ページの先頭です。
本文へジャンプする。
サイト内共通メニューここまで。

会長声明・決議・意見書(2018年度)

死刑執行に抗議する会長声明

2018年07月12日更新

 本年7月6日、地下鉄サリン事件などオウム真理教による一連の事件で死刑が確定していた松本智津夫死刑囚ら計7名について死刑が執行された。

 今回のオウム真理教による一連の事件は、松本・地下鉄両サリン事件などの無差別テロ事件を含む未曾有の被害者を出した到底許すことのできない重大な犯罪である。その中には、正当な弁護士業務に対する最悪の妨害事件である当会会員であった故坂本堤弁護士及びその家族に対する殺害事件も含まれる。当会は、引き続き被害者支援に取り組むとともに、坂本事件を決して忘れることなく、今後も弁護士業務妨害を許さない決意をあらためて表明する。

 しかし、このような犯罪を許さないことが、死刑制度を当然の前提とするものではない。

 死刑は、人の生命を奪うという究極的な国家権力の行使である。しかも、刑事裁判が誤判の危険性を常にはらむことに鑑みれば、死刑制度は無辜の者の命を奪うという取り返しの付かない結果を招く制度であるという現実を踏まえなければならない。

 国際社会においても、死刑制度は国家による人間の尊厳を軽視する非人道的な制度であるとして、すでに多くの国で廃止ないしその執行が停止されている。2017年12月末日現在、死刑を法律上または事実上廃止した国は142か国に及び世界の3分の2以上を占めており、死刑制度が残る国でも2017年中に実際に死刑を執行した国は日本を含め23か国にとどまる。2016年12月に行われた国連総会では、加盟国193か国中117か国の賛成により、死刑存置国に対する死刑執行停止を求める決議が採択された。また日本弁護士連合会は、同年10月7日に採択した宣言で死刑制度の様々な問題点を指摘し、2020年までに死刑を廃止すること等を国に求めている。

当会は、改めて今回の死刑執行に抗議するとともに、政府が死刑の廃止に向けて広く情報を開示し、全社会的な議論と検討を開始することを求めるとともに、その間すべての死刑執行を停止することを求める。

2018年(平成30年)7月11日
神奈川県弁護士会
会長 芳野 直子

 
 
本文ここまで。