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6月2日、前野義広会員が事件の相手方に殺害されるという大変痛ましい事件が起こりました。前野会員のご冥福をお祈りするとともに、2度とこのようなことが起こらないよう、当会弁護士業務妨害対策委員会の竹森裕子委員長にお話を伺いました。 |
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前野会員の件について、委員長はどのように受け止めていますか。 |
今まで当会で業務妨害といえば坂本事件でした。ただ坂本事件は妨害者が特殊な団体であったのに対し、今回の件は離婚事件の相手方という身近な存在だった点から、会員にとってはより衝撃的だったと考えています。 |
具体的な対策についてはどうすればよいのでしょうか。 |
3月29日付で全会員に通知した「業務妨害対策について」という書面を是非読んでください。また、7月2日付の日弁連ニュースも非常に有益です。あと、当会や日弁連のマニュアルにも目を通してください。 |
中でも重要なのはどんなことでしょうか。 |
(1)相手方等事件関係者がアポなしで来訪した場合には原則として会わない。(2)事務職員の勤務時間外など弁護士が1人になる時間帯は、交渉相手など緊張関係にある者と会わない。(3)弁護士不在時の場合の施錠、できれば常時施錠する、といったことです。また、事務職員との連携も重要で、いざというときどのような行動をとるかを決めておくと良いです。 |
委員長ご自身の経験があれば、お話しください。 |
先日、訴訟の相手方と会いました。その時、すぐに逃げられるよう出口側に座る、相手から投げられないように物を近くに置かない、逆に自分が身を守るために投げる物を自分の後ろに置いておく、1人にならないよう事務職員には出かけないように指示する等の対策をとりました。実際には業務妨害に発展しませんでしたが、常に心づもりをすることが必要です。 |
また、「殺すぞ」といった電話がかかってきたこともありました。 |
そのような電話に対してはどのように対処すればよいのでしょうか。 |
感情的にならず、毅然として対応することです。ただ、木で鼻をくくったような毅然さでは、かえって怒らせてしまう可能性があります。難しいですが、「冷静な対応だけど、つっけんどんにはならない」ということでしょうか。 |
当会で、業務妨害は年に何件くらいあるのでしょうか。 |
委員会に支援要請があるのが2〜3件。暗数としてはその10倍を下らないと思います。 |
最近はどのような案件が多いですか。 |
統計を取ったわけではないですが、DV関連のものが多いと思います。 |
実際に業務妨害にあってしまった場合、どうすればよいのでしょうか。 |
事務所の先輩・同僚にまず相談すること。それができないなら、迷わず委員会に相談してください。 |
こんなことで委員会に相談して良いのだろうか、と迷うこともあると思うのですが。 |
相談して良いのか、という相談でも構いません。特にミスをしてしまった時には早期に相談してください。大阪で、ミスにつけこまれて億単位のお金を取られたという案件もありました。早期の相談があれば、そんなことにはならなかったと思います。 |
最後に会員にメッセージをお願いします。 |
業務妨害は誰にでも起き得ることです。起きたときにはすぐに相談してください。委員会のメンバーにとっても人ごとではないので、できる限りの支援をしたいと思っています。ですから、たとえばDV事件だから依頼を受けない、ということはせずに、毅然と淡々と業務をこなして欲しいと思います。 |
有り難うございました。 |