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会長声明・決議・意見書(2015年度)

週刊新潮による少年の実名報道に抗議する会長声明

2016年03月25日更新

2015年2月,川崎市において中学1年生の男子が殺害された事件について,本年2月10日発売の「週刊新潮」(2月18日号)は,共犯少年のうち1名の実名および顔写真を掲載した。

このような報道は,罪を犯したとされる少年について,氏名,年齢,職業,住所,容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事や写真を出版物に掲載すること(「本人推知報道」)を禁止した少年法61条に反するものであり,許されない。

少年法61条は,少年法の定める少年の健全な育成を期するという目的(同法1条)のもと,少年による事件について本人を推知できる報道がされれば,少年のプライバシー権や成長発達する権利が侵害され,ひいては少年の更生と社会復帰を阻害するおそれが大きいため,少年事件の本人推知報道を事件の区別なく一律に禁止している。
同様の規定は,わが国も批准する子どもの権利条約40条2項や,少年司法運営に関する国連最低基準規則(北京ルールズ)8条にも定められているところであり,広く国際的に支持されているところであって,我が国少年法独自のものではない。
これに反する「週刊新潮」による報道は,少年の人格を否定して一方的に社会的責任を負わせ,その社会復帰と更生の可能性を決定的に阻害するものであり,報道機関の持つ報道の自由を大きく逸脱しており,何らの合理性・正当性もないものである。

当会は2015年3月5日付で「週刊新潮による実名報道に抗議する会長談話」を発表した。にもかかわらず,今回再び同事件の実名報道が行われたことは極めて遺憾であり,厳重に抗議するとともに,今後同様の実名や写真掲載等の本人推知報道がなされることがないよう,強く要請する。

2016年(平成28年)3月24日
横浜弁護士会
会長 竹森  裕子

 
 
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