横浜弁護士会新聞

2009年10月号  −2− 目次

湘南白百合3連覇 神奈川県勢が1位2位独占
 8月8日、霞ヶ関の弁護士会館及び東京地裁において、日弁連の主催により「第3回高校生模擬裁判選手権関東大会」が開かれた。参加校は全国から8校、神奈川県からは湘南白百合学園高校と公文国際学園高校の2校が出場した。
 「高校生模擬裁判選手権」では、各校が弁護側と検察側とに分かれ、1つの刑事事件を素材にして、対戦校と「法廷でのやりとり」を競う。高校生には、冒頭陳述、証人尋問、被告人質問、論告、弁論、さらにはプレゼンテーションの方法も含め、その全てを考えてもらうため、準備には相当の時間と労力を要する。
 過去2回の「模擬裁判選手権」は、いずれも湘南白百合が優勝しており、同校は3連覇の期待がかかった中での大会となった。一方、公文国際は、「第1回大会」の「準優勝」が最高順位であることから、今年こそはと、優勝を狙っていた。そのため、大会に向けての準備にも熱が入っていた。
 迎えた大会当日、各校午前1試合、午後1試合が行われた。湘南白百合の対戦校は、午前は山梨学院大付属(山梨)、午後は早大学院本庄(埼玉)。公文国際の対戦校は、午前は桐朋(東京)、午後は日本学園(東京)であった。
 試合を観戦した法教育委員会の委員によれば、公文国際の生徒たちは、入念な準備の成果を見せ、対戦校を圧倒する勢いであった。また、湘南白百合も、「さすがは湘南白百合」と、審査員を唸らせるほどの出来映えであった。
 各校とも、死力の限りを尽くして、午前午後の長い戦いを終えた。
 生徒たちが全力を尽くしたことで、「もはや結果なんかどうでもいい」と思いながらも、やはり「結果」は気になるところ。そして迎えた結果発表では、湘南白百合の優勝、公文国際の準優勝となった。湘南白百合は3連覇、公文国際も2年ぶりの準優勝、神奈川県勢2校による1位2位独占という、当会にとっても最良の結果となった。
 大会後の生徒達のコメントはとても清々しく、公文国際の生徒は、優勝を逃した悔しさを胸にしまって「後輩たちに優勝を託したい」と気丈に笑った。湘南白百合の生徒は、周りの人たちへ感謝の言葉を述べ、3連覇のプレッシャーから解放されたためか、涙を流していた。
 青春の一場面に立会いたいという先生には、来年の大会を観戦することを、是非お勧めしたい。
(法教育委員会委員 冬木 健太郎)

私の独立した頃(112) 会員 村田 恒夫
「奪われた自由と思索の時間」
 私は、昭和57年に小林嗣政先生の所から独立した。関内駅南口を出た所にあるシャトレーイン横浜のホテルに併設されているマンションの1室12坪余りの小さな事務所だった。弁護士1人、秘書1人、それぞれの机、応接テーブル一式、幅2・6mの木製二重スライドの本棚、そして小さなコピー機だけの事務所だった。
 独立前は多少の蓄えしかなく、今の様に当番弁護士、被疑者国選、法テラス、各種名簿登載制度による事件紹介の制度もなく、法律相談においても直受が禁止されていた。記憶では弁護士会から紹介されるのは被告人国選しかなく、半年余りは赤字覚悟での独立だった。
 当時と今の一番の違いは事務機器の目覚しい進歩・発展である。当時は事務所によってはコピー機はなく、必要な時は弁護士会に行ってコピーしていた。また、ワープロもなくタイプライターの時代で秘書の方々が各先生専用の和紙の用箋を用い必要枚数に応じてカーボンを挟み、パチンパチンと一字一字丁寧に打ち込んでいた。用箋は住所・氏名入りで原告用は赤で被告用は青で印刷されていた。今の様に書ける所から書き、後で繋げるとか、「誤ったら訂正すればよい」などの気持ちで原稿を作ることは許されなかった。タイプが間に合わないときには結構手書きの準備書面を双方で出し合っていた。タイプからワープロへと進み、その間にFAXと携帯、そして今日現在のデジカメへと進歩・発展し、その結果事務の迅速化と合理化が進んだ。
 そのおかげで昔は3日に1回のやりとりが今では1日1回のやりとりになってしまった。この迅速化(利便性)と合理化は社会一般がそうであるように私達弁護士を楽にするのではなく、逆に自由と思索のための時間を奪い去ってしまった。この様な状況の中でも、少しでも心の豊かさとゆとりを持って仕事と私生活に生きたいと思う。

中丸荘一郎会員に感謝状
 8月17日、当会会館にて、岡部光平会長から中丸荘一郎会員に感謝状が贈呈された。今回の感謝状は、中丸会員から当会に300万円をご寄付いただいたことに対するものである。
 当会への寄付について、中丸会員は、「私も横浜弁護士会に登録して、昨年の4月で満35年になりました。これまで横浜弁護士会にお世話になってきたことから、何か会に恩返しをしたいと考えていましたが、会の活動が今後更に発展していく上で、活動資金は不可欠と思い、寄付ということを思い立ちました。
 私としては、少しでも会のお役に立てればよいという気持ちから些少の寄付をしたまでのことですから、本当は、感謝状の贈呈というような大袈裟なことは辞退したかったのですが、執行部の先生方から是非にと言われ、お受けすることとした次第です。何か見返りを期待してするようなことではありませんから、できるだけ大きく扱わないようにしてもらえれば幸いです。」と照れくさそうに話された。
 また、当会の会員数が大きく増加している現状を踏まえて、「若い先生方は、弁護士の数が増えたことで、私が若かった頃よりも厳しい状況にあると思いますが、個別の事件処理だけでなく、会務などの公益活動にも力を尽くしていただければと思います」と述べられ、会の将来を担う若手会員の活躍に期待する旨を述べられた。

前のページへ 次のページへ

<<横浜弁護士会新聞メニューへ