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成年年齢引下げに伴う消費者被害防止のための実効性ある施策の実現を求める会長声明
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成年年齢引下げに伴う消費者被害防止のための実効性ある施策の実現を求める会長声明
2021年11月12日更新
民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げる「民法の一部を改正する法律」(平成30年法律第59号。以下「本法律」という。)の施行日である2022年4月1日まで、5か月を切りました。
成年年齢の引下げにより、18歳、19歳の若年者が未成年者取消権を行使できなくなり、消費者被害が拡大することへの懸念がこれまでも指摘され、当会も、2017年11月8日、「成年年齢を引き下げる民法改正に反対する意見書」において、若年者保護の観点からの法改正を求める意見を表明していたところです。
そして、2018年の本法律の成立に際しては、参議院法務委員会において附帯決議がなされ、そこでは、①知識、経験、判断力の不足などを利用して勧誘し契約締結させた場合における消費者の取消権(いわゆるつけ込み型不当勧誘取消権)を創設すること(法成立後2年以内)、②若年者の消費者被害の防止・救済のための必要な法整備を行うこと(法成立後2年以内)、③マルチ商法等による消費者被害の実態に即した対策について検討し必要な措置を講ずること、④消費者教育を質量共に充実させること、⑤18歳、19歳の若年者への周知徹底や社会的周知のための国民キャンペーン実施を検討すること、⑥施行日までにこれらの措置の実施、効果、国民への浸透について調査・検討し、その状況を随時公表することなどが求められました。
しかし、成立から3年以上経過し、施行まで5か月を切った現時点においても、いずれの施策も未だに十分なものとは言えません。
特に、未成年者取消権を喪失することになる18歳、19歳の若年者の消費者被害拡大に対応する施策は急務ですが、そのために必要不可欠な施策である前記①のつけ込み型不当勧誘取消権の創設は、附帯決議に明示された期限である2年を経過しているにもかかわらず、その目途も立っていません。
また、成年年齢引下げ自体の周知はされているものの、未成年者取消権を18歳で失うことの意味についての周知は抽象的かつ不十分です。
このままの状況で2022年4月1日を迎えれば、18歳、19歳の若年者への消費者被害拡大という懸念が現実化しかねません。
よって、当会は、国に対し、上記状況をふまえ、地方自治体とも協力して附帯決議に示された全ての施策を早急に実現することを強く求めると共に、これを実現できない場合は、本法律の施行を延期するよう求めます。
2021年11月12日
神奈川県弁護士会
会長 二川 裕之
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