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会長声明・決議・意見書(2024年度)

札幌高裁判決を受け、速やかに同性間の婚姻を認める立法を求める会長声明

2024年04月26日更新

  1.  2024年3月14日、札幌高等裁判所は、法律上同性である者同士の婚姻を認めていない民法及び戸籍法の婚姻に関する諸規定(以下、「本件諸規定」といいます。)が、憲法24条1項及び2項並びに14条1項に違反するという判決(以下、「札幌高裁判決」といいます。)を言い渡しました。この判決は、2019年2月14日から各地で提訴された同種訴訟の中で、最初の高等裁判所の判決です。
  2.  札幌高裁判決は、憲法24条1項の「婚姻」を、異性間の婚姻のみならず、同性間の婚姻も含むと判断し、同性間にも婚姻の自由を保障する規定と解釈した点で、これまでの地裁判決からさらに踏み込んだ判断を示しています。さらに、同判決は、同性間の婚姻が認められないことにより、当事者が、社会生活上著しい不利益を受けているばかりか、アイデンティティの喪失感を抱く等、個人の尊厳を成す人格が損なわれる事態となっていると指摘し、「同性婚につき異性婚と同じ婚姻制度を適用することを含め、早急に真摯な議論と対応をすることが望まれる」と付言をし、立法府に速やかな対応を促しています。
  3.  これまでの6件の同種地裁判決のうち5件が、本件諸規定又は現行法による状態が憲法に反するとの判断を示しており、現行法(又はそれによって作出されている状態)の憲法適合性が争われている訴訟としては異例の事態です。
  4.  性的指向は、本人の意思で選択・変更できるものではないとされています。性的指向がたまたま同性であったことにより、婚姻によって生じる法的効果を享受できないことが社会生活上の著しい不利益であることは言うまでもなく、自分の選ぶパートナーと家族になるという重大な人格的利益が保障されていないことから、個人の尊厳の根幹が侵害されています。このように、同性間の婚姻が認められていないことにより、同性カップルが受けている法律上・事実上の不利益は著しいです。立法府である国会においては、不利益を是正するため最高裁判所の判断を待つまでもなく、速やかに現行法を改正して法律上同性の者同士の婚姻を可能にするべきです。
  5.  当会は、今年度から常設化する「LGBTsレインボー電話相談」をはじめとして、多様な性のあり方が尊重される社会の実現に向けた取り組みを続けています。これまで、2019年10月17日付「同性間の婚姻を認める法制度の整備を求める会長声明」、2023年1月16日付「東京地裁による違憲状態判決を受け、改めてすべての人にとっての婚姻の平等を実現するための法整備を求める会長声明」のほか、「性的指向及び性自認による差別を解消する立法を求める会長声明」(2021年7月14日)を発出し、当会として、性的少数者への差別の解消と同性婚の法整備を求めてきましたが、改めて国に対し、すべての人にとっての婚姻の平等を実現するための早急な法整備を求めます。
  6. 以上

     

    2024年4月25日

    神奈川県弁護士会

    会長 岩田 武司

 
 
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