2015年12月17日更新
本日、最高裁判所大法廷(寺田逸郎裁判長)は、女性のみに6か月の再婚禁止期間を定める民法第733条について、立法不作為の違法は認めないものの「100日を超える制限は過剰な制約」として、同条は憲法に違反していると判示した。これに対し、夫婦同氏を強制する民法第750条については、同法廷は、「通称使用が認められている」等として、同条は憲法に違反しておらず、それを放置してきた立法不作為は違法と評価されるには至っていないと判示した。
民法第733条にかかる判断は、当会のこれまでの主張(2010年3月17日付け会長声明)と基本的には合致するものであり、妥当なものと高く評価する。しかし、民法第750条にかかる判断は、誤ったものであり、不当である。
民法第750条が定める夫婦同氏強制は、憲法第13条が保障する氏名権、同第13条及び同第24条第2項が保障する個人の尊厳、同第24条第1項及び同第13条が保障する婚姻の自由、同第14条1項及び同第24条第2項が保障する平等権,さらには,女性差別撤廃条約第16条第1項(b)の規定が保障する「自由かつ完全な合意のみにより婚姻をする同一の権利」及び同項(g)の規定が保障する「夫及び妻の同一の個人的権利(姓及び職業を選択する権利を含む。)」に違反する。
この点,法制審議会は、すでに1996年に「民法の一部を改正する法律案要綱」を総会で決定し、女性の再婚禁止期間の短縮及び選択的夫婦別氏制度の導入を答申した。2008年,国連の自由権規約委員会は民法第733条について、また、2009年には,女性差別撤廃委員会が民法第750条について、それぞれ日本に対し改正するよう勧告を行ってきた。
しかし,法制審議会の答申から19年、女性差別撤廃条約の批准から30年が経つにもかかわらず、国会は、上記各規定の改正を放置してきたものである。
当会は、国に対し、今回の最高裁判所判決を受けて,民法第733条を速やかに改正することを強く求めるとともに,これらの規定とともに法制審議会にて改正が答申され国連の各委員会から勧告がなされている民法第750条についてもあわせて改正することを求める。
2015(平成27)年12月16日
横浜弁護士会
会長 竹森 裕子
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