横浜弁護士会新聞

2011年11月号  −2− 目次

中小企業が注意すべき下請法のポイント10 中小企業向けシンポジウム
 9月16日、神奈川中小企業センタービルにおいて、当会と日弁連の主催により中小企業向けシンポジウムが開催された。「下請法のポイント10」と題し、中小企業が「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」との関係で、下請取引等にあたり留意すべきポイントが今回のテーマであった。
 まず、常磐重雄会員による下請法に関する基調講演がなされた。公正取引委員会による運用状況などの具体的データも踏まえつつ、どのような取引に下請法の適用があるのか、どのような行為が下請法違反となるのか、中小企業としてどのように対処したらよいか等について、具体例も折りまぜながら説明がなされた。
 引続き、佐々木光春会員の司会の下、常磐会員、神奈川産業振興センター経営相談室主査の石村恵尚氏および中小企業診断士で経営コンサルタントの長谷川進氏の3氏によるパネルディスカッションが行われた。石村氏からは、神奈川産業振興センター(下請かけこみ寺)に寄せられる下請法関連の相談の実績や傾向などが、長谷川氏からは、IT企業に在籍していた自身の経験も踏まえ、プログラム開発委託の現場における下請取引の実態などの説明がなされ、下請取引にあたって持つべき心構えなどについて意見が出された。
 今回のシンポジウムでは中小企業の関係者など52名の出席者があり、大盛況のうちに終わり、中小企業だけでなく、参加した当会会員からも大変有意義な内容であったとの声が寄せられていた。
(会員 糸井 淳一)

関弁連定期弁護士大会開催される
 9月30日、京王プラザホテルにおいて、平成23年度関東弁護士会連合会定期弁護士大会が開催された。
 当日は、定期弁護士大会に先立ち、恒例となっているシンポジウムが開催された。本年度は『これからの法教育─教育現場、研究者と法律実務家との連携─』をテーマとして、法教育に関する報告・パネルディスカッションが行われた。
 シンポジウムの第1部は、法教育の意義と普及に向けた課題について基調報告が行われ、第2部では、杉並区立和田中学校での法教育に関する実践授業の報告が行われ、授業を担当した同中学校教諭杉浦元一氏や福井大学准教授橋本康弘氏らによる解説が加えられた。第3部では海外における法教育についての報告に続いて、法教育普及のための戦略をテーマとして、京都大学大学院教授土井真一氏、筑波大学附属中学校副校長館潤二氏らをパネリストとするパネルディスカッションが行われ、シンポジウムは盛況のうちに終了した。
 午後に行われた定期弁護士大会では、諸報告に加え、法教育の普及に向けた宣言と東日本大震災及び原子力発電所事故の被災者救済についての宣言が討論の上賛成多数で採択されるとともに、外国人の人権及び東京高裁管内の司法基盤の充実に関する決議が行われ、滞りなく終了した。
 次年度は千葉県弁護士会主催での開催が予定されている。
(会員 山田 一誠)

有料老人ホーム・高齢者専用賃貸住宅 トラブル110番
 日弁連の消費者問題対策委員会と高齢者・障害者の権利に関する委員会の呼びかけにより、9月15日、午前10時から午後4時まで、全国45の弁護士会で「有料老人ホーム・高齢者専用賃貸住宅トラブル110番」が一斉に実施された。
 当会でも、消費者問題対策委員会と高齢者・障害者の権利に関する委員会の共催で相談が実施されたが、当日は、NHKのラジオやテレビのニュースで110番の実施が報道された影響もあり、午後にかけて多くの電話相談があった。当会への相談総数は10件でうち5件は高齢者住宅・施設関係の相談であった。
 今回の相談実施に先だち、9月7日、日弁連高齢者障害者の権利に関する委員会、高齢者・障がい者の住宅問題PTの八杖友一弁護士、消費者問題対策委員会中野和子弁護士によるライブ研修も実施された。高齢者に関する住宅や施設の制度は、種類や内容が複雑で、理解が容易ではないが、この研修では、高齢者の住宅、施設の制度を丁寧に整理されており、加えて高齢者の住宅、施設で問題となりやすい法的事案についても、わかりやすく解説されていて、これだけでもかなり画期的な企画であった。
 高齢化が進む中、今後もこのような企画を通じ、当会としてもより一層高齢者の権利擁護に貢献すべきである。
(会員 菊地 哲也)

知って下さい セクハラ防止規則
 9月9日、当会において、人権擁護委員会両性平等部会が主催するセクシャルハラスメント研修会が行われた。研修会では、最初に同部会副部会長斉藤秀樹会員から、「セクシャルハラスメントの防止に関する規則」(以下「セクハラ規則」という。)の説明があり、続いて同部会の本田正男会員から、セクハラ対策について講義が行われた。
 当会は、セクハラ規則、細則、指針を定め、会内のセクハラの発生を未然に防止するとともに、万一、問題が生じた際にも、被害者のプライバシーを保護しながら適切にこれに対処するため、専門の「相談員」が相談を受ける制度を策定した。
 相談員に相談できるのは(1)司法修習生(2)法科大学院のカリキュラムに基づき会員の事務所で研修を行う法科大学院生(3)会員の事務所に勤務する事務職員(4)当会に勤務する職員(5)当会所属会員である。相談員には、当会の会員10名が就任した。
 しかし、セクハラ規則で問題がすべて解決するわけではなく、弁護士自身のコンプライアンスが重要である。相手が嫌がるかどうかをきちんと配慮することが基本であり、男女の感覚の違いを踏まえ、相手の立場を思いやることが必要である。
 今回の研修には約30名の会員が参加した。今回参加していない会員にも、セクハラ規則や指針についてよく知ってもらいたい。
(会員 湯山 薫)

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