|
10月6日、当会会館において日弁連人権擁護大会第2分科会のプレシンポジウムが開かれた。110名以上の参加者があり、椅子が足りなくなるほどの大盛況だった。
|
第1部は、まず、少年事件の手続きの流れと弁護士付添人の活動を紹介するドラマ仕立てのビデオ「オレってこれからどうなっちゃうの?」が上映された。
子どもの権利委員会の手作りのビデオだが、若手委員のさわやかな熱演とベテラン委員の怪演を楽しみながら、わかりやすく手続き全体を理解できる仕上がりであり、大変好評だった。
また、裁判所の社会記録ファイルや書記官の手控えなどまで細かく作りこまれており、マニアックにも楽しめるものである。 |
|
続いて、以前に当会会員が付き添った「元少年」にインタビューしたビデオが上映された。一連の手続や弁護士付添人の活動をどのように受け止めていたのかが「少年」の目線で具体的に語られ、大変参考になる内容だった。
特に、付添人に対してだけは、自分を処分する立場の人ではないので本音で話をすることができたというエピソードは、付添人ならではの役割を再認識できて印象深かった。
また、付添人からもらった手紙に手書きの字がなくてショックだったという話もあり、相手を思いながら心を込めて字を書くことの大切さを教えられた。 |
第1部の終わりには、栗山委員から弁護士付添人の役割と国選付添人制度、当番付添人制度の概略の報告があった。そして、成人刑事事件の弁護人選任率と比べて付添人の選任率が少年事件全体で5〜6%、身柄拘束事件で25〜30%と極端に低い現状を説明し、付添人制度を拡充する必要性を訴えた。
|
|
第2部は、県内で非行を犯した子ども達の問題に携わっている方によるリレートークとして、家庭裁判所、少年鑑別所、医療少年院、保護観察所、児童相談所、神奈川県BBS(ビッグブラザーズアンドシスターズ)連盟、仏教慈徳学園(補導委託先)、非行と向き合う親たちの会からの出席者がそれぞれの熱い思いを語った。
|
|
これほど多様な立場の方が一同に会して意見交換をする機会は例がなく、お互いの立場を理解し、尊重し、補い合って連携していくことの重要性を確認できる貴重な機会となった。そして、弁護士は手続きの全過程に関わるだけに、連携を推進していかねばならないこと、そのためにも付添人活動を充実させる必要があることを改めて認識させられた。
|
(子どもの権利委員会 委員 東 玲子) |
|
10月18日、理事者全員が集まり、ささやかな宴をもった。当日の秦野市訪問で県下33市町村を全て回りきったことに対する打ち上げである。 |
なぜ、私たちは、県内の全ての市町村を訪問しようとしたのか。それは、当会の意義・役割を皆さんにお知らせするとともに、裁判所支部周辺の活動に限定され、視野が狭くなっている私たち自身、実際に県内全域を訪問することにより、全県の実情を肌で知ることにあった。
|
私たちは、弁護士会を紹介するパンフ、法律相談センターのビラ、金融庁が全国の自治体に呼びかけている多重債務プロジェクトの申入書、自治体の債権回収に弁護士会が協力していることを報道した新聞記事、弁護士会の自主事業に対する補助を求める申入書等を一冊にまとめたファイルを作成して、それを手みやげとして各自治体を訪問し、市町村長と懇談を重ねた。
|
8月には、県西を中心に、自治体訪問と並行して、3自治体で無料法律相談を実施し、法律相談を通じて、地域の皆さんと交流し、地域の法律相談の実情を学んだ。
|
裁判所支部が所在する市を含む8市で、支部会員の皆さんが、多忙な中、私達の自治体訪問、市町村長との懇談に参加して下さった。地域の実情をよく知っている支部の会員が懇談に参加することにより、懇談は和やかで、忌憚のない意見の交換をすることができ、地域の実情の理解が深まった。
|
各市町村は、おおむね私たちを歓迎して下さった。多くの自治体で、市町村長が、多忙な時間を割いて、私たちに会って下さり、地域の実情を熱心に語って下さった。
|
逗子市では、弁護士資格をもつ市職員鈴木紀夫会員とも面会し、公務員弁護士の活躍の実情にも接した。鈴木会員は、市長の期待通りの活躍であり頼りにされていた。職員の資格だと顧問と異なり、機動的に、かつ、深い相談ができるので、ありがたいということだった。
|
県西では、テレビでお馴染みの著名弁護士が、複数の市役所の顧問となり、法律相談を担当していることもわかった。
|
自治体訪問中、運転手を務めた藤田副会長によれば、走行距離は860q(東京−名古屋・2往復半)にも及んだということだ。副会長は、都合にあわせて交代したが、会長は、代わる人がいないので、全市町村を踏破した。さぞかし大変だっただろうと推察する。
|
ただ、弁護士会が真に神奈川県民のための弁護士会を指向するのであれば、執行部が県下全市町村を訪問するのは不可欠であり、次年度以降の執行部も引継いで欲しい。 |
(三嶋 健副会長) |