横浜弁護士会新聞

2007年8月号  −1− 目次


こうなる新司法修習 今年度より受け入れ開始
 法科大学院の修了者を対象とする新司法試験が実施され、その合格者に対する司法修習(新司法修習)が、平成18年度から開始された。横浜地方裁判所には、平成19年11月下旬から120名の新司法修習生(62期)が配属されることになったが、新司法修習は、修習期間の短縮、選択型実務修習の導入など、従来の修習とはかなり様相が異なっている。
 

新司法修習の概要

 新司法修習では、修習期間が1年に短縮され、従来型の分野別実務修習が合計で8か月、新制度の選択型実務修習が2か月、司法研修所で行われる集合修習が2か月という課程で構成される。

分野別実務修習について

 分野別実務修習は、従来型の民事裁判、刑事裁判、検察、弁護の4分野について行われる修習で、それぞれ2か月ずつ実施される。当会の弁護修習ではこれまでは、介護実習や工場見学といった社会修習や夜間講義等といった一般修習も、かなりのボリュームで行ってきた。しかし、修習期間の短縮と共に、個別指導弁護士の下で行う修習への圧迫とならないよう一般修習の大幅な削除を検討中である。なお民事・刑事それぞれの起案については、従来通り実施する予定である。

選択型実務修習について

 選択型実務修習は、主に各実務庁(裁判所、検察庁、弁護士会)が用意したプログラムの中から、自らの進路や興味・関心に応じて、修習生が主体的に選択・設計する実務修習で、当会では分野別実務修習の後で引き続き実施される。当委員会では、現在、各委員会、専門実務研究会、弁護団等にプログラムの作成を依頼しているところである。なお選択型実務修習中は、原則として分野別実務修習で配属された弁護士事務所がホームグラウンドとなり、修習生が選択したプログラムを履修していないときは、ここで修習することになる。

集合修習について

 当会に配属される司法修習生については、選択型実務修習の後、すなわち最後の2か月に、従来と同様、民事裁判、刑事裁判、検察、民事弁護、刑事弁護の5科目について、集合修習が司法研修所で行われる。これに対し、従来の「前期修習」に当たる集合修習は行われない。平成18年度の新司法修習では、最初の1か月間に「導入修習」と称して、いわゆる白表紙に基づく起案による指導等が行われた。しかしながら平成19年度以降はこの導入修習も行われず、新司法試験の合格者がいきなり実務庁に配属されることになる。これは、法科大学院で起案等の実務指導も行っているという前提に基づくものであるが、実際には、訴状起案を行っている法科大学院は6割、準備書面に至っては1割程度といったデータもある。そこで当委員会では、導入修習に代わるべき修習カリキュラムが実施できないか検討中である。

今後の司法修習の充実に向けて

 当会で受け入れる修習生の数が増加し、個別指導の期間も、分野別とその後のホームグラウンドでの修習をあわせると実質4か月間となり、また、起案の経験がない修習生が配属される可能性もあるので、個別指導を担当する弁護士の協力は今後なお一層不可欠となるだろう。そこで、今後も後輩育成のため、是非会員のご協力をお願いする次第である。
(司法修習委員会 副委員長   飯田 直久)


法律相談センター 遅刻や報告懈怠に注意を!
 昨年6月1日から実施された法律相談等担当者不適切行為措置基準の運用について、今年3月31日までの10か月間の結果を別表のとおり報告する。
不適切ポイント別人数 この基準の目玉は、不適切ポイントが150ポイント(P)以上となった会員には法律相談センターにおける法律相談に関する全担当者名簿からの抹消という措置(名簿抹消)が課せられることであった。同基準スタート前は、同基準を周知すれば150Pに達する会員は出ないであろうとの思いもあったが、残念なことに6名の会員が名簿抹消となった。名簿抹消者6名の不適切ポイントの理由は、遅刻・欠席と「受任・不受任についての回答のご依頼」に対する報告懈怠であった。6名の内3名は、遅刻・欠席での不適切ポイントはなく、報告懈怠だけで150P以上に達していた。また、1名は、報告懈怠での不適切ポイントはなかったものの、遅刻・欠席だけで150P以上に達していた。残り2名については、遅刻・欠席と報告懈怠が理由となっているが、いずれも報告懈怠での不適切ポイントが150P以上に達していた。
 結果的には、遅刻・欠席だけを理由とする名簿抹消は1名だけであり、残り5名は、報告懈怠が直接の名簿抹消理由であったと言える。

報告懈怠については繰越しも

 名簿抹消された会員については、毎年会員に送付される「横浜弁護士会各種名簿登載申出書」の提出をもって名簿登載申請と見なし、名簿抹消措置期間経過後に法律相談センター運営委員会で名簿登載を認めるかを判断することになる。遅刻・欠席の不適切ポイントは当該年度に留まるのを原則としているが、報告懈怠案件については、翌年度には前年度の不適切ポイントが抹消されても、未回答分については、再度、「受任・不受任についての回答のご依頼」が担当者宛に送付されるので、結果をきちんと報告しない限り、不適切ポイントが年々加算されることに注意して欲しい。
 なお、報告懈怠を理由とする名簿抹消については、速やかに報告懈怠状況が解消されない限り、名簿登載申請には応じないことになっている。また、年間の不適切ポイントが毎年150P未満であるから絶対に担当者名簿から抹消されないというものではない。毎年の不適切ポイントがかなりの数に達している会員に対しては、場合によっては名簿抹消措置を取ることもある。
 法律相談担当者の遅刻・欠席等の苦情窓口となっている法律相談センター事務局の反応は、「担当者の遅刻・欠席が減っている」「これからも続けて欲しい」「担当者に緊張感が出てよい」等と極めて良好である。法律相談センター運営委員会では、ポイント集計の時期、名簿抹消措置期間について再検討し、今後も同基準の周知・徹底を図る予定であり、会員のご協力をお願いしたい。
(法律相談センター 運営委員会 事務局長   柴野 眞也)

山ゆり
 とにかく古本屋巡りが好きである。私は,稀覯(きこう)本の収集家や読書家というわけではない。本を読むこと以上に,立ち読みをしながら,古本屋を徘徊することが好きなのだ
 高校時代は,夏期講習にかこつけて御茶ノ水に出た。授業は眠くなるばかりであったが,その後の古本屋巡りの楽しさを考えて我慢していた。他の受講生が,講習後も自習室で勉強している間,私は古本屋街を歩き回っていた
 古書店の楽しさは,何よりも,各書店の品揃えのおもしろさにある。新刊書店では,「大型書店の品揃えは中小書店のそれを兼ねる」関係があるので,大型書店をじっくり見れば足りる。しかし,古書店では,店舗毎に思いもかけない本が見つかる楽しさがある。古書は,少なくとも誰かがかつて購入した本であり,そこに新刊書とは違った味や思い入れが入るのだろう
 さて,新人編集者としてお知らせを一つ
 弁護士会ホームページで、横浜弁護士会新聞のバックナンバー(これも古書?)を読むことができる事をご存じだろうか。トップページから、「お知らせ」「横浜弁護士会新聞」とたどって欲しい スイカ
 まとめて読むと,この8年間の弁護士会の活動がよく分かる。もちろん,この「山ゆり」も8年前の分から読める。約100編の個性豊かなエッセイ集である。ぜひアクセスを。
(三浦  靖彦)

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