2016年03月11日更新
2016(平成28)年1月18日、日本弁護士連合会は、地域司法の基盤整備に関する最高裁判所との協議結果を公表した。
同協議において、日本弁護士連合会は、横浜地方裁判所相模原支部(以下「相模原支部」とする)をはじめ、現在合議制が取り扱われていない10支部での合議制の実施を求めていたが、全て見送られた。
当会は、長年、相模原支部での合議制の取り扱いを求めてきた。管轄地域である相模原市、座間市の各議会においては合議制の実施を求める議会決議を行い、相模原市においては首長が裁判所に要望書を提出するなどしており、合議制の実現は管轄地域住民の声でもあっただけに、今回の結果は極めて残念である。
近年、民事事件には複雑で困難な事件が増加しており、それらを適正迅速に解決するためには合議体による審理が有効であることは、最高裁判所の「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」や判例タイムスに掲載された「東京地方裁判所民事通常部における新たな合議態勢への取組について」において指摘されている。さらに、寺田逸郎最高裁判所長官は今年の新年のことばにおいて、民事裁判の質を向上させる手段として「合議体による審理を充実させること」をあげている。
今回、新たな合議制の実施が見送られたのは、事件数や本庁との距離が理由と考えられるが、相模原支部の平成26年の通常民事訴訟事件の新受件数は519件に及ぶところ、これより少ない地裁本庁は全国に多数あるし、相模原支部よりも本庁に近く事件数も少ない支部においても合議制は実施されている。相模原支部にはすでに6名の裁判官が配属されていることからも相模原支部で合議制が実施されない理由はない。
なお、今回の協議は民事司法に限定されたものであったが、刑事司法の観点からも、合議制で審理しなければならない準抗告の審理に時間がかかってしまうこと、横浜地方裁判所本庁まで遠いため事件関係者や押送の警察関係者に負担がかかることといった不都合が続いている。
当会は、これまでにも増して、相模原支部において合議制が一刻も早く実現するよう、さらに地域住民、自治体、関東弁護士会連合会、日本弁護士連合会と一致協力して、粘り強く取り組む所存である。
2016年(平成28年)3月10日 横浜弁護士会 会長 竹森 裕子
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