2017年01月12日更新
当会から伊勢原市議会議長宛てに厚木簡易裁判所に家庭裁判所出張所を併設し、整備を求める意見書を国に提出することを求める陳情書を提出いたしました。
「厚木簡易裁判所に家庭裁判所出張所を併設すること、そのための人的物的体制を確保し、その予算措置を講じることを要望する。」旨の意見書を、貴議会より、最高裁判所、内閣総理大臣、財務大臣、法務大臣に提出していただきたく、陳情します。
超高齢化社会を迎え、成年後見関係事件をはじめとする家事事件は増加の一途をたどっています。成年後見のほか、離婚や相続など、家庭に関する事件を取り扱う裁判所は家庭裁判所ですが、神奈川県には、横浜市中区に横浜家庭裁判所の本庁があり、川崎市、小田原市、横須賀市、相模原市に支部があります。そのほか、県内には、11カ所に簡易裁判所があり、伊勢原市の最寄りには厚木簡易裁判所がありますが、簡易裁判所では家庭に関する事件を取り扱いません。そのため、伊勢原市民が家庭に関する問題を抱え、裁判所を利用しようとすると、小田原市まで出向く必要があります。 伊勢原市でも、65歳以上の高齢者の占める割合が年々高くなっており、高齢化が進行しています。今後も、成年後見関係事件や相続に関する問題が継続して発生することが見込まれます。しかし、伊勢原市の中心部から横浜家庭裁判所小田原支部までは、徒歩も含めると約1時間を要し、自動車を利用しない高齢者にとっては気軽に利用できる距離ではありません。 また、一般的にも、少子化などの影響により離婚に伴う子の親権者の指定や面会交流に関する問題が深刻化する傾向にあります。そのため、身近な裁判所を利用することができるメリットは、高齢者に限るものではありません。 現在、神奈川県内には家庭裁判所の出張所はありませんが、全国的に見ると、家庭裁判所の出張所が簡易裁判所に併設されている例は77カ所もあります。 そこで、厚木簡易裁判所に家庭裁判所出張所を併設し、そこで成年後見関係事件の審判や離婚、相続の調停などを行えるようにし、小田原市まで出向かなくても、身近な裁判所で家庭に関する問題を解決できるようにすべきです。厚木簡易裁判所管内(伊勢原市・厚木市・愛甲郡)の法律事務所で業務を行う弁護士は、平成14年は7人でしたが、平成28年10月現在では30人に達しており、当地の市民の需要に応えられる態勢は整いつつあります。 以上の理由から、地方自治法第99条の規定により、貴議会の意見書を最高裁判所、内閣総理大臣、財務大臣、法務大臣に提出していただきたく陳情します。
2016(平成28)年11月21日 神奈川県弁護士会 会長 三浦 修
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