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会長声明・決議・意見書(2019年度)

死刑執行に抗議する会長声明

2020年01月24日更新

2019年12月26日、福岡拘置所において1名の死刑が執行された。森まさこ法務大臣が就任してから初めての執行であり、第2次以降の安倍内閣においては17回目、合計して39名の死刑が執行されたことになる。

これまでも死刑が執行されるたびに、当会は、死刑執行に抗議する声明を発表し、死刑執行の停止とともに死刑制度の全般的議論を呼びかけていたところ、森法務大臣が就任して2か月程度で死刑執行がなされたことに対し、強く抗議する。

死刑は国家が人命を奪う究極的な制度であるところ、刑事裁判において誤判を完全には防止できないことに鑑みれば、取り返しの付かない不正義を招きかねない制度といえる。

2018年12月17日、国連総会は加盟国193か国中121か国の賛成により、死刑存置国に対する死刑執行停止を求める決議を採択した。多くの国ですでに死刑は廃止ないしその執行が停止されており、2018年12月末日現在、法律上または事実上の死刑廃止国は142か国に及び世界の3分の2以上を占めている。しかも、実際に死刑を執行した国はさらに少なく、2018年の死刑執行国は日本を含め20か国のみである。

また、日弁連も、2016年10月7日に開催された第59回人権大会において、「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択し、その中で、日本政府に対し、2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきであることなどを求めてきた。

今日、死刑をめぐる多くの情報が公開されておらず、その中で死刑が執行され続けていることは、民主主義の社会において大きな問題であるといわなければならない。当会でも死刑廃止に向けた勉強会や会員集会を連続して開催し、会内での議論を深めているところであるが、死刑制度の問題点や国際的な動向に鑑みれば、全社会的な議論が求められるところである。

そこで、当会は、改めて、今回の死刑執行に強く抗議するとともに、政府が死刑の廃止に向けて広く情報を開示して全社会的な議論と検討を開始すること及びその議論と検討の間すべての死刑執行を停止することを強く求めるものである。


2020年1月23日

神奈川県弁護士会

会長  伊 藤 信 吾

 
 
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