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会長声明・決議・意見書(2014年度)

憲法解釈の変更により集団的自衛権行使を容認することに反対する決議

2014年05月20日更新

 政府は、今、閣議決定などによって、集団的自衛権の行使を容認しようとしている。しかしこれは、これまで政府自身が一貫して明示してきた憲法解釈を根本から覆すものであり、憲法の基本原理を政府の判断により否定しようとするものである。

 すなわち、政府は、集団的自衛権とは「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」であるとした上、これまで一貫して、憲法9条の下で許される自衛権の発動は、我が国に対する武力攻撃がある場合に、必要最小限度の方法による実力行使にとどまること等の要件の下でのみ可能であるとし、集団的自衛権の行使はこの範囲を超えるものであるから許されないとしてきた。

 この集団的自衛権の行使の禁止は、必要最小限度の実力組織(自衛隊)による自衛権の行使を認めるについて、戦力を保持せずあらゆる戦争を放棄した憲法9条による最低限の歯止めとして、その規範的意義の核心をなすものであり、憲法の恒久平和主義の基本原理の内容をなすものであって、その行使の容認は、たとえ限定的なものであったとしても、憲法規範の核心を否定するものとして許されない。

 そして、そのような憲法の内容の改変を、解釈の変更という方法によって、あるいは法律の制定という方法によろうとも、憲法改正の手続を潜脱して行うことは、立憲主義の理念に真っ向から違反するものである。憲法は、国の最高法規として国家権力に縛りをかけて国民の基本的人権を確保しようとするものであり、そのために国務大臣その他の公務員に憲法尊重擁護義務を課している(憲法98条1項、99条)。この立憲主義は、憲法の根本理念であり、上記のような集団的自衛権の行使を、解釈変更や法律制定の手続によって認めようとすることは立憲主義の否定にほかならず、ましてやその時の一内閣の閣議決定等によってこれを行おうとすることは、立憲主義を根底から覆すものとして、到底許されない。

 よって当会は、現在政府が進めようとしている憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に強く反対し、その憲法上の問題性と危険性を広く市民に訴えるとともに、社会的議論を尽くして、我が国がその進路を誤ることがないよう、最善の努力を尽くす決意を表明するものである。
 以上のとおり決議する。

2014年(平成26年)5月20日
平成26年度横浜弁護士会通常総会

 
 
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