司法修習給費制維持を求める プロジェクトチーム 岡本 吉平 |
11月1日から、平成16年成立の改正裁判所法に基づき、司法修習生に対し給与を支給する制度(給費制)が廃止され、最高裁判所が修習資金を貸与する制度(貸与制)が実施されることとなっている。 |
法改正にあたっては、司法修習に必要な費用は、「受益と負担」の観点から司法修習生が負担するべきであるという理由が挙げられていた。 |
しかし、公務員である裁判官、検察官のみならず、民間人である弁護士も「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」という弁護士法に定める使命に基づき、当番弁護士など公益的な諸活動に取り組んでおり、法曹資格を得ることが単なる個人の受益であるとは言えない。また、医師養成のための研修医制度とのバランスも失したものである。 |
また、司法修習生には修習の実効性をあげるために修習専念義務が課され、アルバイト等が禁止されているため、多くの修習生が貸与を受けることを半ば強制され、法科大学院等の奨学金と合わせると多額の負債を抱えて法曹として船出することとなる。ひいては、経済的不安から、公益的活動をしたくてもできない弁護士が増えたり、そもそも法曹を志す者が減少したりするおそれもある。 |
日弁連や当会は、法改正当時から一貫して給費制維持を訴えてきたが、日弁連は4月、給費制維持緊急対策本部を設置し、5月28日の第61回定期総会において、給費制維持を求める決議を行った。 |
当会でも、5月11日、水地会長を座長として「横浜弁護士会司法修習給費制維持を求めるプロジェクトチーム」(給費制PT)を発足させ、日弁連の活動と連携しつつ、独自の運動を展開する体制を整えた。6月10日には、日弁連要請による全国一斉街頭行動の一環として、関内駅周辺等でチラシ配り等の活動を行い、翌11日には、会長声明を出した。 |
現在、給費制PTでは、(1)弁政連と連携した議員要請・請願活動、(2)市民集会・シンポジウム開催準備、(3)署名活動・広報の各活動を積極的に推進している。なお、9月2日には、宇都宮日弁連会長を迎え、「給費制維持を求める市民集会」(仮称)を開催することとなっている。改正法の施行時期が迫っているため、矢継ぎ早に各種活動を展開し、運動を盛り上げていかなければならない。会員各位には活動への理解と協力をお願いしたい。 |
6月4日、高松市において民暴対策全国大会が開催された。本年は昭和55年に日弁連民事介入暴力対策委員会が発足して30周年と節目の年でもあり、大盛況の大会となった。 |
午前は、「ブラックマネーを絶つ!〜反社会的勢力の撲滅に向けて〜」をテーマに協議会が開催され、全国の弁護士約470名が参加した。暴力団は、ブラックマネーと呼ばれる不透明な不法収益を資金とし、これをヤミ金融や証券投資などに運用し、市民に多くの被害を出し続けている。そこで、協議会では「暴力団を恐れない」「暴力団に金を出さない」「暴力団を利用しない」というこれまでの「暴力追放三ない運動」に加え、暴力団をはじめとした反社会的勢力に対し、「資金を得させない」「資金を隠させない」「資金を持たせない」という新たな「資金三ない原則」を打ち立て、この原則の推進により暴力団の撲滅を目指すことを確認した。 |
午後は、「民暴対策の過去・現在・未来〜反社会的勢力との新たな闘いに向けて〜」をテーマに大会が開催され、一般市民など約2千名が参加した。 |
ここでもブラックマネーが取り上げられ、暴力団から資金を剥奪するため、横浜での大会のときにもテーマにされた組長に対する使用者責任などが例に挙げられた。また、暴力団に資金を提供する者(共生者)への法規制についても熱心に議論された。 |
そして、午前・午後の白熱した民暴対策の議論を終えた後は、懇親会が開かれ、美味しい瀬戸内の郷土料理とお酒を堪能した。 |
今回の民暴大会は遠く四国香川の地で行われたが、当会からは非弁護士取締・民事介入暴力対策委員会委員ら総勢17名が参加し、反社会的勢力の排除を誓い合った。 |
次回大会は、11月26日、さいたま市で開催される。今回の香川大会が30周年という総括ならば、次回は新たな出発である。 |
当会からも多くの会員が参加されることを期待したい。 |
(会員 冬木 健太郎)
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