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会長声明・決議・意見書(2015年度)

衆議院選挙定数配分に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明

2015年12月11日更新

最高裁判所大法廷は、本年11月25日、2014年12月14日に実施された衆議院議員総選挙について、一票の格差が最大2.129倍であったことが憲法14条1項等に違反するとして選挙の無効を求めた裁判の上告審判決において、「憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったもの」として当該選挙の選挙区割りを「違憲状態」と判断したが、「合理的期間内に較差が是正されなかったとはいえない」として「違憲」とまでは判断せず、選挙の無効の請求についてはこれを退けた。

しかし、当該選挙は、2011年3月23日の最高裁判所大法廷判決で、国会に対し、選挙制度の抜本的見直しが求められてから、3年8ヶ月も経過して実施されたものであり、「合理的期間内に較差が是正されなかったとはいえない」ということは困難である。

代表民主制の下、選挙は、主権者の意思を政治に反映させるための最も重要な手段であり、民主主義の過程にゆがみがある場合、国権の最高機関たる国会に正しく民意が反映されなくなり、民主主義そのものが形骸化してしまう。

それを正すことは、まさに司法権の役割であり、最高裁判所が、2011年3月23日から三度にも亘って「違憲状態」であることを認めつつ、選挙の無効を認めなかったことは、憲法の番人としての役目を放棄しているとの批判を免れない。

このような最高裁判所の姿勢は、憲法の最高法規性に対する市民の意識を低下させかねないものであって極めて憂慮すべきことである。

ちなみに、選挙を無効とすることによる混乱については、本件最高裁判決の大橋正春裁判官や木内道祥裁判官の反対意見にもあるとおり、それをなるべく回避したり最小限に留めるたりすることは可能なはずであり、「違憲」や「無効」の判断を回避する理由にはなり得ない。

当会は、最高裁判所が、積極的に憲法の番人たる役割を果たし、立憲主義の砦となることを強く求めるとともに、国会に対しては、最高裁判所が三度に亘って「違憲状態」と判断していることを重く受け止め、直ちに選挙制度の根本的な見直しを行い、衆議院議員選挙区確定審議会に選挙区別議員1人当たりの人口数を1対1にできる限り近づけるよう選挙区割りを見直させることを求めるものである。

 

2015(平成27)年12月10日

横浜弁護士会     

 会長 竹森 裕子 

 

 
 
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