諸先輩方に感謝!! |
私のボスは、今は亡き小林正基先生でした。昭和29年廃止になった自治体警察の横浜市警察本部長を最後に退官し、弁護士登録、横浜弁護士会に入会。巡査からのノンキャリアで、警察在職中に高等文官司法科試験に合格した努力の人でした。研修もなく直ちに独立開業したため、特に民事事件処理には大変なご苦労があったとお聞きしています。 |
私は、修習21期です。当会の谷田部正先生の事務職員をしていた関係で、修習地を横浜に希望したのですが、東京に決められ、弁護修習は、昭和43年度日弁連会長になられた東京弁護士会の荻山虎雄先生の事務所でした。修習終了後先生の事務所に来ないかとの話もあったのですが、谷田部先生のところに戻ることになっていたのでお断りしました。 |
ところが、昭和44年2月修習終了の2回試験の直前に、谷田部先生が急逝され、途方に暮れていたとき、小林先生が昭和44年度の横浜弁護士会の会長に就任されることになり、事務所を手伝ってくれないかとのお話があり、ボスの初めてのイソ弁として、弁護士の第一歩を踏み出しました。 |
ボスは、本橋、榎本、渡辺(徳平)の3先生を副会長とする小林丸を率いて会務に専念され、現在ある弁護士会館建設の準備に追われていました。特に、敷地につき、一旦は横浜地方裁判所を経由して、国から賃借することが約定されていたのが、反古になるかもしれないという危機に立たされ、ご苦労をされていました。 |
また、横浜市の各種行政委員を務めていて、当時は教育委員長でした。自然、事務所の事件処理は、私に任せっぱなしになりました。 |
登録2日目、突然明日の横浜地裁の石藤太郎判事の部の交通事故による損害賠償請求被告事件の鑑定証人調べを頼むというのです。数日後の朝、出勤途中の石藤判事とご一緒したところ、「先生は弁護士になって何年になられるのですか」とからかわれたことを思い出します。
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当時、イソ弁は、長くても5年といわれていました。最首和雄先生という優秀な後任のメドがついたのを機に、昭和49年春、ボスの了解の下、数件の手持ち事件を抱えて独立しました。何故か、仕事に関わる節目の時、自宅の新築・移転がありました。この時も、川崎から藤沢に転居しています。事務所開設並びに、その後の事務所運営について、同じビルの加藤満生先生(15期)には、大変お世話になりました。また、今日、私がライフワークとしている公害環境問題に関わるきっかけも、先生のご指導によるものでした。 |
弁護士登録以来現在まで続いている横浜21期会の判例研究会(というほどでもないのです。判例時報の最高裁民事判例につき、ほぼ毎月1回の輪読会)も、先輩の15期会を見習ったものでした。多くの先輩諸先生のおかげで今日の私があることを感謝します。 |
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周知の通り現在国民の間では年金問題の不安が広がっている。その発端は国会の審議において基礎年金番号に結びつけられていない記録が5000万件あることが表面化したことにある。
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そこで社会保険庁側は年金記録処理に対する国民の信頼を回復するため、次々と「年金記録への対応策」を発表した。そしてこの「宙にういた5000万件」と基礎年金番号との関連を徹底的にチェックすると共に、社会保険庁の記録上は一部の期間保険料「未納」となっている国民の救済策として総務省内に第三者有識者で組織する「年金記録確認第三者委員会」(中央に3、地方に50。以下「当委員会」という)を設置し、年金記録の訂正の斡旋を開始した。 |
前記5000万件が全部基礎年金番号に結び付けられ照合できたとしても、それで年金問題が解決となるものではない。 |
何十年も前の保険料支払関係については、「記録・証拠がない」事例が当然生じてきており、その取り扱いをどうするか、このような事例の判断・救済が当委員会の役割であり、総務省が社会保険庁に年金記録訂正の斡旋をするか否かの斡旋案作りを当委員会がしている。 |
すなわち、国民は社会保険庁の記録の回答を見て、これまですべての期間年金保険料を支払ってきていたと思っていたのに、社会保険庁の記録によると一部の期間「未納」となっていることが分った場合、その記録の訂正を求めて当委員会宛の申立書を最寄の社会保険事務所へ提出する。社会保険事務所では再度記録の確認をできる範囲の調査を経て当委員会へ転送する。当委員会(神奈川の場合は毎週1回開催)では、申立人が「未納」となっている期間を特定しているので、その期間年金保険料を支払ったか否かの蓋然性について判断するのが役目である。 |
その判断基準については中央の委員会で一定の基準を作りそれに従うことになっているが、その判断基準は法律でいう、いわゆる「一般条項」に類似し、その判断基準にあてはめれば直ちに結論が出てくるというほど簡単なものではない。書類審査だけで結論が出る案件もあるが、多くは関係官署への照会や、申立人からヒヤリングして委員10名の自由心証により結論を導く案件も多くなっていくように思われる。 |
そこで弁護士業務との関連性が出てくるのであるが、当委員会は弁護士2名が入っている。今後も弁護士がリードしていかなければならない委員会であると考えられるので、次に委員になる方は「事実認定」の前提となる経験則・社会通念の涵養を常日頃意識して頂きたい。また、当委員会に申立して、斡旋にまで至らなかった申立人から相談を受けたときは、法律上の救済策として何が考えられるか、これから出てくるであろうと思われる新しい問題であるので今から思い巡らしておくことも無駄ではないように思う。
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