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■現在の被疑者国選登録者では対応できない |
被疑者国選は、「必要的弁護事件」にまで対象事件が拡大する。想定される被疑者国選の事件数は、別表1のとおりである。これを現在登録されている被疑者国選弁護人だけで担うと大変な負担となる。とりわけ支部会員の負担が大きい。そこで、声を大にしてお願いしたいのは、これまで被告人国選に登録している会員には是非、被疑者国選にも登録していただきたいということである。 |
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■被告人段階からの国選は激減 |
必要的弁護事件は「無期または長期3年を超える懲役もしくは禁固に当たる事件」(刑訴法289I)であるから、重大事件だけではない。窃盗や覚醒剤単純使用など全勾留請求の80%以上が被疑者国選対象事件となる。また、ほとんどが被疑者段階からの選任となり、被告人段階からの選任はわずかとなる。本部では、月60件、1日平均2〜3件と予想している。 |
拡大する被疑者国選事件に対応するためには最低限、被告人国選の登録者数に近い数の被疑者国選の登録が必要である。どうか「被告人事件はやるが、被疑者国選はしんどいからやらない」と言わないで欲しい。 |
■年に1件でも県西支部会員の応援を |
小田原支部の被疑者国選事件については、県西支部会員の被告人国選登録者が全員被疑者国選登録しても、また新規登録会員が全員被疑者国選登録をしたとしても一人年間19件の被疑者国選を担当しなければならない。同じ当会の会員であるのに県西支部会員だけにこのような加重な負担を押し付けるわけにはいかない。年に1件だけでも、小田原支部の被疑者国選事件を担当して、県西支部会員を応援しよう。応援対象事件は、小田原警察、平塚警察、厚木警察のように本部から比較的近い警察の身柄事件だけで、裁判員裁判対象事件、要通訳事件、即決裁判も対象外となる。 |
■中堅・ベテランの方も裁判員裁判国選の登録を |
5〜6月にかけて裁判員裁判の国選名簿に登録していただいた会員数は別表2のとおりである。数字的にはなんとかなりそうでもあるが、複数選任を考えるともう少し登録人数を増やしたいと考えている。また、若い会員は積極的であるが、20〜30期代の会員の少なさが目立つ。 |
なお、裁判員裁判国選は、本部では1週間単位で待機してもらい、支部では登録者名簿を作成し、順番に配点することになる。 |
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■おわりに |
平成2年に当番弁護士制度を発足させて以来、多くの弁護士が、身銭を切って汗をしてきた。こうした日々の活動がそれまで日の当たらなかった被疑者段階の弁護を充実させてきた。その目指す先は「被疑者国選制度」の実現だった。そして、いよいよ来年5月から被疑者国選制度が本格的に始動し、われわれ弁護士の悲願がようやく実現することになった。裁判員裁判も大きくこれまでの刑事裁判を変えることになる。われわれは、ここでもう一度、弁護士の使命を思い起こし、あらたな局面を迎える刑事弁護に万全の態勢で臨みたいと思う。会員の皆さんのご協力お願いします。 |
(刑事弁護センター 運営委員会委員長 木村保夫) |