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東京地裁による違憲状態判決を受け、改めてすべての人にとっての婚姻の平等を実現するための法整備を求める会長声明
会長声明・決議・意見書(2022年度)
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東京地裁による違憲状態判決を受け、改めてすべての人にとっての婚姻の平等を実現するための法整備を求める会長声明
2023年01月17日更新
2022年11月30日、東京地方裁判所は、いわゆる同性婚訴訟において、「現行法上、同性愛者についてパートナーと家族になるための法制度が存在しないことは、同性愛者の人格的生存に対する重大な脅威、障害であり、個人の尊厳に照らして合理的な理由があるとはいえず、憲法24条2項に違反する状態にある」とする判決を言い渡しました(以下、「東京地裁判決」といいます)。
東京地裁判決は、原告の証言等に基づき、「パートナーが医療機関で診療を受けた際に家族として認められなかったために病状の説明を受けられなかった」などの具体的事実を認定し、「同性愛者においても、親密な人的結合関係を築き、パートナーと共同生活を送り、場合によっては子供を養育するなどして、社会の一員として生活しており、その実態は、男女の夫婦と変わるところがない」とも指摘するなど、同性カップルの生活実態とその被る不利益に真摯に向き合って違憲状態という結論を導いており、性的少数者とされる方々の人権保障を実現するための大きな一歩ということができます。
その一方で東京地裁判決は、同性カップルが家族になるための法制度は婚姻に限られず、登録パートナーシップ制度など多様なものが想定されることから、違憲状態をどのように解消するかは国会の立法裁量に委ねられるとしました。
しかし、仮に国会が、婚姻とは別の法制度を設けるならば、現状より進展する一面があるとはいえ、婚姻制度を利用できるのは異性カップルのみであり、同性カップルは別制度を利用しなければならないという状況を生みます。これは同性同士の人的結合を異質な存在として扱うことになり、かえって差別や偏見を助長するおそれがあります(日本弁護士連合会2019年7月18日付け意見書)。したがって、国会には、婚姻以外の別制度を新設するのではなく、婚姻制度に同性カップルを包摂する形での法改正を行うことが求められます。
当会は、これまでに
「同性間の婚姻を認める法制度の整備を求める会長声明」(2019年10月17日)
及び
「性的指向及び性自認による差別を解消する立法を求める会長声明」(2021年7月14日)
を発出し、差別の解消と同性婚の法整備を求めてきましたが、東京地裁判決を契機に、改めて国に対し、すべての人にとっての婚姻の平等を実現するための早急な法整備を求めると共に、引き続き、多様な性のあり方が尊重される社会の実現に向けて取り組んでまいります。
2023年1月16日
神奈川県弁護士会
会長 髙岡 俊之
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