横浜弁護士会新聞

2010年9月号  −1− 目次 

改めて業務妨害対策を考える
 6月2日、前野義広会員が事件の相手方に殺害されるという大変痛ましい事件が起こりました。前野会員のご冥福をお祈りするとともに、2度とこのようなことが起こらないよう、当会弁護士業務妨害対策委員会の竹森裕子委員長にお話を伺いました。
前野会員の件について、委員長はどのように受け止めていますか。
 今まで当会で業務妨害といえば坂本事件でした。ただ坂本事件は妨害者が特殊な団体であったのに対し、今回の件は離婚事件の相手方という身近な存在だった点から、会員にとってはより衝撃的だったと考えています。
具体的な対策についてはどうすればよいのでしょうか。
 3月29日付で全会員に通知した「業務妨害対策について」という書面を是非読んでください。また、7月2日付の日弁連ニュースも非常に有益です。あと、当会や日弁連のマニュアルにも目を通してください。
中でも重要なのはどんなことでしょうか。
 (1)相手方等事件関係者がアポなしで来訪した場合には原則として会わない。(2)事務職員の勤務時間外など弁護士が1人になる時間帯は、交渉相手など緊張関係にある者と会わない。(3)弁護士不在時の場合の施錠、できれば常時施錠する、といったことです。また、事務職員との連携も重要で、いざというときどのような行動をとるかを決めておくと良いです。
委員長ご自身の経験があれば、お話しください。
 先日、訴訟の相手方と会いました。その時、すぐに逃げられるよう出口側に座る、相手から投げられないように物を近くに置かない、逆に自分が身を守るために投げる物を自分の後ろに置いておく、1人にならないよう事務職員には出かけないように指示する等の対策をとりました。実際には業務妨害に発展しませんでしたが、常に心づもりをすることが必要です。
 また、「殺すぞ」といった電話がかかってきたこともありました。
そのような電話に対してはどのように対処すればよいのでしょうか。
 感情的にならず、毅然として対応することです。ただ、木で鼻をくくったような毅然さでは、かえって怒らせてしまう可能性があります。難しいですが、「冷静な対応だけど、つっけんどんにはならない」ということでしょうか。
当会で、業務妨害は年に何件くらいあるのでしょうか。
 委員会に支援要請があるのが2〜3件。暗数としてはその10倍を下らないと思います。
最近はどのような案件が多いですか。
 統計を取ったわけではないですが、DV関連のものが多いと思います。
実際に業務妨害にあってしまった場合、どうすればよいのでしょうか。
 事務所の先輩・同僚にまず相談すること。それができないなら、迷わず委員会に相談してください。
こんなことで委員会に相談して良いのだろうか、と迷うこともあると思うのですが。
 相談して良いのか、という相談でも構いません。特にミスをしてしまった時には早期に相談してください。大阪で、ミスにつけこまれて億単位のお金を取られたという案件もありました。早期の相談があれば、そんなことにはならなかったと思います。
最後に会員にメッセージをお願いします。
 業務妨害は誰にでも起き得ることです。起きたときにはすぐに相談してください。委員会のメンバーにとっても人ごとではないので、できる限りの支援をしたいと思っています。ですから、たとえばDV事件だから依頼を受けない、ということはせずに、毅然と淡々と業務をこなして欲しいと思います。
有り難うございました。

裁判員裁判弁護人の勧め
 平成21年5月に裁判員裁判制度がスタートして1年以上が経過した。この間神奈川県内では、本年7月16日現在で横浜地方裁判所本庁、同小田原支部合わせて101件が起訴され、既に44件が終了している。
 また現在、当会において裁判員裁判弁護人として登録している弁護士は、本庁支部合わせて170名であり、既に裁判員裁判弁護人として活動した弁護士は約60名となっている。なお、ほとんどの事案で弁護人が2人以上選任されている。
 裁判員裁判制度は、一般市民が裁判官と共に事実認定及び量刑判断を行う制度であるところ、そのような制度の下では「わかりやすい弁護活動」即ち、裁判員が見て聞いて理解できる弁護活動を行うことが必要となる。
 しかし、わかりやすい弁護活動といっても何ら特別な才能や努力を必要とするわけではない。一般市民である裁判員にわかりやすい言葉で語りかけ納得してもらい共感を得てもらう、そのような視点から弁護活動を行えばよく、自分の両親や妻や子供が理解できるような弁護活動を行うという意識を持てばよいだけである。そしてそのような意識を持つことで、私達弁護人の法律概念に対する理解がより一層深まり、かつ弁護技術が飛躍的に向上することにもなる。さらに裁判員裁判弁護人として活動することを通じて、民事事件の尋問等に対する意識も変化し、民事事件の活動に対してもよい影響を与えることにもなる。
 最後に、裁判員裁判での弁護活動を通じて弁護技術の向上を図るという観点から、より多くの弁護士に裁判員裁判弁護人として登録してもらい活動する機会を得ていただきたくこの場を借りてお願いする次第である。
(刑事弁護センター運営委員会委員 齋藤 守)

山ゆり
 オーディオが趣味という方も多いと思われるが、私も最近、友人の強い勧めに従い、少しだけその世界を覗いてみた
規模の大小、洋の東西を問わず、製造メーカーによって目指す音色・音質というのがあるらしく、専門店の試聴部屋で聞くと、確かにそれぞれの違いや特色がはっきりと分かる
その中でも、とある国内小メーカーはなによりも原音再生力にこだわっているそうで、そのメーカーのセットでCDを鳴らすと、聴き慣れたはずのCDから今まで聴き取れたことのない音まで聞こえ、例えば弦楽器の弦が擦れる音、ピアノの鍵盤に爪が当たる音、演奏者の独り言まで聞こえてきて、それはそれで純粋に音楽を楽しむのとは別の楽しみであったりする
好みの音色・音質は結局嗜好の問題だが、小さな製造メーカーが大きなこだわりをもって自社製品の開発に力を注いでいること自体に大規模メーカーにはない気概を感じ、その心意気を買いたくなるお月見
オーディオ専門店の試聴部屋というと取っ付きにくいイメージを持っていたが、入ってしまえば静かでエアコンも効いており快適そのもの、皆さんも是非ご利用を検討されたい。
 
(三橋 潔)

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