当委員会としては、支援センターが国選弁護人の指名通知を裁判所に対して行うという制度ができた以上は、被疑者・被告人の権利保護の観点から、これらの者が適時適切な弁護が受けられるようにするため、国選弁護制度の円滑な運用に協力する必要があり、今後も当会会員への協力呼びかけを積極的に行っていく責務を負っていると考える。 |
しかし一方では、法務省や支援センターが提示する国選弁護制度の枠組み自体やその運用が刑事弁護活動の独立をおびやかすことのないように監視していく必要がある。 |
具体的には次のような方法が考えられ、これらは本年5月末に公表される予定の支援センターの業務方法書にも定められ実現する見込みである。 |
(1)当会としては、従来どおり、被疑者国選については当番日ごとに、被告人国選については公判日ごとに担当者を割り振った「国選候補者推薦名簿」を作成し、これを支援センター神奈川県支部に提供し、この名簿に基づき順次国選弁護人候補を指名していく運用を求めていく(国選弁護人契約は弁護士会としてとりまとめていくことになる)。この準備のために、本年4月以降、国選弁護人の選任について今まで一部の支部や簡易裁判所で行われていた裁判所によるいわゆる「一本釣り」を廃止し、全件について担当日制を導入することとなった。 |
(2)当会の提出した名簿に登載されていないものから支援センターに直接国選弁護人契約の申込みがあった場合には、支援センターは、当会に当該申込者との締結について意見を求めた上で申込みの許否を判断する。 |
(3)支援センター神奈川県支部との間で、協議会を設け、弁護人の指名通知について恣意的な運用がないか監視していく。 |
(4)国選弁護人について苦情があった場合に支援センター地方事務所長から当会に対し調査を依頼してもらうようにし、当会はこれに対し調査をし、その報告と意見を出していくようにする。 |
(5)今後、支援センター地方事務所との間で、これらについて「国選弁護連絡協議会(仮称)」の設置や運用に関する「協定書」の締結について協議を進めていく予定である。 |
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我々弁護士の悲願であった被疑者国選弁護制度が支援センターを運営主体として始まることについては、様々な思いや意見があろう。しかし、どんなに制度が変わろうとも国選弁護を担うのは、我々弁護士である。弁護士しかいない。今一度、被疑者・被告人の権利擁護という我らの使命を自覚し、弁護活動が脅かされることのないよう会員の協力のもと、弁護士会一丸となって取り組んでいきたいと考える。 |
(刑事弁護センター運営委員会委員長 木村 保夫) |