横浜弁護士会新聞

2007年7月号  −3− 目次

理事者だより(3)
副会長 伊藤 信吾
会務負担の公平化を
 副会長になってみると、執行部や関係委員会の会員のみならず、全会員が一丸となって考え取り組まなければならない課題が山積みであることを、ひしひしと感じます。
 弁護士激増時代の中で、公益的な活動に比し個々の弁護士の営業基盤の確立が優先される面もあります。しかし、我々は生計の手段として弁護士になっているわけではなく、弁護士として誇りを持って活動をし、自らの「弁護士道」とも言うべき職業的使命をしっかり持ち続けていたいと感じているはずです。
 その意味では、職業的な使命を多方面で実践している弁護士会活動を維持発展させることは、我々弁護士の活動の当然の一環と感じますし、広く多くの先生方に会を支えていただかなければなりません。
 そして、弁護士会は、公益的な強制加入団体なので、我々弁護士の営業利益を追求するのみでなく、広く市民の法的利益を守る存在であることを多くの市民に知っていただかなければなりません。
 そんな想いから、本年度執行部としては、公益活動のポイント制により、会務負担の公平化をはかることを提案し、対外的には県民に対して神奈川の地域司法計画についての方針を示していきたいと思います。
 そのため、私も、1年間微力ながら努力いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 

こちら記者クラブ 「取り調べ」こもごも
 「弁護士が毎日来るので困った。もう来ないでくれと言ったこともあります」。
 昨年起きた殺人事件の裁判での一幕。殺人罪などに問われた被告人は丁寧な口調でそう答えた。裁判の前には「弁護士は必要ありません」とも言っていたという。
 2カ月近く続いた警察の取り調べについて、「誘導尋問と強制ばかり」と不満を述べた被告人。だが長時間の取り調べの後に待っていたのは、弁護士による「取り調べ」だった。それは精神的にも体力的にもきつかったらしい。
 「何を聞かれた」「何を話した」。五人近い弁護士が毎日のように接見に来る。
 当時のことについて、被告人は「とてもじゃないけど思い出せない」と法廷でうんざりしたように振り返った。
 弁護士は被告人の権利を守るために、不当な調べに対し「言いたくない事は話さなくていい」「納得できなければ調書にサインしなくていい」と助言をする。それは当然のことだと思う。
 だが被告人が警察と弁護士の「取り調べ」に疲れ切ってしまえば、真実を話す気力をなくしてしまうのではないか、とも危惧する。極度の緊張状態が、人を狂わすことだってあるかもしれない。
 ちなみにこの被告人、検察側の調べについてはこう述べていた。「質問と答えとしてどれが一番近いか選択肢を示してくれた。座っているだけでいいんで、地検の調べが一番気が休まりました」。
(東京新聞 小川 慎一)


前のページへ 次のページへ

<<横浜弁護士会新聞メニューへ