司法修習生の声に耳を傾けていただき、就職問題に関心を持っていただければ幸いである。
(就職問題プロジェクトチーム副座長 会員 坂本 正之)

山ゆり
 2011年が幕を閉じる。まったく、何という年だったのか。この年は、日本の歴史の中で、永遠に忘れられない年の一つとして、記憶されていく
計画停電の闇の中で、この国の行く末を思って、不安に震えた人も多いだろう。私はといえば、3月には、妻子を連れて海外に避難することを、かなり真剣に考えていた。日本人が、祖国を、故郷を棄てて生きていかなければならないのかもしれない。まるで、子どものころ読んだ「日本沈没」だ。そんな思いに、絶望的な気持ちが鎮まらなかったことを思い出す
いま、日本の片隅で、家族と共に新年を迎えられるのは、本当に幸運なことなのだと、改めて思う。多くの人が亡くなり、いまも故郷に帰ることがかなわない人が大勢いることを考えると、同胞として胸が痛むが、だからこそ、災厄を生き延び、被害を免れた者として、その幸運を、失ったものと共に心に刻んで、前に進むしかないサンタクロース
この先、私たちは、何度も、2011年を、苦難の出発点として振り返ることになるかもしれない。しかし、少なくとも、災厄の年は、もうすぐ終わるのだ。来る年を、長い再生の一歩を踏み出す、始まりの年として、迎えたい。
(工藤 昇)

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