横浜弁護士会新聞

2007年8月号  −2− 目次

女性の権利110番 潜在的な被害救済の端緒に
 6月25日、人権擁護委員会両性の平等部会では、毎年恒例の「女性の権利110番」という電話相談を実施した。6月23〜29日が「男女共同参画週間」とのことで、全国のほとんどの各単位弁護士会でも同じ企画をこの期間に一斉に行った。
 このような電話相談の利点は、匿名でも可能な気軽な手段であることから、相談者にとって心理的負担が軽いことにある。電話相談が端緒になって、通常の法律相談を受け、法的手続による権利救済につながることも多いので、企画者側としては、事前広報活動に相当のエネルギーを割いた。
 既に両性平等部会の広報担当としての数多くの実績がある熊谷会員の華々しい活躍のおかげで、駅にビラを置く、ラジオ、テレビ、新聞、タウン紙で広報してもらう等の幅広い広報が実現し、4時間半の間に60件の電話があり、待機した20数名の会員は大忙しだった。ちなみに広報効果はやはり新聞が高いが、タウン紙も非常によく読まれているという印象がある。
 相談内容で圧倒的に多いのは離婚相談で、次に職場でのセクハラなどが続く。「性行為を断ると暴力をふるったり不機嫌になったりするのが嫌なのですが離婚できますか」という質問に対し「性的暴力も離婚原因になり得ますよ」と答えるだけで、「自分の不快感には理由があるのだ」というカタルシスを得て緊張が解けるのか、電話口で急に涙声になったりする方もいる。
 ごく微力ではあるが、潜在している権利侵害をすくいあげる端緒として一定の役割を果たしているという実感もあるので、今後も継続し発展させていきたい。
(会員  太田 啓子)


私の事件ファイル(7) 嘘をあばいた反対尋問
会員 田子 璋
 誰であれ、永年弁護士業務を続けていれば、いくつかの忘れ難い事件はお持ちであろう。46年間続けてきた私にも、いくつかの事件がある。今回は、その中の一つで、弁護士になって9年目に出会った事件をお話ししよう。
◇  ◇  ◇
 事件の概要は、銀行が、貸付先の企業倒産に伴い根抵当権を実行したが、これに対抗できる賃借権があり、その賃借人が代表者個人に転貸借しているとの届出が賃貸借契約書及び転貸借契約書を添えてなされ、そのため、元本の回収もおぼつかなくなり、何とかしたいというものだった。融資担当者の説明では、根抵当権設定時に代表者から説明を聴いたが、物件全部を企業及び代表者が使用し、第三者には賃貸していないということであった。しかし、残念ながら根抵当権設定時に代表者より物件の使用状況の確認書は取っていなかったということで、このため、前記の不正申出を許す結果を招いたのだった。
 そこで、賃借人を被告とする賃借権不存在確認及び代表者個人を被告とする転借権不存在確認等の訴を提起するとともに、競売事件については進行を一時中断されたいとの上申書を提出した。裁判の帰趨は、賃貸借契約書が、後日、対抗できるよう年月日を遡らせて作成されたものであるとの心証を裁判所に持ってもらえるか否かにかかっていると考えた。
 そのため、賃借人の被告本人尋問が最も重要と考え、事前に賃借人の住民票と賃貸借契約書記載の住所とを対比した結果、異なることが判った。これは、実際に契約書を作成したとき、頭隠して尻隠さずの類いで、作成年月日を遡らせたものの住所はそのとき居住していた住所を書いてしまったと推測した。そこで、この点を中心に尋問をすることにしたが、尋問がうまくいっても調書にその点が記載されないと水の泡となるし、何よりリアルな印象を持って貰うためには速記官調書に優るものはないので、裁判所には証拠調べの際、速記官を入れるようお願いした。
 そして、当日、被告に賃貸借契約書を示し、同書作成当時に契約書記載の住所に居たか否か、住民票の届出はどうしていたか、現実の住所を移転しても届出をしないということはなかったか、等の質問をした。
 これに対し、被告は、契約書記載の住所は作成時現実に居住していた住所である、自分は不動産を手広く扱っており不動産の登記の必要からも住所変更後すぐに届出をしている、実際の住所と住民票の住所とが違うことはない旨の供述をした。
 そこで、住民票を証拠として提出し、被告の尋問結果と住民票記載の住所とを対比すれば、賃貸借契約書は根抵当権設定登記に遅れて作成されたことは明白である旨の最終準備書面を提出し、勝訴の判決を得て損害金を含め全額回収できた。
◇  ◇  ◇
 これなどは、旧民訴の下であるからうまくいったものである。提出予定の書証は事前にすべて提出し証拠説明書で立証趣旨を明確にしなさい、という現行民訴の下では、このような悪い者に言い逃れの機会を与え、真実の発見から遠ざかるのではないかと危惧する。


話し声 笑い声 にぎやかに 横浜法曹懇談会
 7月5日、当会会館において、本年度の横浜法曹懇談会が開催された。
 横浜法曹懇談会は、立食パーティー形式で法曹三者が懇親を深め合うため、地裁、家裁、地検、弁護士会の順番で当番となり、昭和30年以来毎年1回開催されている伝統行事である。
 今年の参加者は、裁判官32名(地裁26名、家裁6名)、検察官17名、弁護士63名の総勢112名であった。
 司会進行は、当会の竹森裕子副会長。
 まず、今年の当番庁である横浜地検の渡辺一弘検事正が開会の挨拶を行い、裁判員制度の開始に向け、市民のための司法の立場から、法曹三者の協力が必要だと述べた。
 引き続き、来年度の当番庁である当会の山本一行会長が、本会の盛会を祈念し乾杯の挨拶を行った。
 乾杯が終わると、あちらこちらで各所属の枠を超えた交流の輪ができ、会場は一気ににぎやかな話し声と笑い声で一杯に。
 懇談は終始和やかに進められ、裁判員制度の話からゴルフやテニスなど趣味の話まで硬軟とり混ぜて、大いに盛り上がった懇親会となった。
 久しぶりで研修所のクラスメイトに会ったり、指導担当と再会したりと、昔話に花が咲いた参加者もいた。
 1時間半があっという間に過ぎ、会場はまだまだ話し声笑い声であふれていたが、予定の時間となってしまった。
 最後に、三嶋健副会長の閉会の挨拶で楽しかったひとときは幕を閉じた。

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