横浜弁護士会新聞

2010年11月号  −2− 目次

落語で知ろう、弁護士に聞こう、成年後見 横浜弁護士会敬老の日イベント
 秋の連休初日の9月18日、当会主催の敬老の日イベント「落語で知ろう、弁護士に聞こう、成年後見」が行われた。これは、日弁連に高齢社会対策本部が設置されるなど成年後見制度の普及と弁護士が関与することへの期待の高まりを受け、法律相談センター運営委員会、弁護士業務改革委員会、高齢者・障害者の権利に関する委員会を中心に企画されたものである。
 何よりも来場者の皆様に身近な内容になるよう検討を重ねた結果、落語家桂ひな太郎師匠の「成年後見落語」、延命政之会員の「成年後見制度解説」、先着20名様限定「無料法律相談」という異色の組み合わせで、魅力溢れる企画が実現の運びとなった。
 当日は穏やかな秋晴れに恵まれ、会場の関内ホール(小ホール)には、開場時刻のはるか前に法律相談を希望する来場者があるなど、期待と関心の高さがうかがわれた。
 開演定刻になり、まず水地啓子会長が開会の挨拶に立った。水地会長から、実はこのイベントが、単に敬老の日の記念イベントに止まるものではなく、当会が10月4日にスタートさせる新規事業「みまもりダイヤル」(高齢者・障がい者問題に特化した無料電話法律相談)のお披露目を兼ねたものであることが紹介された。
 次いで、来賓の高野範城日弁連高齢社会対策本部長代行から、高齢化社会の実情や日弁連の成年後見制度に対する取り組み、今後のこの分野にかける弁護士会の意気込みなど力強い挨拶があった。
 そして、お待ちかねのひな太郎師匠による創作落語「成年後見じいさん」が披露された。師匠ご自身の体験談や身近な話題を枕に、ユーモラスな高齢者を描いた創作落語に会場からはたびたび笑いの波が起こり、来場者は成年後見制度を身近に感じた様子であった。
 延命会員も冒頭から「私の話を聞くと抜群の長寿(延命)効果があります。」などと冗談を交えつつ、成年後見制度だけでなく、ホームロイヤーや「みまもりダイヤル」を紹介する充実した講演を行った。閉会後に会場で行われた無料法律相談会では、さっそく任意後見の相談もあったとのことである。
 成年後見の分野への弁護士のニーズは非常に高いものがあるが、どのように弁護士相談につなげるかが分からないとの声があるのも事実である。今回のイベントと「みまもりダイヤル」の開始がアクセス障害解消の契機になるはずである。
(会員 松木 崇)

労働と貧困 関弁連シンポジウム・定期弁護士大会
 9月25日、埼玉において第57回関東弁護士会連合会定期大会が開催された。午前中は「労働と貧困−今日の働き方と社会保障」をテーマとするシンポジウムであり、まずメーカーの派遣社員として、雇い止めをされ、寮からも退去を求められて借金をし、就職活動をしているが雇ってもらえないという非正規労働者の現場からの報告がなされた。
 次に生活保護の水際作戦に関する「新宿生活保護訴訟」についての報告があった。派遣切りにより失業し路上生活を経て生活保護申請をしたところ、新宿区は稼動能力を活用していないことを理由に生活保護申請を3回にわたって却下したというもので、生活保護申請却下決定の取消を求める裁判が現在係属中である。
 次に「被疑者・被告人緊急一時シェルター」である「NPO法人ほっとポット」の紹介がなされた。これは被疑者・被告人に釈放後にシェルターに入所してもらい、30日間の間に地域生活へ移行するための支援をするという制度である。退所後の住宅確保支援、福祉制度の利用調整、生活相談等を行っている。
 シンポジウム後半は、後藤道夫(都留文科大学教授)、濱口桂一郎(独立行政法人労働政策研究・研究機構 労使関係・労使コミュニケーション部門統括研究員)、河添誠(首都圏成年ユニオン書記長)、藤田孝典(NPO法人ほっとポット代表理事)各氏をパネリストとしたパネルディスカッションが行われた。
 午後の定期大会では、会務報告と財務報告の後、(1)<1>違法派遣の場合の直接雇用のみなし規定<2>均等待遇原則<3>派遣労働者の労働組合に対する派遣先の団体交渉応諾義務を規定すること(2)有期雇用は例外とすることを法定すること(3)全ての労働者を対象として同一価値労働同一賃金原則を法定すること(4)最低賃金は全国一律で定めること等を内容とする労働者派遣法の抜本的な改正を求める大会宣言が採択された。
(副会長 岩田 恭子)

中小企業全国一斉無料法律相談会 −身近な存在の弁護士をめざして−
 毎年、日弁連が「中小企業全国一斉無料法律相談」を主催しており、各単位会がそれぞれ日程を設けて無料法律相談会を実施している。当会も、本年度は、9月16日に当会会館相談室にて無料法律相談会を実施した。
 当日は、相談担当員として弁護士業務改革委員会(商工部会)の委員6名、相談時間として午後1時から3時までの2時間(1枠30分、合計12枠)を確保した。残念ながら、当日までの申込者数は5社とやや寂しい状況ではあったが、申込者の方々にご協力をお願いしたアンケートには、いずれも「(大変)役立った」という回答がなされており、申込者の方々には良い機会をご提供できたものと考えている。また、アンケートには、無料法律相談会に申し込んだ理由について「普段、相談できる弁護士がいないから」という回答が多く、この点の解消が当委員会の活動の目的の一つである。
 今回の無料法律相談会の実施にあたっては、当会のホームページへの掲載、チラシの作成・配布等の方法で告知を行ったが、本年度の申込者数を踏まえて、来年度以降は、より効果的な告知の方法を検討する必要性を感じた。
 今年4月より、中小企業経営者のためのコールセンター「ひまわりほっとダイヤル」の運用が全国的に開始された。また、11月18日には、神奈川中小企業センタービルにて毎年恒例の中小企業向けシンポジウムを開催する予定である。「非正規労働者の雇用管理」というテーマのもと、基調講演とパネルディスカッションを行い、その後には無料法律相談会も実施する。
 当委員会は、今後も引き続き、中小企業経営者の方々にとって、弁護士が身近で利用しやすい存在であることをご理解いただくための様々な機会を設けていきたいと考えている。
(会員 小林 俊介)

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