今号より始まった新シリーズ『事務所探訪』。この企画では、毎回、一つの事務所を記者が訪問し、事務所の特色・事務所運営上の工夫点などを紹介します。今回は、立川・及川法律事務所を訪問させていただき、所長弁護士である立川正雄会員にお話を伺いました。 |
《事務所の特色》 |
当事務所は、所属弁護士がボスを含めて7名おり、大きな会社更生事件等、倒産事件に所属弁護士を一括して動員できるところに特色があると思われます。現在、不動産関係・建設・商事になるべく特化して、いわゆる横浜で専門分野を作ろうと努力しています。また、提携している公認会計士等の専門家と共同して法律相談又は事件処理を行い、個別の事件処理だけではなく、顧問先会社の営業のシステムを一緒に作るといったシステム構築等の仕事にも積極的に取り組んでいます。 |
《相談会議システム》 |
当事務所の応接室には、同じ画面に出るディスプレイを複数台置いて、最大10数人が画面を見ながら相談、会議ができるようになっています。相談の場合は、依頼者から相談項目・事情を聞き取り、その場でタイプを打って整理を行い、さらに弁護士のアドバイス、受任した場合の費用等をその場で説明します。相談が終わると、相談内容をタイプして、帰りにお渡しします。誤ったアドバイスをすると書面で残ってしまうので、応対に出た弁護士は非常な緊張感を持ちますし、何でも直ちに答えられるだけの能力を要求されます。 |
《情報の共有・管理》 |
大規模な事件処理をする場合、データーベース内に専用のフォルダを作り、担当弁護士や事務が事件データを管理するとともに、担当表・管理表を作ることで、処理状況を全員が見られるようにしています。また、緊急で所内全員に周知させる必要のあることについては、所内のメールで配信を行うとともに、事務所のメールアドレスを一つに固定することで事務所員全員が全てのメールを見ることができるようにしています。なお、管理と秘守の問題があるため、所内のメールはアウトルックで、所外とのメールはアウトルックエクスプレスで行っています。 |
また、当事務所の取扱件数が常時200件を超えていることから、アクセスを使った事件毎のデーターベースを作成して事件の管理・担当弁護士との打合せに利用するとともに、依頼者からの進行等の問い合わせに速やかに対応できるようにしています。 |
《教育・研修》 |
専門分野の特化・業務の質の向上のため、事務所内で新会社法の研修会を定期的に開催したり、所内の弁護士会議の際に法律解釈や事件処理等、所内の弁護士が注意しなければならない検討事項について、「ひやり・どっきり集」を作成するなど、弁護士の研修・教育にも力を入れています。 |
日本最後の清流と言われる四万十川。四国山地の奥深く、木々の葉を伝い落ちた雫が、300以上もの支流を集め、山間を大きく蛇行しながら、196qの旅を経て太平洋に注ぐ。 |
7月6〜9日、当会公害・環境問題委員会のメンバー11名は、四万十川を訪ねた。河口部の四万十(旧中村)市には、当委員会の大先輩である林良二弁護士が5年前から移り住んでおり、今回全面的にお世話になった。 |
一行は雨の山中行軍で源流部に辿り着き、そして車で川沿いに南下しながら、ところどころで沈下橋に出会った。今も47が残る沈下橋は、高さも低く欄干もなく、増水時には水に潜る。風景に溶け込みながら、人と自然との程よいつながりを物語る。 |
今回の旅で特筆すべきだったのは、増水で見事に沈下した沈下橋を見たことである。大河の圧倒的な力が橋を凌駕し、そして橋は淡々と下に潜り、両岸の人間は息を潜める。そこには何というか、厳然とした美があった。 |
下流部では、中村河川国道事務所の課長さんの案内で、洪水対策や自然再生事業の場所を見て回った。四万十川は時に荒ぶる存在となり、襲いかかる。防災も重要な課題なのだ。 |
また、清流と言われるが、その透明度は10年前の半分だと、屋形船の船頭さんがぼやいていた。砂防ダムの影響、森林の荒廃、排水など、原因は複合的だ。守るにはもうぎりぎりの線なのだろう。人間みんながしっかり意識をする必要がある。 |
今回は天候の関係で、穏やかな清流というより、力強い大河という印象となったが、霧にかすむ山々と滔々たる奔流の対照は、一幅の水墨画のようだった。 |
そして一行が、四万十川と黒潮のもたらす海川の幸を堪能し、自然への感謝を口にしたのも言うまでもない。アオサよ、天然ウナギよ、清水サバよ、カツオよ、ありがとう。 |
(会員 畑中 隆爾) |