2020年01月31日更新
神奈川県弁護士会は、これまでも川崎市において繰り返されるヘイトスピーチに対して声明等を発表し、昨年12月に成立した川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例の制定を支持してきました。
今年1月初旬、川崎市の多文化交流施設「川崎市ふれあい館」に、在日韓国朝鮮人の抹殺を煽動する内容の年賀状が届きました。そして、同月27日には、川崎市職員宛に「川崎市ふれあい館」の爆破予告と在日韓国朝鮮人に危害を加えることを予告する葉書が届きました。
同館は川崎市が1988年に日本人と在日コリアンなど外国籍市民が交流し共に生きる地域社会を築くために設置したもので、多くの地域住民、さまざまな国籍の市民が利用し、外国籍の職員も少なくありません。同館は、これまでも日韓日朝関係のねじれなどがある度に、「朝鮮へ帰れ」との差別的脅迫電話がかかるなど、ヘイトスピーチの標的とされてきましたが、今回、繰り返し行われた葉書による脅迫は、在日コリアン市民に対し、虐殺を宣言し、恐怖を与え、また、地域を分断し、差別と暴力を煽動する極めて卑劣な行為です。
また、これは、人種差別撤廃条約はもちろん、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律や、川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例が定める「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」 に該当します。これはヘイトスピーチ・ヘイトクライムであり、絶対に許してはなりません。
既に、川崎市長は、今回の葉書による脅迫に対して、差別に基づく脅迫で許されないものであり、人権条例の趣旨に反する行為であるとの見解を示すとともに、市として被害届を提出すると述べています。そこで、神奈川県弁護士会は、改めて、国、神奈川県、川崎市に対し、今後とも不当な差別的言動の解消に向けた取り組みを強化することにより、一人一人の市民が人として尊重される社会の醸成に向け取り組むことを求めます。
また、神奈川県弁護士会としても、すべての市民がそれぞれの生活の場において、自らの幸福を追求し、平和で平穏に日々の生活を送ることができるよう希求し、ヘイトスピーチの根絶に向け活動します。
2020年1月30日
神奈川県弁護士会
会 長 伊 藤 信 吾
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