横浜弁護士会新聞

2010年2月号  −1− 目次 

弁護士フェスタかながわ 2009 その契約、ちょっと待って! 消費者問題劇「まさか私が……!?」−しのび寄る消費者被害−
 昨年12月12日、横浜市開港記念会館と当会会館において毎年恒例の弁護士フェスタが開催された。
 各会場では、無料法律相談、当会の各委員会等によるシンポジウムや出展があり、500名を超える参加者でにぎわった。

 メイン会場となる開港記念会館講堂では、消費者問題をテーマとした劇が上演された。
 これまでは裁判員制度を見据えた裁判劇が上演されてきたが、今回は市民が被害者となっている各種の悪徳・悪質商法の様子が舞台上で再現された。
3つの消費者劇
 劇は3幕に分かれ、それぞれ「床下点検商法」「ワンクリック詐欺」「催眠(SF)商法」の実態が実演された。
 「床下点検商法」では、一人暮らしの高齢者の自宅を業者が訪れ、言葉巧みに取り入って必要のない家屋補強工事の契約をさせようとする様子、「ワンクリック詐欺」では、無料出会い系サイトに接続した若者が、いつの間にか有料契約をしてしまったかのように誤信させられて切羽詰まっていく様子、「催眠(SF)商法」では、商品を格安で配布して会場の人たちを催眠状態に陥れ、最後には高額な商品(布団)を売りつける様子がリアルに演じられた。
 劇中では、被害者が騙されそうになると、「ちょっと待って!」と消費者としての正しい対応についての説明が入るようになっており、被害の実態を知るとともに対処法まで学べるユニークな演出となっていた。
 出演したのは弁護士と司法修習生だが、いずれも本当の被害者や悪徳業者ではないかと思われる熱演で、カーテンコールでは会場から盛んな拍手を受けていた。
法的知識を市民にわかりやすく
 今回も、弁護士が持つ法的知識を市民にわかりやすく伝えるというフェスタの目的の一つは十分に達成できたと思われる。今後も市民にとって弁護士を身近なものとするために、消費者問題に限らず、他の分野でも市民へのわかりやすい働きかけを続けていくことが重要であろう。

今年も芝居に参加して
 私が弁護士会の関係で芝居に出るのももう5回目。弁護士フェスタの時期になると「今年も呼ばれるのかな」と思う反面、呼ばれても大変だなとも思う。
 なにしろ、この芝居、どう見えるかはわからないが結構準備が大変である。今回も3週間にわたり計7回も稽古があった。仕事に疲れた夕方に弁護士会館に集まり、演出家の濱田さんには「そんな言い方じゃ人は騙されないよ!」等と罵倒され、なかなか暗記できない台本を何度も読み返し……と準備の期間は結構なプレッシャーに晒される。
 それでも最初は台本を読むだけの状態から少しずつ芝居が形になっていき、笑える演出が付け足されて、さらに効果音が挿入されていくうちに多くの人と一つのものを作っていく「喜び」が生まれてくる。これがいつまでも足を洗えない原因である。また、いかに自分を見せ、人に伝えるかが重要となる芝居は本業にも役立つ。
 今回も司法修習生を含め、複数の芝居初体験の「役者」が生まれた。きっとまた寒い時期になってくると「今年も呼ばれるのかな」と思うに違いない。
 皆さんも「芝居」いかがですか。
(会員 佐藤 裕)


第14回横浜弁護士会人権賞「神奈川県勤労者医療生活協同組合港町診療所」「特定非営利活動法人よこはまチャイルドライン」に贈呈
 本年度の人権賞は、(1)活動の独自性が認められること、(2)地道な活動に対する賞の授与により他の人権活動の発展にも弾みとなること、という2つの観点から選考が行われ、14の個人・団体候補から2団体が選ばれた。
 「神奈川県勤労者医療生活協同組合港町診療所」は、健康保険に加入できない外国人のための港町健康互助会を1991年11月に発足させ、広く外国人の治療を受け入れる活動を行ってきた。また、発足当時から行っている外国人に対する無料健康診断活動を行政との協力により広めたり、アスベスト問題を取り扱ったりするなど先進的な取組みも行っている。
 「特定非営利活動法人よこはまチャイルドライン」は、子供達の生の声を受け止める専用電話を開設し、専門的研修を受けた「受け手」が、単なる「相談」ではなく、悩みを一緒に考える立場で子供に寄り添う活動をしている。2002年5月の活動開始から、3万数千件の電話を受けてきた実績を持つ。
 贈呈式で受賞挨拶に立った「港町診療所」代表者の天明佳臣氏は、国籍条項が無く外国人に対しても適用される法律などをてこに、外国人に医療を受けてもらえるように、活動を広げてきたと語った。さらに、これからは、治療にとどまらず予防についての活動の充実が課題であり、今回の受賞がその後押しになると述べた。
 「よこはまチャイルドライン」代表者の徳丸のり子氏は、子供をめぐる孤独や虐待、自殺といった深刻な現状を紹介すると共に、チャイルドラインの「受け手」は、子供と同じパートナーとして話を聞くことを最も重視していると語った。そして、子供をめぐる問題の原因は大人にあることを認識し、大人が変わることこそ必要であると訴えた。
 
横浜弁護士会人権賞
 米軍ファントム機墜落事故の訴訟弁護団からの寄付金を基に設立された人権救済基金を利用して、人権擁護の分野で優れた活動をした神奈川県内の個人、団体を表彰し、人権擁護の輪を広げ定着させる目的で、平成8年3月に創設された。

山ゆり
 日本語は同音異義語の多い言語だ。日本古来の大和言葉が成熟する前に大陸から漢字が入ってきてしまったことが一因という。そこで本日はその一例を
【宣誓】「真実を述べ、偽りを述べないことを誓います」。尋問の際に法廷で見慣れた光景だが、一体誰に対して誓いを立てているのか疑問に思われた方もいらっしゃるだろう。神に対し制裁を賭ける趣旨が語源で、聖書に手を置いて宣誓する国もあるが、信教の自由が保障されている我が国においては、もっぱら宣誓の上偽証すると国家から処罰されるという意味での法律用語であると理解するのが正しいようだ
【先生】先に生まれた年長者が語源だが、学識のある人や指導的立場にある人を敬っていう語だそうだ。私のように人としても弁護士としても経験の浅い者が、立派な年上の依頼者から先生と呼ばれることには気恥ずかしさを覚える雪の夜
依頼者本位の債務整理を忘れ過払い金獲得にのみ目を向けたり、接見回数を水増し報告するなど言語道断。「先生」と呼ばれるに相応しい自覚と実行が弁護士の責務である。弁護士先生は法テラスに嘘をつかないという「宣誓」を、などと言われては笑うに笑えない。
(三谷 淳)

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