横浜弁護士会新聞

2009年2月号  −2− 目次

外来生物問題ミニシンポジウム そこにあるべき自然とは
 当会公害・環境問題委員会は、三浦半島のアライグマなどの外来生物問題に取り組んできたが、弁護士フェスタでもミニシンポを開催し、講師にNGO生物多様性JAPANの研究員金田正人氏を招いた。
 金田氏は、実証的な調査研究に基づき、生物多様性とは何かから説き起こし、人為によって持ち込まれた外来生物による生態系破壊の問題を熱く語った。名のある地球上の生物170万種のうち年間4万種が絶滅、近代文明になっての絶滅速度は1000倍、動物の絶滅原因の約4割が外来生物、そういった数字も重く突き付けられた。また金田氏は、地元小学校でザリガニやリスがいる環境を「豊かな自然」と語ることがあるが、ザリガニもリスも外来生物であること、日本では自分たちの本来の自然環境がどんなもので、何を継承していくべきかをきちんと教えていないこと、を指摘した。
 会場では学生や市民が熱心に聞き入っていた。本当に守るべき原風景とはどんなものだったのか、我々もしばし立ち止まり、頭をめぐらせてみる必要があると思う。
(公害・環境問題委員会副委員長 畑中 隆爾)

消費者ミニシンポジウム 真に消費者のための組織・制度を
 当会消費者問題対策委員会は、弁護士フェスタにおいて「消費者庁と地方消費者行政の充実」と題するミニシンポを、消費者団体、消費生活相談員、弁護士、司法書士らで組織する「消費者会議かながわ」の協力を得て開催し、約60名の参加を得た。
 神奈川県消費者団体連絡会の松井弘子さんによる県内33市町村へのアンケート調査報告、消費生活相談員の岩澤禮子さんによる相談現場の実態報告から、神奈川県の消費者保護体制が人的・物的にいかに不十分であるかが改めて浮き彫りになった。また、当会の石戸谷豊会員から、国の第2次補正予算に組み込まれる消費者行政活性化基金につき説明がされ、「消費者会議かながわ」の加藤正治代表幹事より、県や市町村が同基金を有効活用し、消費者行政充実に繋げるために要望事項の提案がなされた。
 昨年は政府の消費者行政一元化・強化の方針を受け、消費者の権利がめざましくクローズアップされた年であった。今後もこの流れを止めることなく、真に消費者のための組織・制度が実現するよう当委員会としても積極的な活動、関係諸機関への働きかけを推進していきたい。
(会員 城田 孝子)

伝統の灯を守るべく 横浜市市民法律講座
 昨年12月2日、毎年恒例の横浜市市民法律講座の最終回が終わった。今回の特色は受講申込者が昨年比23%増となったことである。実はここ数年、受講申込者数の減少が問題となっていた。横浜市からの補助金が削減され当会の費用負担が増加したこととも相俟って、法律相談センター運営委員会では、講座の廃止も検討すべきとの意見すら飛び出す状況にあった。
 市民法律講座の起源は昭和47年に遡る。その年は、「5階建白亜の弁護士会館が完成した翌年であり、裁判所の一隅から独立した直後であった」(当会中山秀行会員、昭和58年12月号自由と正義57頁)。伝統ある市民法律講座の灯を簡単に消すことはできない。講師の先生に貴重な時間を割いて登壇をお願いする以上、1人でも多くの受講者に来ていただきたい。
 こうした思いから、今年度は、講座のテーマや講座のタイトル設定に例年以上に気を使うとともに、広報の充実を試み、さらにハガキによる申し込みに限定されていた申込方法を横浜市のホームページから申し込むことも可能とするなどの工夫をした。
 受講者のアンケート結果の集計が未了なので推測の域を出ないが、こうした努力と工夫が受講申込者増に繋がったと思われる。市民法律講座運営部会としては、これを弾みとして、来年度の運営に向けて、さらなる工夫と努力をしていく所存である。
(会員 小倉 孝之)

会員1000名突破 新入会員歓迎会開催
 昨年12月19日、華正楼本店にて恒例の新入会員歓迎会が開催された。当日は新61期を中心とする新入会員47名を含む116名が出席し、盛会であった。
 星野常議員会議長による乾杯の挨拶に引き続き、大勢の新入会員が挨拶を行ったが、今回特筆すべきは女性会員の多さであろう。平成20年9月8日より12月18日までに新たに入会した54名の会員のうち、実に23名が女性である。また、二回試験の不合格者が百名を超える昨今の情勢は止まらず、当会に登録を予定していた6名が不合格となってしまったとのことである。
 当会の会員数は増加の一途をたどり、ついに一千名の大台を突破した。これを記念して武井会長から、当会登録1000番目となった小林理英会員と前後賞2名に対し、会長がポケットマネーで自ら購入したという記念品が贈呈され、会場は大いに盛り上がった。
 その後、会長と約1年間共に会務に励みながら今まで一度も会長から何かを贈ってもらったことなどないという小賀坂副会長の中締めの挨拶でお開きとなり、新入会員は期待と不安を胸に、それぞれの二次会会場に向かったのであった。

障害者の人権110番 より多くの利用を目指して
 例年12月9日の「障害者の日」にちなみ、高齢者・障害者の権利に関する委員会が実施している「障害者の人権110番」が、委員有志と神奈川県社会福祉協議会、横浜市の協力により、昨年12月9日、当会会館で実施された。今回は、電話回線4本、FAX回線2本を設置して待機したが、相談件数は電話10件、FAX2件にとどまり、副委員長のTVK出演の効果は乏しかったようである。
 障害別の相談件数は、身体障害関係は5件、精神障害関係が3件、知的障害関係が2件であった。また相談内容ごとの相談件数は、成年後見・財産管理についてが3件、役所・施設等とのトラブルについてが3件、親族とのトラブルについてが2件、その他人権侵害についてが2件、生活保護相談が1件、労働契約についてが1件と、実に多岐にわたっていた。次回は、もっと効果的な周知方法を実施して、より多くの利用をしていただけるよう、さらなる努力を行いたい。
(高齢者・障害者の権利に関する委員会 副委員長 内嶋 順一)

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