横浜弁護士会新聞

2009年10月号  −3− 目次

上海だより 上海市弁護士協会って?
上海市弁護士協会外事委員会委員 劉陽弁護士
 上海市弁護士協会(上海市律師協会)は、「中華人民共和国弁護士法」に基づき、上海市に在籍の弁護士全員から構成された団体である。2009年7月27日時点で、会員弁護士数は1万123名。協会の主要な業務は次の通りである。
1 上海市の弁護士の合法的権益を保護し、弁護士の合法な業務を支援する
2 上海市司法局の指導と監督を受け、上海市の弁護士の管理を行う
3 会員向けの政治教育及び専門的な業務訓練を経て、弁護士の政治素質や業務水準を高める
4 弁護士の業務向上を目指し、定期的にトレーニングコースを実施する
5 「上海弁護士」、「弁護士業務資料」等刊行物を編集・出版し、会員に業務情報を提供する
6 弁護士のために文化・体育活動を展開し、福利事業を行う
 この十数年来、上海市弁護士協会は、米、英、仏、日等十数カ国及び地域からの130以上の弁護士代表団を招待し、アメリカ、日本、韓国等の国々の弁護士会と友好協定或いは法律提携協議を結んでいる。また、数百名の弁護士を相次いで組織し、米、日、仏等8か国及び地域を訪問してきた。
 日本に対しては、上海市弁護士協会は、東京第一弁護士会、横浜弁護士会とそれぞれ友好協定を結び、情報交換又は相互訪問と業務交流を行うようになった。
 そして、上記の法定職能だけではなく、上海市弁護士協会は、積極的にその他の社会活動あるいは公益事業に参与している。
 例えば、世界金融危機の影響を受け、中国大学卒業生の就職難現象が非常に深刻になっている状況に対し、今年上海市弁護士協会は、今年度の法学部卒業生を招聘する上海市の弁護士事務所に対し、一定の奨励と補助を行うことを決定した。そして、これは上海市の法学部卒業生の就職難を効果的に緩和し、社会にも大きな影響を生み出した。
 また、今年6月27日の上海市閔行区の建設中ビル倒壊事件に対して、上海市弁護士協会は迅速に公益弁護士団を現場に派遣し、被害を受けた家主に法律援助を行って、弁護士協会の公益性、社会責任を果たした。


新こちら記者クラブ 代理人という仕事
 「俺は野球が大好きだから、一生野球にたずさわっていきたいな」
 高校時代、所属していた野球部の部室で同期だった彼はこう言った。私は、高校の教諭になって、野球部の監督か何かを目指すのかと思いながら次の言葉を待った。
 「だから弁護士になる」
 ん。
 よくよく話を聞いてみるとこうだった。
 最近、日本のプロ野球選手がメジャーリーグに挑戦する機会が増えている。メジャーリーグでプレーするには球団との契約成立が必要だ。契約社会のアメリカでは、この契約が非常に多岐に渡り、選手自らが行うことは難しい。そのため多くの場合、法律的知識のある代理人を立てて契約に臨む。しかし、今の日本にはメジャーリーグに挑戦する選手を法律的にサポートできる代理人は、決して多いとは言えない。野球の経験がある代理人は、それこそ少ないかもしれない。
 彼は、キャプテンとしてチームを率いて甲子園まで行った。この経験を活かし、選手としての気持ちも分かる代理人になりたいという。
 代理人とは文字通りある人に代わって物事を進めること。考えてみると、取材した人の声を代わりに発信する記者という仕事も、ある意味では代理人だと思う。その人の気持ちが分からなければ成り立たない。常に相手の立場に立たなければならない。半端な気持ちで取材対象に向き合ってはいけないのだ。彼の話を思い出し、改めてそう自戒した。
(テレビ神奈川 報道制作局報道部 横堀 拓也)

常議員会のいま 弁護士会の使命の重大さを思う
会員 小野 仁司(49期)
 今年、初めて常議員を務めています。今までは、会務をやることはあっても特定の担当分野での仕事でしたので、常議員会に出席して弁護士会全体の会務を見渡すことになって、弁護士会のかかわる分野が多岐にわたっていることを実感するとともに弁護士会の使命の重大さを思っています。
 最近では、公設事務所の契約についての議論が、一番印象的でした。弁護士会と公設事務所の契約についていろいろな視点からさまざまな意見交換を行い、結論を導いていきました。
 弁護士会と公設事務所の契約は簡単に出来そうなものですが、この契約ひとつでもこれほど議論をしていることを知ったのは非常に新鮮でした。また、最後に担当委員会の委員長がわざわざ出席され、公設事務所の若手に対して精神的な面から多大な支援をして欲しいと発言されたのには感動しました。
 個人的な意見としては、公設事務所を作るに当たっては最初の熱意ある若手により、徳川三代で江戸幕府の基礎を築いたがごとく、遠い将来、問題ある人物が公設事務所に入ってもこれを浄化できる制度を作って欲しいと思っています(と、常議員会で発言もしたのですが、分かってくれる常議員もいましたが、発言の意味がよく分からないという意見もありました)。

理事者室だより16 今日の理事者会は何時に終わりますか?
副会長 渡辺 穣
 会長と副会長は、毎週月曜日の午後全員集合して、理事者会を行い、種々の会務についての決定等を行っています。副会長の中で期も年齢も一番上という理由だけで筆頭を仰せつかった私の理事者会での役目は司会です。
 噂には聞いていましたが、議題と資料の多さには唖然としました。案の定、第1回理事者会は既に深夜と言ってよい時間にまで及びました。事務局長は笑っているだけですが、どうも最長不倒記録を樹立したような気がします。
 先輩の理事経験者に尋ねてみると、口を揃えて、「5時か6時ころまでには終わったなぁ」とのこと。今期の二川、阿部、横溝、小沢の各副会長は会務に非常に熱心かつ優秀です。それが災いしてか、和やかに、ある意味楽しく、議論が続いていきます。時々質問したりすると、更に議論が楽しく続いていきます。
 司会である私が筆頭の強権を発動して議論を整理しなさいと先輩から指導されているものの、そこで行われる議論は有意義で、私にはチンプンカンプンであった議題への理解が確実に深まり、私としては非常に助かっています。
 優秀な同僚副会長に囲まれていると、筆頭は楽ですが、理事者会は延々と続き、会長、同僚副会長は皆、疲弊していくようです。
 理事者及び事務局等関係者の皆様、誠に申し訳ありません。反省しています。

前のページへ 次のページへ

<<横浜弁護士会新聞メニューへ