暴力団対策は、暴力団対策法の制定などにより一応の効果を上げてはきたものの、暴力団の勢力はまだまだ衰えることはなく、社会の様々な分野において悪影響を与え続けている。神奈川県においても、暴力団員等による銃器発砲殺人事件が発生するなど、依然として、暴力団が市民生活や企業・行政活動に対する重大な脅威となっている。 |
このような背景の中、社会全体で暴力団を排除していかなければ抜本的な対策にはならないとの気運の高まりを受けて、福岡県を皮切りに全国47都道府県全てで暴力団排除条例が制定され、神奈川県においても、4月1日より暴力団排除条例(以下「県条例」という)が施行されている。 |
県条例では、(1)暴力団事務所の新設の禁止(拠点の根絶)(2)少年の暴力団事務所への立ち入らせの禁止(人的資源の根絶)(3)暴力団への利益供与等の禁止及び県の公共工事等すべての契約からの暴力団等の排除(資金源の根絶)など暴力団対策が整備されている。また、県公安委員会は、暴力団への利益供与を行った事業者に対して、利益供与を行わないように勧告し、勧告に従わなかった場合は事業者名などを公表する、と規定されている。これは、暴力団の活動を助長する行為を禁止するとともに、事業者側から暴力団との関係遮断を促進することを目的としている。 |
しかし、県条例だけでは、市町村の契約事務や給付金の給付等における暴力団排除などには及ばないため、神奈川県下の33市町村すべてにおいても、暴力団排除条例が今年度内に制定される予定である。当会からも、7月7日に、未制定の市町村に暴力団排除条例の早期制定を求める会長声明が出されたことは、県内全市町村制定に向けての大きな推進力となった。 |
このように、神奈川県における暴力団対策は、暴力団排除条例によって県民と行政が一体となって社会から暴力団排除に取り組む体制が整備されたといえるが、実際に効果を上げられるかどうかは今後の運用にかかっている。 |
我々弁護士としては、暴力団排除条例という新たな法的ツールを与えられたのであるから、県民や事業者が暴力団との一切の関係を遮断する法的支援を行い、神奈川県から暴力団を排除する一翼を担っていく必要がある。 |
会員が具体的事案で悩まれた場合は、民暴委員会としてバックアップする体制はできているので、いつでも相談して頂きたい。 |
(民事介入暴力対策委員会委員長 菅 友晴) |