横浜弁護士会新聞

2009年11月号  −2− 目次

こんなときどうしましょう 弁護士業務妨害対策委員会研修会
 10月1日、精神科医の松永千秋氏を講師にお招きして『精神的疾患を有すると思われる者からの弁護士業務妨害に関する研修会』が開催された。出席会員は60名を超え、業務妨害対策への関心の高さがうかがわれた。
 研修会では、初めに松永医師から、統合失調症などの基本的な精神的疾患について、特徴や基本的な対応の仕方などの分かりやすい説明があった。細かい病名等については我々弁護士に判断できるところではないが、初動対策を誤らないためにも、精神疾患についての基本的な知識を頭に入れておくことは有効であると感じた。
 次に、事前に会員から提供された事例を元にしてケース・スタディが行われた。
 各事例はまさに多種多様であった。不謹慎ながら思わず苦笑してしまうような事例もある反面、早期に警察との連携が取れていれば違った結果になったのではないかと思われる重たい事例もあり、当会においても様々な業務妨害が発生していることが明らかになった。また、ほとんどの事例において、事例提供者の会員本人から補足説明があり、背景事情などを知ることが出来た。
 各事例について、松永医師から、観察すべきポイントや対応方法などについて解説があった。一般論に留まらず、「こういうケースでは『△○□』と回答するとよいだろう」などと大変実践的なコメントがなされ、非常に得るものが大きかった。
 究極の弁護士業務妨害というべき坂本弁護士一家殺害事件から今年で20年となる。最近の妨害事件は、一般民事・刑事事件のみならず企業法務などにも関連して発生し、しかも凶悪化・狡猾化する傾向にあると言われている。
 各弁護士が日頃から注意することはもちろんであるが、弁護士会としても一丸となって具体的な方策を採ることが必要な段階に来ていると痛感させられる研修会であった。
(会員 石坂 想)

平成21年度関弁連定期大会 ケータイ世代の子どもたち「メディアリテラシー教育の重要性」
 9月25日、長野市のホテル国際21において、関東弁護士会連合会・長野県弁護士会主催のシンポジウム・第56回定期大会が開催された。
 午前のシンポは、「ケータイ世代の子どもたち−子どもとインターネットの関わりの適正化をめざして−」と題して、子どものケータイ利用の現状説明、弁護士関与事例の報告、フィルタリング(有害とされる情報を遮断する機能)手法の解説、ケータイへの現在の対応とその問題点について各委員から基調報告がなされ、当会で6月に開催されたプレシンポの成果も随所で紹介された。続いて、教育の専門家や消費者行政に携わる総務省職員が参加したパネルディスカッションにおいて、ケータイの良い面・悪い面、青少年インターネット環境整備法の特色、規制色の強い条例の制定事例が紹介されるとともに、子どもを保護するためのケータイ規制に関連する様々な取り組みについての非常に中身の濃い議論がなされた。その中では、特にメディアリテラシー教育(メディア情報を批判的に読み解き、主体的に使いこなす能力を培う教育)の重要性が強調された。
 午後の定期大会では、家庭におけるルール作り、子どもの保護のための環境整備および地域における連絡協議会の設置など各所連携の仕組み作り等を積極的に提言する大会宣言、「労働と貧困〜今日の働き方と社会保障〜」に関する大会決議がそれぞれ満場一致で可決され、次期大会開催地は埼玉県さいたま市と決定された。
(副会長 二川 裕之)

弁護士法人かながわパブリック法律事務所開設祝賀会「かなパブ」へようこそ
 9月30日横浜ロイヤルパークホテルは物々しい雰囲気に包まれた。目つきの鋭いボディーガードが目を光らせるその先には我が国の某大臣の姿が……。
 なんてゴルゴ13みたいな書き出しでスタートしてみたが、半分は冗談。この日は、当会で初めての公設事務所である「弁護士法人かながわパブリック法律事務所」通称「かなパブ」の開設を祝して行われたパーティだったのだ。
 当会に都市型公設事務所なんて必要なの?なあんて堅い話は抜きにして、まずは参列したメンバーの豪華さを見ていただきたい。千葉景子法務大臣をはじめ、宮盗ス日本弁護士連合会会長、井元義久関東弁護士会連合会理事長、吉戒修一横浜地方裁判所所長、田中由子横浜家庭裁判所所長と、錚々たるその御名前を読み上げるだけで息が続かないほどだ。そのほかにも国会議員、県内の法科大学院や行政庁の関係者の方々などのほか、当会以外の地方単位会から遠路はるばる駆けつけた弁護士も多数……。
 これら招待客の豪華な顔ぶれは、言うまでもなく当会の新しい公設事務所に対する期待の裏返しである。これだけのお歴々から期待されている「かなパブ」、何としても成功してもらいたい。いや、成功してもらわなければ困る。祝賀会に参加した当会会員であれば皆同じように考えたはずだ。記念すべき創立時の社員弁護士である石川裕一、北條将人、川島明子の3会員も全く同じ心持ちであることがそのコメントからは痛いほど伝わる。プレッシャーも相当なものだろう。
 会内にも公設事務所については種々の議論があるが、設立した以上は何とか彼らをサポートし、県民市民の期待に応えていくべきだろう。
 祝賀会自体は、当会とも馴染み深い気さくな法務大臣、オチを付けなければ気が済まない関西気質の日弁連会長、乾杯挨拶なのに意外なフェイントでなかなか乾杯をさせなかった関弁連理事長らの粋な挨拶で大いに沸いた。

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