5月29日、「消費者庁及び消費者委員会設置法」「消費者庁及び消費者委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律」「消費者安全法」の三法が成立した。 |
また、設置法は、附則で地方消費者行政への国の支援の在り方について「全般的な検討を加え、必要な措置を講ずる」と定め、衆参両院は、多くの付帯決議で、地方消費者行政の充実をめざすことを宣言した。 |
当会は、これらの実現のために、昨年4月から積極的に取り組んできたところである。 |
まず、昨年5月9日に「消費者が主役の消費者庁の実現を求める会長声明」を、続いて7月10日に「地方消費者行政の抜本的充実を求める会長声明」を発表し、翌11日にはこれらの声明を県知事に手渡し懇談した。9月に入り、当会は、県内全地方自治体の議会に一斉に「地方消費者行政の抜本的拡充に必要な法制度の整備及び財政処置を政府等に求める意見書」の採択を求める陳情書を提出し、神奈川県議会については、若手会員が議員と折衝して、当会からの請願として採択された。また、横須賀市・川崎市・横浜市・三浦市・葉山町・清川村・逗子市・座間市・大和市・愛川町・箱根町の各議会でも、陳情が採択(趣旨採択を含む)された。 |
さらに当会は、10月18日、県司法書士会、県内の弁護士・司法書士・消費者団体・消費者相談員の有志らからなる「消費者主役の新行政組織実現神奈川会議」(「消費者会議かながわ」)」と共催で「消費者のための新行政組織と地方消費者行政の充実を考えるシンポジウム」を開催し、議論を深めた。 |
その後も当会は県知事と面談を重ね、本年2月7日に発表された県の平成21年度予算案では、全体としては、税収減による緊縮型予算にもかかわらず、「平成21年度当初予算での重点的な取り組み」に「消費者生活相談体制の充実」が入り、消費者相談予算は5943万5000円と対前年度比で、269・8%になった。また、消費者問題についての弁護士相談の予算は、4倍になり、消費者行政全体の予算も、平成20年度の約5421万円が9100万円に増加した。さらに、平成20年度2月の補正予算案では、消費者行政活性化基金積立金を6億8730万円計上する(平成21年度6月補正予算で5億400万円積み増し)など大きく前進した。 |
これらは、当会が「消費者会議かながわ」らとともにねばり強く、県知事らに地方消費者行政の充実を要請してきた大きな成果である。 |
三法成立後も当会は、消費者庁・消費者委員会という立派な器の内容を充実させるため、7月27日に「消費者庁及び消費者委員会の人事に関する会長声明」を発表した。 |
県が予算を確保した以上、当会には、当然それにきちんと対応し、前記活性化基金の有効な使い方を政策提言するなど消費者行政のさらなる充実を目指して活動していくことが求められている。12月12日に開催される弁護士フェスタでは、「消費者庁・消費者委員会と地方消費者行政の充実」をメインテーマとすることになっている。 |
(会員 武井 共夫) |