研究会がいっせいにスタートして約1年半、そろそろ盛会なところとジリ貧のところと明暗が分かれてきているのではなかろうか。 |
その点、幸いにも、当研究会の参加者がどんどん少なくなるといった事態にはなっていない(もともと少ないからという説もある)。しかも、いつでもブレークすることが可能な状態にある。満を持しているうちに1年半経過してしまった(このまま満を持し続けるということもあり得る)。というのは、横浜では、既に先物、証券はそれぞれ研究会があり、全国レベルの研究会も定例で開催されているうえ、変額保険や預貯金の過誤払いの分野でも弁護団があり、それぞれ大変な成果をあげてきている。こうした金融分野の研究会などを当研究会の分科会と位置づけると、あっという間に金融の総合研究会に変貌することになる。しかし、このへんが微妙なところで、弁護士会の研究会とはやや性格が違うかなということで、相互に独立の活動をしてきているわけである。 |
ということで、金融研究会としては、頻繁に法改正される金融分野の情報等を、会員に限らず関心のある方々に提供するところに力点を置こうかということで進めている。しかし、この点も、当会の会員が日弁連に出て行って日弁連から出版という活動も行っているので、地元が留守になりがちである(証券については「証券取引被害救済の手引き(4訂版)」、先物については「先物取引被害救済の手引き(8訂版)」がいずれもこの3月に民事法研究会から出版されている)。 |
このような言い訳を続けることは、まだまだ可能ではあるものの、このあたりで最近の研究会の報告に移りたい。 |
前回は、この2月に施行された預金者保護法をとりあげた。預貯金過誤払被害対策弁護団で大活躍中の、喜多英博会員、関守麻紀子会員、三橋潔会員、黒木勉会員、本多麻紀会員が講師で、法律の概要と裁判実務などについてお話いただいた(弁護団の共著で、「預金者保護法ハンドブック」日本評論社がある=写真)。たいへん水準が高い活動であり、特に議員立法で一気呵成に法律を作り上げた話などは、長年立法運動で苦労している身としては、実に鮮やかだと感動し、当会会員の華々しい活動を再認識したものである。 |
このような研修以外の面では、特段の成果というようなものはない。横浜商品取引所に見学と意見交換に行ったが、その後間もなく東京穀物取引所に吸収合併されてしまったということがあった。むろん、我々が訪問したことと、横浜に商品取引所がなくなったこととの間には、何ら因果関係はない。 |
ところで、このような研修活動を中心にとなると、研修委員会の活動と似てくるところがある。現に、金融商品取引法の研修をやろうとしたところ、研修委員会でも企画しているということを知り、当方はさっそく謙譲の美徳を発揮したという経緯もある。 |
このところ、ほとんどの重要法律が改正されてきており、研修会や研究会続きで、皆さん勉強疲れということもあるかもしれない。もっともなことである。しかし、研究会に出てくると、諸先輩の貴重な話が聞けるということもある。著名な某弁護士は、投資信託にやけに厳しい意見をもっている。よく聞いてみると、「高利回りと推奨されて買った投資信託が、みるみる元本割れしてしまった」と憤慨しているのであった。このような体験があると、準備書面も実感がこもったものになるのではなかろうか。 |
このように、本を読んでいるだけでは、なかなかわからない情報というものがあるので、気軽に参加されるとよいと思われる(しかも無料)。特に、若手の皆さんは、今のようにどんどん法律が変わるという局面では、活躍のチャンスだろう。 |
(石戸谷 豊会員) |