横浜弁護士会新聞

2008年11月号  −3− 目次

私の新聞批評 辛口9 対 甘口1
会員 湯沢 誠
 日頃何気なく読んでいる横浜弁護士会新聞であるが、今回このコーナーの原稿を依頼されたため、改めてその意義、役割を考えてみた。
 まず、想定されている読者は誰なのか。当会の弁護士なのかあるいは弁護士以外の読者なのか。もし、弁護士以外だとすれば、具体的にはどういう人達か。そのことによって記事の書き方なども考える必要があろう。記事をよく読んでみると、結論としては弁護士と弁護士会周辺の人達なのであろう。
 弁護士には弁護士会の重要な議論や情報を伝え、また弁護士会周辺の人達たとえば隣接業界、自治体、経済界、労働界、大学関係者などの方々(具体的にいうと新理事者披露会に来られるような人達)には弁護士会の行っているさまざまな活動を理解していただき、あるいは弁護士会に対してより親しみを持っていただくということであろう。
 前置きはそれくらいにして、以下、2007年10月号から2008年9月号までの新聞に対する批評である。
 常議員会という言葉が再三登場するが、弁護士以外の読者に理解できるのか。毎号でなくてもいいと思うが、たまには文章のどこかに「弁護士会の意思決定機関である」という頭書を入れて欲しいと思う。その点では関東十県会の記事(8月号)にその説明があったのが良かった。関東十県会については若い弁護士の中にもその存在や位置付けを知らない人が多いのではないか。
 2月号の米沢ひまわり基金法律事務所に勤務する弁護士の募集記事のタイトルが「御鷹ぽっぽとシーサーもお待ちしております」となっていたが、意味がわからなかったのは私だけであろうか。
 07年6月号の「新聞批評」欄で松井宏之会員が新聞記事の見出しが重要であると論じていたが、同感である。ついでに同会員は写真の重要性も論じておられたが、ときおり、理事者を撮影した写真であるにもかかわらず、ピンボケのものがあった。新聞記事における写真の効用を考えるとき、今後注意していただきたいと思う。
 全般的な感想としては、昔の記事と比較して相当興味を持てる内容になっていると思う。いつの間にか常議員会ニュースがなくなっていた。これも良かったと思う。基本的に弁護士のみを対象とする記事と思われるし、スペースの点からしても会員向けの常議員会速報で十分事足りるからである。正直言って記事の内容もあまり面白くなかった。以上が辛口の部である。
 以下は甘口の部である。毎号誤字がまずないのは立派であると思う。
 「山ゆり」にも感心している。時事的な話題を取り上げながら、法律的な視点を交えたまとめになっている内容が多いが、展開が巧で、毎号文章力に感心するばかりである。「私の独立した頃」、「私の事件ファイル」なども私の楽しみにしているコーナーである。

理事者室だより7 都市型公設の設置実現に向けて
副会長 加藤 勝
 当会で都市型公設事務所の来年度設置に向けての検討が再始動している。
 実は当会は4年前の総会で都市型公設事務所の設置を決めた。支援金3000万円の支出も了承された。しかし所長の引き受け手が見つからずに時が過ぎ、支援委員会も2年前に事実上活動を停止した。
 ところが最近追い風が吹いてきた。過疎地に派遣する弁護士の養成拠点として都市型公設の役割を重視する動きだ。9月に横浜で開催された関弁連大会でも過疎地に定着する弁護士養成のため管内の単位会に、都市型公設事務所を設置する方向で検討を進めるとの大会宣言が出た。当会の利用にはハードルがあるが、日弁連には偏在解消のための経済的支援の制度ができた。
 加えて、昨年度まで安芸ひまわり公設事務所に赴任していた石川裕一会員が新構想を発表した。石川試案では、所長を置かず、過疎地からの帰任者を中心とした若手3名と被養成者となる新人3名で構成する。そして過疎地帰任者の受入を積極的に進める。これは帰任者の悩みのひとつである帰任後の経済不安解消の一助となる。一方新人は、最良の教師を得て過疎地弁護の実践的ノウハウを学ぶ。こうして人と情報が循環する中でノウハウが蓄積され、過疎地に飛び立つ優れた人材の派遣拠点ができるという仕組みだ。
 現在再始動した公設支援委員会は石川試案をベースに来年5月の設置を目標に鋭意検討を進めている。執行部でもこの動きを積極的に支援する方向だ。

新こちら記者クラブ 変わらないもの
 「これまでの量刑はなんだったのか?『法律家のひとりよがり』だったと理解すべきか」これは模擬裁判に参加した弁護士の感想。「『我々も変わらないといけない』と意識改革の必要性をこの数年、感じてきた」とは裁判所の関係者の言葉。
 裁判員制度開始まであと半年。法曹関係者が模索しているのは「時代が求める変化への対応」だろうか。裁判員制度に求められるものは「一般の常識を司法に」とか「分かりやすさ」などいくつかあるだろう。
 4年半前、仙台地裁で判決があった病院での殺人事件の裁判。論告求刑が3日間、最終弁論は2日間、判決は丸1日、公判は150回を越えた。今なら、「時代遅れ」と批判される裁判かもしれないが、被告や被害者の関係者がメモを取りながら傍聴している姿が記憶に残っている。時代が変わっても変わらないのは、「一つの裁判に、当事者の今後の人生がかかっている」ということであり、仙台地裁が出した数百枚の判決文も、当事者にとって唯一無二の記録だ。
 ある検察幹部は「裁判員裁判も現行の裁判も、一つひとつの裁判で、どうしたらベストが尽くせるか考えて準備するしかない」と言った。3年ぶりに裁判取材をすることになり、「裁判員制度は大丈夫か」などの問題意識は勿論ある。しかしまず、一つひとつの裁判取材でベストを尽くすための努力を怠らないことをあらためて覚悟して、半年後の歴史的節目を迎えたい。
(NHK横浜放送局 井出 庸生)

弁護士フェスタ in KANAGAWA 2008
12月21日(日)11:00〜
横浜市開港記念会館&横浜弁護士会館
 プログラム
 11:00 横浜弁護士会各種活動紹介 大規模無料法律相談会
 13:15 横浜弁護士会人権賞贈呈式
 14:00 裁判員劇「あなた、本当にやったの?」 ─格差婚の悲劇─
 17:00 終了予定
 シンポジウム
 ◆消費者庁と地方消費者行政の充実
 主催: 消費者問題対策委員会
 時間: 11:00〜13:00
 場所: 横浜弁護士会館5階/BC会議室
 ◆外来生物問題
 主催: 公害・環境問題委員会
 時間: 11:00〜13:00
 場所: 横浜弁護士会館5階/A会議室
 無料相談会・申立受付 フェスタ当日限定
 ◆無料法律相談会【先着70名】
 主催: 相談法律センター運営委員会
 時間: 10:00〜12:00(相談開始11:00)
 場所: 横浜弁護士会館1階
 ◆和解あっせん手数料無料受付
 主催: 紛争解決センター運営委員会
 時間: 10:30〜16:00
 場所: 横浜弁護士会館4階/和室

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