横浜弁護士会新聞

2007年11月号  −1− 目次


10の決意と公益活動ポイント制に賛否両論−9.26 会員集会−
  9月26日、当会会館で会員集会が開かれ(1)横浜弁護士会10の決意(仮称)(2)公益活動等の参加の公平化を図るための負担金制度(公益活動等のポイント制)について議論が交わされた。
 
横浜弁護士会 10の決意
 始めに三嶋副会長から同決意の制定趣旨が説明された。
 同決意は司法制度改革審議会意見書を受けて2002年に決議された「市民の司法の実現に向けて横浜弁護士会をあげて取り組む決議」を引き継ぐものである。同決議から5年が経過し、法科大学院や法テラスが動き出し、被疑者国選制度などの新制度が実施されるなど、司法改革が実践されてきた。そのような時期に、改めて県民に対して当会が進むべき道を表明することが重要と考え、決意案を作成するに至った。また、本決意を提示することで、各市区町村から当会の具体的活動に対する理解を得ていきたい。

決意表明自体に疑問の声も

 理事者からの趣旨説明を受け、同決意に賛成する立場からは(1)市区町村には、当会の法律相談等の活動は認識しているが、公益活動には充分な理解が得られていない、今後、当会が何かをするにあたり、議員や市民の協力が必要なこともある、その時に当会の活動に対する理解を得ておくことは必要(2)弁護士会は市民のための団体であり、当会の活動を対外的にわかりやすく公表し、批判を受けることも重要(3)大量増員時代を迎え、会員の公益活動への関心が薄くなる恐れもあるため、会を挙げて決意することが重要(4)決意内容は、当会の多くの会員にとって一致した方向である(5)意見は様々あるだろうが、だから何もしないということではいけない、と決意の有意性を認める意見が出された。
 他方で(1)決意というものは、各人が行うべきもの、当会の決意として表明すれば各会員や各委員会の活動が拘束される(2)弁護士会が何をしているかを示すのであれば活動内容報告を作れば済む(3)弁護士会は強制加入団体であって方向性を固定化するような議論はすべきでない、と決意表明自体に反対する意見も多く見受けられた。

人権に関する項目が軽視されているとの声も

 決意することに賛成する立場からも決議内容には様々な意見が述べられた。
 (1)当会がどこへ向かうべきかという議論は必要であるが、当会が今抱えている問題、本当に打開すべきものは何かという議論をもっとすべきである(2)司法改革関連の項目と比べ、女性や高齢者等、重要な問題がひとまとめにされており、バランスを失している(3)人権、個人の尊厳に係る重要な項目を後半に記載すべきではない(4)一部の解説には統計データの記載しかなく、市民の理解を得るためには過去の当会の活動を紹介すべきである、と司法改革に関するものとそれ以外の項目間のバランスに関し、批判的意見が集中した。また、司法改革の流れを受けての決意であれば、それだけに特化すべきではないか、との意見も出された。
 その他、当会が改憲を一切否定する立場と誤解されないような解説にして欲しいとの意見等、多様な論点が提示された。
 
公益活動等の参加の公平化を図るための負担金制度(公益活動等のポイント制)
 本制度は「あらかじめ対象となるべき公益活動及び委員会活動を決め、履行内容毎にポイント化し、基準に満たない会員には負担金での協力を求める」というものである。総合改革委員会の調査(平成15年度及び平成17年度)によれば、免除決定がなされている会員を除く在籍会員のうち、1割を超える会員が公益活動に全く参加せず、委員会活動にもほとんど参加していないことや、東京三会では既に公益活動への不参加会員の問題が取り上げられており、今後会員数が増加する当会でも対策を講じる必要性があることから導入が検討されたものである。
 会員集会では、対象となる公益活動の範囲、ポイントの算定基準等について質問がなされた後、多数の意見が述べられ、活発な議論が交わされた。
 賛成意見としては(1)ポイント制は公益活動等を強制するものではなく、参加できない会員には経済的に協力してもらうというものである(2)(ポイントの対象とされていない)他の公益活動に対する評価という発想の制度ではなく、あくまで一定の活動を行っていない会員に公平に分担してもらうものである(3)公益活動や委員会活動に会員が等しく参加することで弁護士自治が保たれる、等の意見があった。
 反対意見としては(1)負担金はいわば罰金であり、罰金で刑事弁護や会務を強制することが適切か、先輩弁護士の指導や委員会活動を充実化させる弁護士会の努力によって達成されるべきではないか(2)他会は、たとえば東京弁護士会では国選を年1回以上、負担金を5万円にするなどハードルが低いが、大規模会に比して参加率の高い当会では義務的活動の程度や負担金が大きい(最大15万円)のは合理性があるのか疑問である(3)会務に協力できない会員が経済的に協力するということは1つのあり方であるが、それなら東弁のように負担金は5万円程度で良く、他方、会務に強制的に参加させるのであれば20万円、30万円とすべきではないか(4)会費を全会員につき15万円増額し、公益活動等に参加した会員の負担金を減額していく方法も平等ではないか等の意見が出された。
 
 これらの問題は、会員の関心もきわめて高く、12月4日の臨時総会でも侃侃諤諤の議論が繰り広げられることが予想される。

山ゆり
 私は、長年検事をしていたので転勤に追われ、いろいろな場所で生活をした後昨年弁護士となって横浜弁護士会に落ち着き、今各転勤地での生活を懐かしく思い出しながら、横浜ひいては神奈川の魅力を振り返ってみた
 感想を一言で言えば、神奈川は、よそ者に大らかという大きな特色があると思う。外国人の姿を見ても、誰も殊更その方へ視線を向けることもなく、外国人が街の中に溶け込んでいて、例えば、横須賀では、黒人や白人の保育園園児が日本人の園児と手をつないで楽しそうに何かを言いながら保母さんに連れられて散歩をしている姿は、全く自然でありふれた、身近な光景だった。また、私のような余所から来た者に対して、どこの出身かどこで育ったかなどと根掘り葉掘り詳細を尋ねる人もいない
 あるがままを受けいれるという表現が適切と思われるが、ぎすぎすすることなく、どことなくのびやかで、ふんわりとした暖かさがある街、それが神奈川の特長ではないだろうか 焼き芋
 私にとって取り分け忘れられない光景の一つは、検察庁横須賀支部の春であり、満開の桜の向こうに青い海が映え心が豊かになって包み込まれるような絶景であった。
(菊川 秀子)

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