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東日本大震災・福島第一原発事故から11年を経過したことについての会長談話
2022年03月11日更新
2011年3月11日に発生した東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故(以下「本件原発事故」という)から11年が経過しました。
東日本大震災及び本件原発事故にともなう犠牲者及びご遺族に哀悼の意を表するとともに、今なお続く被災者及び被害者の苦しみに心よりお見舞いを申し上げます。また、11年間にわたる、被災地の方々や企業による復興に向けた懸命な努力に対し、大いに敬意を表したいと思います。
東日本大震災及びこれに伴う本件原発事故は、世界的にも未曾有の大規模災害であり、本件原発事故では、高濃度の放射性物質が大量に放出され、極めて広範囲に深刻な被害をもたらしました。11年が経過した現在においても、多くの被害者がふるさとでの生活基盤やふるさとそのものを失い、不安定な生活を余儀なくされ、帰還した方も、職を失ったり地域コミュニティの喪失や変容を感じたりするなど、かつての生活を取り戻すことができないという現実が存在しています。
また、復興庁の調査結果によれば、昨年9月30日時点における福島県の災害関連死は2329人で現在に至るまで大きく増加し続けており、本年2月8日時点での全国の避難者数は約3万8000人、神奈川県への避難者数も約1900人に上るなど、今なお本件原発事故の被害が依然として続いていることが示されています。
全国各地で提起された本件原発事故に基づく損害賠償請求訴訟は、その多くが未だ係属中ですが、本年3月2日及び同月7日、最高裁判所は、中間指針を超える賠償を東京電力に命じる判決を維持する旨を続けて決定しました。これらの決定により、被害者の権利回復及び生活再建が加速することを期待します。
当会は、この11年間、被災地や神奈川県内の避難所等において様々な形で法律相談や説明会を実施してきたほか、行政やボランティア団体と災害時の対応について意見交換を行ったり、神奈川県大規模災害対策士業連絡協議会に参加して県内の他士業と災害時における協力体制を構築したり、新型コロナウイルス感染症にも適用されている「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の登録支援専門家名簿を整備するなどして、大規模災害に対応する体制を整え、経験を蓄積してきました。
今後発生が予測される南海トラフ地震や大正型関東地震といった大規模地震のみならず、近年は、台風等の自然災害が激甚化し、新型コロナウイルス感染症のような新たな疫病が発生するなど、被災者支援のための弁護士・弁護士会の活動が重要となっています。
当会は、災害や被災者支援に関する専門知識の研鑽に努め、行政や他士業との協力体制を活用しながら経験を積んで、さらに充実した被災者の支援に取り組んでいく決意を改めて表明します。
2022年3月11日
神奈川県弁護士会
会長 二川 裕之
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