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会長声明・決議・意見書(2020年度)

横浜地方裁判所小田原支部での労働審判実施を求める会長声明

2021年01月29日更新

労働審判制度は、個別労働紛争を迅速かつ適正に解決するため、2006年(平成18年)4月から開始されたが、支部では、2010年(平成22年)4月から東京地裁立川支部と福岡地裁小倉支部の2庁で実施されるにとどまっていた。その後、日本弁護士連合会と最高裁判所との協議により、2017年(平成29年)4月から、静岡地裁浜松支部、長野地裁松本支部、広島地裁福山支部の3庁でも労働審判が実施されるようになったが、その他の支部では未だに労働審判は実施されていない。

しかし、労働審判制度の事件数は堅調に推移し、個別労働紛争を迅速かつ適正に解決する制度として定着しており、支部での実施を上記5支部に限定する理由はない。とりわけ、横浜地裁小田原支部は、横浜地裁本庁まで出向くのに徒歩も含めると片道約90分を要するほか、神奈川労働局管内の総合労働相談コーナーの民事上の個別労働紛争に関する相談のうち、平塚、小田原、厚木の各相談コーナーにおける相談件数は2019年(令和元年)度で合計1630件に達し、県内全体の約11.6%を占める。神奈川労働局と裁判所の管轄は多少異なるとはいえ、個別労働紛争を解決する労働審判制度に対する需要は小田原支部管内にも相当程度存すると言える。また、2016年(平成28年)の小田原支部管内の事業所数は4万5750、従業者数は53万0933人に達し、それぞれ県内全体の15.9%、15.3%を占め、上記3庁のうち長野地裁松本支部管内や広島地裁福山支部管内を上回る事業所数、従業員数を有する。

当会の川崎支部、県西支部とも、支部会員の総意として、各支部での労働審判実施を求めているところであるが、とりわけ本庁からの距離が遠い小田原支部管内では、個別労働紛争が生じても労働審判の利用を諦め、泣き寝入りを強いられる可能性がある。働き方が多様化し、労働法制が複雑化する中で、個別労働紛争を迅速・適正に解決する労働審判制度の実施支部を拡大することは喫緊の課題と言える。

しかも、厚生労働省の発表によると、今般の新型コロナウイルス感染症に起因する解雇等見込みの労働者の累積数は、1月15日時点で、神奈川県は全国でも4番目に多い3780人となっており、今後、労働紛争の一層の増加が懸念される。

よって、当会は、横浜地裁小田原支部での労働審判実施を求めるものである。

 

2021年1月28日

神奈川県弁護士会

会 長  剱 持 京 助

 

 
 
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