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会長声明・決議・意見書(2021年度)

横浜地方裁判所相模原支部において合議制及び労働審判を実現するための意見書提出に関する陳情書(相模原市あて)

2021年10月14日更新

第1 陳情の趣旨

 当地域における市民への良好な司法サービスの提供を図るため,「横浜地方裁判所相模原支部において直ちに合議制及び労働審判による審理を開始すること,そのための人的物的体制を同支部において確保し,令和4年度の国家予算編成にあたりその予算措置を講じることを要望する」意見書を,貴議会より国会,関係行政庁及び最高裁判所を含む関係裁判所に提出していただきたく,陳情いたします。

 

第2 陳情の理由

  1. 横浜地方裁判所相模原支部(以下「相模原支部」という。)の現状

     

    (1)管内人口

     相模原支部管内の相模原市及び座間市の人口は,令和3年4月1日時点で合計約85万人にのぼります。人口が多いことを一因として指定された政令指定都市を管轄内に有する裁判所では全国で唯一,かつ神奈川県内の全ての地裁支部で唯一,合議制裁判が導入されていない裁判所です。

     

    (2)事件数

     神奈川県内他支部と比較した相模原支部の新受件数(民事第1審通常訴訟が令和2年度は年間589件,令和元年度が582件,刑事第1審通常訴訟も平成30年時点で年間322件,平成29年が336件)は,民事第1審通常訴訟事件数と比較すると,合議制がある横須賀支部の約1.67倍です。そして,全国的に比較しても,相模原支部の事件数は,東京や大阪,仙台,名古屋,福岡などの大都市を除いた他の地裁本庁の事件数より多い状況です。

     

    (3)小括

     このように,管内人口及び事件数からして,相模原支部は,合議制のある他の地裁本庁(大都市を除く)に匹敵する大規模支部といえます。

     

  2. 合議制裁判が導入されないことで生じる具体的な不利益

     

    (1)事件処理体制の欠落

     上記のように,大規模支部といえる相模原支部において,合議体を構成できないことを理由として,裁判員裁判を含む法定合議事件や準抗告事件などの刑事事件の処理,複雑・重大な民事事件の処理,労働審判による事件処理が行われていません。

     

    (2)時間的・金銭的不利益

     この事件処理体制が欠落していることが原因で,刑事事件において身体拘束を受けた者の拘束時間が不当に長引く不利益が生じています。また,民事事件において横浜地方裁判所本庁にアクセスするための移動時間や,交通費負担といった時間的・金銭的不利益を被っており,出廷を希望する当事者が裁判所に出廷できなかったことすらあります。さらに,この不利益は,労働事件においても重大であり,特に経済的に困窮している失業したばかりの労働者に高い交通費の負担を強いることで,紛争解決を断念せざるを得ない状況に追い込まれることすらあり,被害救済が著しく損なわれている状況です(別紙 アンケート結果)。加えて,合議制による審理ができないことが原因で相模原支部から本庁へ事件が回付される場合には,最低でも2か月以上審理が遅延したり,相模原支部の裁判官による争点整理が不十分であったために,回付後の横浜地裁で最初から審理をやり直すことを余儀なくされるなど,市民は迅速な裁判を受けることすらできておりません。

     

 

第3 結語

 以上のように,相模原支部に合議制がないこと,労働審判がないことによって,相模原支部管内の相模原市及び座間市の市民において決して無視することが出来ない実害が生じており,この実害を是正することは急務です。

 したがいまして,貴議会より,要望の趣旨記載の意見書を国会,関係行政庁及び最高裁判所を含む関係裁判所に提出して頂きたく,陳情いたします。

以上

 

令和3年7月26日

 

相模原市議会議長
  寺田 弘子  殿

 

陳 情 者

神奈川県横浜市中区日本大通9番地

神奈川県弁護士会

会長 二川 裕之

 

 
 
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