7月20日、情報文化センター6階ホールにて、市民シンポジウム「育てよう向日葵」〜法曹養成制度と司法修習生の給費制維持〜が開催された。折しも同日夜には大型の台風6号が関東に接近・上陸するという不安定な天候の中での開催となったが、一般参加者47名、報道関係者1名、弁護士90名と多数の出席があり、ホールも開会前から活気に溢れていた。
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当会小島周一会長による開会挨拶が行われた後、第1部としてまず布川事件の元被告人で今般再審無罪を勝ち取った杉山卓男氏による報告が行われた。 |
杉山氏は別件逮捕の恐ろしさや自白強要に至る取調の経過並びにご本人の心情等を生々しく語るとともに、自白強要の防止のため(1)取調の全面可視化、(2)検察官証拠の全面開示、(3)代用監獄の廃止を強く訴えられていた。無実の罪により約29年間も自由を奪われてしまった氏の実体験に基づく報告・提唱は別格の説得力があり、参加者の記憶に強く残るものとなった。 |
また、布川事件に弁護団の一員として関わった東京弁護士会の三浦直子弁護士からは、再審無罪を勝ち取るまでの弁護団の活動や苦労が語られた。 |
次に、東日本大震災の被災地に対する救援活動報告として沢井功雄会員から報告があった。同会員は、震災直後から自ら被災地や避難所に何度も足を運び、被災者の声に直接耳を傾け法律相談を行ってきた。のみならず、被災者と行政機関とのパイプ役を買って出るなど、従来の伝統的な弁護士的役割に留まらない精力的な活動を行っており、その報告はこれからの弁護士のあるべき姿を垣間見ることの出来る貴重なものであった。 |
「問題があるから行く」のではなく、「問題があるかないかそれを探しに行くのが役割」であるという沢井会員の言葉は、全ての会員にとり傾聴に値するものとして多くの参加者の賛同を得ていた。 |
第2部は、第1部で紹介された弁護士の公共的活動を受け、そのような活動・使命を果たす弁護士をいかにして育てるかという観点から、パネルディスカッション『法曹養成制度と司法修習生の給費制について』が行われた。ここでは法曹志願者の激減という現状をふまえた上でその現状と対策について、また給費制の必要性についてそれぞれ意見交換が行われた。 |
なかでも林義亮神奈川新聞社論説主幹を筆頭にした法曹界以外のパネラーから出された「国民が必要とする法律家の育成は国民の負担とすべきであり、弁護士会はこの問題をもっと外部に向かって積極的に発信していく努力をすべき」という意見には、出席した全法曹関係者は耳が痛かったに違いない。 |
第3部では、ビギナーズネット代表萱野唯氏、日弁連宇都宮健児会長、日弁連司法修習費用給費制維持緊急対策本部本部長代行川上明彦氏らによる挨拶がそれぞれ行われ、それぞれの立場から、給費制維持の必要性について熱心に語られた。 |
最後に、当会若田順副会長が閉会挨拶で触れたとおり、休憩なし2時間半ぶっ続けのシンポジウムであったが、開会中殆ど離席者・退席者がなく、大盛況のまま閉会したのが印象的であった。 |
(会員 三橋 潔) |