2021年03月04日更新
2011年3月11日に発生した東日本大震災から10年が経過しようとしている。東日本大震災は、死者1万9279名、行方不明者2559名、住宅被害全壊12万1996棟という甚大な損害を発生させ(令和2年度版防災白書による)、その後に発生した福島第一原発の事故は未曽有の被害をもたらした。亡くなった方々にあらためて哀悼の意を表するとともに、被災者の方々にお見舞いを申し上げる。
この大震災及び原発事故から10年が経過するが、被災地においては、公営災害住宅、高台への集団移転、社会インフラの整備、雇用就労等の問題、原発事故の被災地においては、さらに、除染、帰還、損害賠償、健康被害、農水産物に対する風評被害等の問題、加えて原発を含むエネルギー政策等、解決すべき問題が山積している。また時間の経過とともに高齢者、子ども、障がい者の社会的弱者をはじめ、被災者の心身のケアも重大な問題となっている。一方で、住民同士の助け合いや絆の復活、個人商店や商店街の復活、鉄道の再開等、明るいニュースもあり、被災地の方々と企業の復興への懸命な努力に対し、大いに敬意を表したいと思う。
この10年の間、当会は、被災地での法律相談、原発事故に対する説明会、被災者ホットダイヤルという電話による無料法律相談、関東弁護士会連合会を通じた福島県内での法律相談への弁護士の派遣、神奈川県内でのボランティア団体の相談会への弁護士の派遣を継続し、また県内の他士業との災害時における協力体制の構築(神奈川県大規模災害対策士業連絡協議会)、行政やボランティア団体との協議等の活動を行ってきた。
近年、震災関連の法律相談の件数は減少しているものの、被災者・被災地は、依然として様々な困難な問題を抱えており、当会が担うべき役割が減少しているとは思われず、今後も法律相談の広報や法律相談の在り方について、一層の工夫や努力をする所存である。
東日本大震災後も、2015年の関東・東北豪雨災害、2016年の熊本地震災害、2018年の西日本豪雨災害、北海道胆振東部地震災害、2019年の房総半島台風・東日本台風災害、2020年7月の九州地方を中心とする豪雨災害、さらに現在は新型コロナ感染症の拡大等、近年、災害は頻発し、規模も大きくなっている。それに伴い、被災者の支援のための弁護士、弁護士会の活動も重要となってきている。
東日本大震災から10年を経過するにあたり、弁護士会の被災者支援のための活動について、アウトリーチ型の法律相談のさらなる充実や広報の改善などを行い、改めて、被災者に寄り添う活動を行ってゆく決意である。
以上
2021年3月4日
神奈川県弁護士会
会長 剱持 京助
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