横浜弁護士会新聞

2006年9月号  −1− 目次

横浜弁護士会の発展のために 総合改革委員会からの報告
 総合改革委員会は、2001年4月1日から2007年3月31日までの6年の時限委員会として設立され、今年度が最終年度になる。会の機構・システムを改善し、より機能的に会活動が行なえるように、調査室をはじめとした3室制度の完成を含め、これまで様々な制度改革に当たってきた。そして、今年度はその最終年度にあたり、会の将来を見据えて、会の事務局制度の改善(執行体制チーム)と会員の公益活動参加の公平化の推進(公益活動チーム)の2点からの検討を進めている
執行体制チーム
 会の事務局は、会員の急激な増加の中、膨大な事務処理に追われる日々を過ごしている。そして、今後も増加する一方の事務を統一的・機能的に処理できるのかという問題を抱えている。その改善策として、「有償」、「常勤」という視点を持ちつつ、弁護士事務局長制度採用の是非、事務局運営室制度の改善を検討している。「有償・常勤」の弁護士事務局長制度は、既に二弁と福岡県弁護士会とで採用されているが、チームでは、これまで両会の制度調査を終えている。
 また、当会には従前民間会社出身者の事務局長が就任したことがあったが、充分に機能しないままその制度が廃止されたいきさつもあった。
 これからの事務局制度の改善策を考えるにあたり、二弁などにみられる弁護士が事務局に席を置き事務局を統率するという弁護士事務局長制度の導入を図るのか、これまでの事務局運営室制度の充実を図るのかの2点に絞った。そして、歴代の担当理事者、事務局運営室経験者からの聴き取り、愛知県、兵庫県など当会と類似の規模を有する単位会への照会も踏まえて、検討を重ねている。
(会員 高柳 馨)
公益活動チーム
 会員が公益活動や委員会活動(併せて「公益活動等」)に積極的かつ公平に参加する方策を検討している。弁護士が自治を負託され法律業務をほぼ独占するのも、社会的・公共的役割を果たすことが期待されているからである。
 既に東弁と二弁では公益活動等を、一弁が公益活動だけを義務化する制度をそれぞれ設けており、大阪弁護士会でも本年3月義務化に向けた中間答申が出されている。被疑者国選をはじめ新たな制度が次々と創設される中で、当会でも公益活動等の義務化について再検討すべき時期が来たといえる。
 この点、当会では、多くの会員が公益活動等に参加しており他会のように参加する会員が不足しているわけではないという意見もある。しかし、当会の会員数は増加の一途を辿っており、会員の業務や活動領域も多様化し、会への関心や帰属意識も薄れていくことが予想される。そして、公益活動等に参加する会員が減少し、今以上に一部の会員に負担がかかる虞がある。
 もともと、当会には「会員の公益活動及び委員会活動に関する実施規則」でそれぞれに参加の程度を定めているものの、その程度に達していない会員に対して会長による参加要請の制度があるだけで、それ以外の措置は定められていない。
 そこで、チームでは、他会での議論も参考にしながら、参加を強制するということではなく、負担を公平化するという観点から、(1)公益活動等の範囲の選定、(2)求められる参加の程度、(3)不履行者への対応、(4)その他の参加奨励策という各点から検討を進めている。具体的には、国選・当番・扶助・委員会を含め対象とする活動を比較的広く選定し、その活動にポイントを付け、年間で所定のポイントに達しない会員にはそれに代わる金銭的負担をお願いする方向も視野に入れた検討を進めている。
(会員 浦田修志)

県民みんなで金利問題を考えよう
 7月19日、開港記念会館において、当会主催のシンポジウム「金利問題と神奈川の貧困」が開催された。実行委員の茆原洋子会員に当日の様子を聞いた。
 当日の参加者について
 正式に受付をした方だけでも216名の参加を得て、実り多いものとなりました。2名の国会議員(阿部知子議員、大門実紀史議員)の参加および発言のほか、4名の国会議員(江田憲司議員、岩国哲人議員、鈴木恒夫議員、千葉景子議員)のメッセージと1名の国会議員(坂井学議員)の祝電が寄せられ、11名の県議会議員、市議会議員の参加がありました。
 どのような内容でしたか
 当会会長挨拶の後、当会人権賞受賞者である福光洋一氏から報告がありました。同氏は、横須賀市内で月50件にのぼる無料の相談活動を続けてこられた経験をふまえて、真面目な人々がいかに苦しい思いをしているのか、高金利被害の悲惨さについて、今の政治に対する怒りをもって熱く語られました。
 次に城田孝子会員が利息制限の法制と最高裁判例等の解説を行い、続いて、宇都宮健児弁護士(日弁連金利引下げ実現本部長代行)より基調講演がありました。その中で、国会議員に対して、金利引き下げに例外を設けるべきではないことを理解してもらうための説得活動と署名活動が山場を迎えているという報告がありました。
 神奈川県の状況についてどのような報告がありましたか
 松岡均司法書士から、県と県内各市の意見書について、採択状況が報告されました。利息制限法をも引き下げるべしとの意見が満場一致で採択された県の意見書が読み上げられました。
 最後に当会から、高金利がもたらす問題点について、県内の現状が報告されました。
 神奈川県では公営住宅の家賃滞納率が全国の1・7倍に及ぶこと,多重債務に陥って過払金が発生するころに税金や健康保険料の滞納が始まることの報告がありました。金利を下げるならば、税等の滞納が解消し、消費が増えて地域に還元されるのです。
 県内では独自の取り組みとして,野宿生活者の見回り活動がボランティアにより行われています。野宿生活者支援施設「ハーバー宮前」の運営について紹介がありました。会場では、元野宿生活者の方4名が立ち上がり、多重債務の結果陥った野宿生活の苦しみを語ってくれました。その勇気と立ち直りの意気込みに会場から感動の拍手がわき上がりました。

山ゆり
 心の底から笑い転げる、まぶたが腫れるまで泣く。年齢を重ねるごとに感情の表現が貧しくなり前述の表現も遠ざかる。皆さんはいかがですか?いいえ、感情の表現が貧しくなったのではなく、感情をコントロールして言葉で表現するのが上手になっただけ
 しかし我が家の4才の愛娘は感情のおもむくまま自分を見事にさらけ出す。このさらけ出し方がまことに潔く、わかりやすい。特に「笑う」「泣く」「怒る」のパワーは大きい。例えば駄々をこねて大泣きした時。その感情を論理的にゆっくり説明してやると、私の言葉ひとつひとつを真剣な瞳で聞き入る。まるで私の言葉を食べているようだ
 人は言葉で確実に癒される反面、言葉で泣いたり笑ったり、死に至る場合だってある。人生を賭けてしまうぐらい、人を動かしてしまうことだってできる。言葉の効用をもっともっと大切にできないものだろうか
 体の不具合は、その人のメンタルの具合と密接な関係にあるという大前提にたつと、薬や漢方を処方するばかりでなく、言葉の処方もあっていいのではないかと思う。まずは、家庭医学の基本として「話す」「聞く」で癒される部分をもっと大切にしていきたい
 くだんの娘に「いたいのいたいの、とんでいけぇ〜!」とやってやると「そんなのじゃ、いたいのとれないよ!」ほっぺたをふくらませて睨まれた。
(佐賀 悦子)

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