昨年12月21日、横浜市開港記念会館と当会会館において毎年恒例の弁護士フェスタが開催され、約480人の参加者でにぎわった。 |
5月21日からの裁判員制度開始をひかえ、訪れる市民の関心も高いようであった。マスコットのサイサイ君も姿を見せ、盛り上げに一役買っていた。 |
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弁護士フェスタのメイン企画として、ここ数年、裁判員制度を取り上げ、裁判や評議を戯曲化しているが、観劇した市民には好評を博している。 |
いよいよ本年は裁判員制度施行年であり、フェスタにおいて裁判員裁判を事前に疑似体験してもらう最後の機会となった。 |
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現職法曹三者それぞれの立場から |
そこで今回の企画では、基本的なコンセプトを、(1)市民に裁判員制度の運用をわかりやすく解説し十分に理解してもらうこと(2)法曹三者がそれぞれの立場から説明すること、に置いた。 |
そのために、現職の横倉雄一郎裁判官と木村美穂検察官・徳竹敬一検察官をゲストに迎え、劇中の裁判官・検察官の役を演じてもらい、引き続き座談会にも参加してもらった。また、例年どおり神奈川大学法科大学院にも協力を仰ぎ、卒業生の新倉武さんに出演してもらった。 |
これらゲストの皆様の活躍は著しく、また劇団蒼生樹の濱田重行氏の演出により、出演した当会会員の好演も含め、劇は大成功に終わった。 |
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事件のあらすじ |
格差婚で妻に頭の上がらない電気設備工の被告人が、深夜、近くの電気店倉庫に侵入した。これを発見した警備員が被告人を捕まえようとしたところ、被告人は警備員を殴打のうえ突き飛ばし、傷害を負わせてしまったというものである。 |
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検察側・弁護側の主張 |
検察側は、倉庫の裏口のガラスがスパナで壊されていることや商品を梱包した段ボール箱が崩されていること、あるいは妻の「ビデオカメラが欲しい」というおねだり(この妻役を当会職員の柴田さんが熱演!)があったことなどから、被告人の窃盗の意思を認め、事後強盗致傷罪を主張した。 |
窃盗の実行に着手し、逮捕を免れようとして、相手の反抗を抑圧するに足りる暴行を加えると事後強盗罪となる。今回、被告人に窃盗の意思が認められればこれにあたり、さらに被害者に傷害を負わせているので事後強盗致傷となるのである。 |
検察側の主張に対し、弁護側は、被告人は贅沢三昧の妻に嫌気がさして家を飛び出した後、突然の雨と寒さをしのぐため倉庫に侵入したに過ぎない、などとして窃盗の意思を否定し、傷害罪を主張した。 |
以上のとおり、争点は窃盗の意思の有無であった。 |
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評決結果 |
結審後の評議は、会場の参加者へのアンケートを集計する形をとった。 |
回答者133名のうち、窃盗の意思を認める人が48名、窃盗の意思を認めない人が85名であり、執行猶予か実刑かについては、執行猶予120名に対し、実刑13名であった。 |
証拠が多くはないので困難な判断だったと思われるが、やはり、あの真面目そうな被告人がやるはずがないといった勘や印象に頼る傾向がアンケートの意見欄から見受けられた。今後の裁判員制度の運用に大変参考になる企画となったと思う。 |
(会員 高岡 俊之) |