10月1日、精神科医の松永千秋氏を講師にお招きして『精神的疾患を有すると思われる者からの弁護士業務妨害に関する研修会』が開催された。出席会員は60名を超え、業務妨害対策への関心の高さがうかがわれた。 |
研修会では、初めに松永医師から、統合失調症などの基本的な精神的疾患について、特徴や基本的な対応の仕方などの分かりやすい説明があった。細かい病名等については我々弁護士に判断できるところではないが、初動対策を誤らないためにも、精神疾患についての基本的な知識を頭に入れておくことは有効であると感じた。 |
次に、事前に会員から提供された事例を元にしてケース・スタディが行われた。 |
各事例はまさに多種多様であった。不謹慎ながら思わず苦笑してしまうような事例もある反面、早期に警察との連携が取れていれば違った結果になったのではないかと思われる重たい事例もあり、当会においても様々な業務妨害が発生していることが明らかになった。また、ほとんどの事例において、事例提供者の会員本人から補足説明があり、背景事情などを知ることが出来た。 |
各事例について、松永医師から、観察すべきポイントや対応方法などについて解説があった。一般論に留まらず、「こういうケースでは『△○□』と回答するとよいだろう」などと大変実践的なコメントがなされ、非常に得るものが大きかった。 |
究極の弁護士業務妨害というべき坂本弁護士一家殺害事件から今年で20年となる。最近の妨害事件は、一般民事・刑事事件のみならず企業法務などにも関連して発生し、しかも凶悪化・狡猾化する傾向にあると言われている。 |
各弁護士が日頃から注意することはもちろんであるが、弁護士会としても一丸となって具体的な方策を採ることが必要な段階に来ていると痛感させられる研修会であった。 |
(会員 石坂 想) |