横浜弁護士会新聞

2007年10月号  −1− 目次


法テラスは困ったときの「総合案内所」 須須木永一新所長に聞く
■今年4月に法テラス神奈川の所長になられて、まず現在のご感想をお聞かせ下さい
 正直に言って「大変なところに来た」というのが率直な感想です。
 もちろんこれまで国選も扶助も事件としては関わっていましたが、それ以上特別に深く関与していたわけではありませんので、知らないことが沢山あり、日々勉強です。
 
■所長をお引受けになるにあたって、迷いや不安はありませんでしたか
 自分に務まるのか、ということも含め、迷いはありました。ただ、お受けするまでの間、自分なりに情報収集をして法テラスのイメージはつかんだつもりでしたし、何より前任の山下光先生に「法テラス神奈川には心強い味方が沢山いるから大丈夫」と言われたことが心強く、決心しました。山下先生の言葉通り「心強い味方」である事務局長やスタッフが強力にサポートしてくれますので、仕事はスムーズに進められています。
 
■具体的な勤務体制や仕事内容を教えて下さい
 非常勤で、具体的な勤務日や勤務時間が決まっているわけではありませんが、決裁が必要な書類が日々上がってきますので、時間をやりくりしてできるだけ出所するようにしています。仕事内容としては、決裁書類に目を通したり、報告を受けたり、所長としての考えを聞かれることが多いです。
 
■一番苦労されるのはどのようなことですか
 弁護士会の会員に今まで以上に負担をおかけしているように思っており、これをどのように軽減して今後も法テラスの活動にご協力いただけるようにするか、法テラス全体の問題ではありますが、答えを出していかなければならないと思います。
■逆に、一番楽しいのはどのようなことですか
 PRのおかげで、特に「情報提供」の件数が右肩上がりに増えています。困った時の「総合案内所」として市民のお役に立てていることを実感できる点は、本当にやりがいを感じています。
 
■日弁連副会長時代に理事者室のある16階まで毎日階段で上り下りされていたとお聞きしていますが、現在でも健康のために何かなさっていますか
 今年5月からこれまで毎日欠かさず、「ビリーズブートキャンプ」というDVDを使ったエクササイズを毎朝5時起きでやっています。かなりしんどいのですが、鬼軍曹(?)の指導がおもしろいですよ。体はかなり締まったように思いますので、この調子で野球部のレギュラーを狙っています(笑)。
 
■来シーズンの野球部に注目ですね(笑)。では最後に今後の抱負をお聞かせ下さい
 1人でも多くの方に法テラスのことを知っていただき、また利用していただいて、国民のすみずみにまで司法サービスが行き届くよう「市民に近い司法」の実現に力を注ぎたいと思います。引き続き会員の皆様のご協力をいただきたく、よろしくお願い致します。
(聞き手 岩田 恭子 須山 園子)

中高生の裁判体験 −サマースクール 2007−
 8月23日、当会主催で、神奈川県内の中高生53名の参加のもと、裁判傍聴と模擬裁判を体験してもらう「サマースクール2007」を開催した。
 当会においては、従来から、出前授業・模擬裁判・裁判傍聴会を広く開催してきているが、5名以上の参加者がいないと申込みできない運用となっているため、生徒が法教育に興味を持ち、模擬裁判等を体験したいと思っても、学校単位での申込でないと参加できないという問題があった。
 そこで、夏休み期間中に開催し、また神奈川県内の中学生・高校生を対象に広く公募することによって多数の生徒に参加して法教育に触れてもらえるよう、今回の「サマースクール2007」を開催することにしたものである。
 裁判傍聴では、「こんなに細部にまで神経を張り詰めて尋問しているのに驚いた」との声が上がるくらい、証人尋問での検察官・弁護人の対決に熱心に聞き入る生徒の姿が印象的であった。
 模擬裁判は、深夜、倉庫に侵入した上、警備員を殴って怪我をさせて強盗致傷罪に問われた被告人が、「雨で濡れて寒くて仕方がなかったので寝るために倉庫に入った」旨弁解して強盗致傷罪の成立を争う、「窃盗の意思」の有無が争点となるシナリオに沿って行われた。生徒たちは、弁護士のアドバイスのもと、裁判官、検察官、弁護人の役に分かれて本番同様のやりとりを体験し、また少人数に分かれて評議を行った。
 評議においては、被告人の捜査段階の供述と公判供述の矛盾点を指摘する声が上がる一方、被告人の公判供述と客観証拠に矛盾点がないことを重視する意見が出るなど、活発な論戦が繰り広げられた。
 生徒からは、テレビドラマを見ていると、判決はスパッと下せるものだと思っていたけど、実際にやってみると、証拠をどうみるかといったことがあって、判決を下すのは難しかった、という感想があった。
 当初予想を大幅に超える中高生が参加し、生徒たちは満足げに帰宅の途についていた。見学した学校の先生からも本イベントを賞賛する声が寄せられていたことをあわせ、本イベントは大成功を収めたと言ってよいと思う。今後も継続してこの種のイベントを積極的に立ち上げ、さらなる法教育の発展に寄与していきたいと考えている。
 (法教育委員会委員 種村 求)

山ゆり
 娘達にせがまれ、ディズニーアニメ「リトル・マーメイド」のDVDを購入した。事前に「これはとっても悲しいお話だけどいいの?」と念押しをしたのだが、見てびっくり、完全なハッピーエンドだった
 人魚の王女アリエルは、嵐の夜、遭難したところを助けた人間の王子に心奪われる。王子のそばに行きたいあまり、悪魔と契約して美しい声と引き換えに人間の足をもらい、皆の制止を振り切って陸上の世界へ。その後紆余曲折を経るものの結局悪魔は滅び、めでたく声を取り戻して王子とも結婚するというもの
 「どこが悲しいお話なの?」と聞かれ、返答に困った
 これは童話「人魚姫」を下敷きにはしているが、途中から全く別の話になっているのであった。著作権(?)がどうのと五月蠅いことを言うつもりはないが、原作者のアンデルセンが見たら黙っていないのではないか。森進一の「おふくろさん」のように
 「親の言うことは聞くもんだ」「人生には思い通りに行かないこともある」等々、目論んでいたお説教はできずじまいであった。もっとも、3歳の子には丁度良いストーリーではあったが 柿
 「人魚姫」では、結局王子と結ばれなかった人魚姫は、夜明けの光の中で海の泡と消える。娘達がこちらの原作を読んだ時何を感じるのだろうか。悲しいお話から学ぶことは沢山あるように思う。
(須山 園子)

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