ページの先頭です。
本文へジャンプする。
サイト内共通メニューここまで。

会長声明・決議・意見書(2020年度)

横浜市におけるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致についての住民投票に関する条例制定に対する会長声明

2020年12月11日更新

第1 声明の趣旨

  1. 横浜市長は、横浜市議会に対し横浜市におけるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)についての住民投票に関する条例案を提案する際には、住民の意思を尊重し、条例の成立に賛成するなど積極的な意見を付記すべきである。
  2. 横浜市議会議員は、横浜におけるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)についての住民投票に関する条例案が市議会に提出された場合には、住民の意思を尊重し、条例を制定させるべきである。

第2 声明の理由

  1. 声明の趣旨1に対する理由
    1. 当会は、2019年8月22日に林横浜市長が横浜へのカジノ施設を含む統合型リゾート(IR)誘致を発表した際、同年9月11日付で会長声明を発した。この会長声明の趣旨は、横浜市のIR誘致に反対し、その撤回を求めるとともに、横浜市がIRの認定申請をするのであれば、あらかじめ、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響について、十分に調査、評価したうえで、その調査、評価の結果を住民に提供し、それを前提に住民の合意形成を図らなければならない。その際には、直接、住民の民意を問うべきというものであった。
      しかしながら、当時の林横浜市長は、住民投票など直接住民の民意を問うような方法を採ることに否定的な態度であった。
      これに対し、横浜市の住民の有志が結成した民間団体であるカジノの是非を決める横浜市民の会(以下「横浜市民の会」という。)は、本年9月4日から同年11月4日までの2か月間横浜市のカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致について住民投票条例を制定し、誘致の賛否を直接の住民投票を実施するための署名活動を行った。報道によれば、この署名活動により、条例制定の直接請求に必要な地方自治法上の法定数である6万2604人の3倍を超える20万8719人もの署名が集まった。横浜市民の会は、同年11月13日、集まった署名を各区の選挙管理委員会に提出した。横浜市選挙管理委員会は、審査の結果、19万3198人の署名を有効とした。有効な署名数が法定数を超えたので、横浜市民の会は、横浜市長に対し、2020年12月23日、横浜市のカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致について住民投票条例実施の条例制定を求める直接請求を行う予定である。
    2. 林横浜市長は、署名活動の最中の本年10月28日、記者会見で住民投票を行い反対が多かったという結論が出れば順守すべきと述べ住民の意思を尊重する姿勢を見せたにもかかわらず、横浜市議会に住民投票条例案を付議する際に賛否を示さないと述べた。
      林横浜市長の賛否を示さないという発言が、そもそも意見を付さないという意味であれば、普通地方公共団体の長が直接請求を受理した日から20日以内に議会を招集し、「意見を付けてこれを議会に付議」することになっている地方自治法第74条第3項に反する。
    3. 林横浜市長は、わずか2か月間の署名活動で20万人を超える横浜市民がIRの賛否を問う住民投票を求めたという住民の意思を尊重し、横浜市議会に対し、住民投票条例制定に賛成するなど住民投票実施に向け積極的な意見を付して条例案を提案すべきである。
  2. 声明の趣旨2に対する理由

    横浜市のカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致についての住民投票条例案は2021年1月の横浜市議会に付議される予定である。
    横浜市議会議員は、20万人を超える横浜市民がIR誘致の賛否について住民投票の実施を求め署名したという事実を重く受け止めるべきである。そして、地方のことはその地方に住む住民が自ら意思で決定するという地方自治の本旨である住民自治(憲法第92条)の観点を踏まえ、署名した多くの横浜市民の意思を尊重するため、IR誘致の住民投票実施のための条例案が市議会に提出された場合には条例を制定させるべきである。

以上

 

2020年12月10日

神奈川県弁護士会

会長 剱持 京助

 

 
 
本文ここまで。