6月6日、横浜ロイヤルパークホテルにおいて、高橋理一郎会員の日弁連副会長退任、田上尚志会員の司法研修所教官退任の慰労会が開催された。 |
高橋会員は、弁護士の業務範囲の拡大、アクセス問題、中小企業対策などの活動をまとめた冊子を参加者に配布した上で1年間を振り返り、多くのことを学んだが震災があったこともあり、まだ終わった気がしないと挨拶された。 |
田上会員は、「金を残すは下、仕事を残すは中、人を残すは上」という後藤新平の言葉をあげ、のめり込んで楽しんだ3年間だったので、お金も仕事もなくなったが苦労はなかった、この楽しさは経験しないとわからないと挨拶された。 |
木村良二会員からは、日弁連会長が再選挙となり会長未定の中で前年度からの引き継ぎを行うというスタートを切り、震災がゴール間際に発生するという異例のご苦労の中で、事務局にも気配りを忘れない高橋会員は非常に評価が高かったとの話があった。 |
大木孝会員からは、「教官時代の中ほどは、胸に刺さるトゲばかり」との替え唄があるように、田上会員にも大変なご苦労があったはずだとねぎらいの言葉があった。 |
田上会員から研修所時代に指導を受けた若手会員からは、教官最終年なので気合いを入れると聞いたので「起案頑張ります」と答えたところ、「違う。気合いを入れるのは飲み会だ。」と言われたなど当時のエピソードも紹介され、会は大いに盛り上がった。 |
会場は高橋会員、田上会員をねぎらおうと集まった会員で満席。皆から慕われる2人の人柄を垣間見ることができた。 |
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7月2日、毎年恒例の「子どもの日記念行事」が開催された。今年は、「震災を受けた子どもの心のケア〜いま大人は子どもたちのために何ができるか〜」と題して、臨床心理士の堀口節子氏に講演いただいた。 |
堀口氏は、阪神大震災、JR福知山線脱線事故などで被災者の心のケアに携わった経験をもとに、被災者、特に子どもの心理状態、災害後のストレス反応、対応のポイントなどについてわかりやすい解説をされた。 |
被災者の心理状態は、いつまでも茫然自失状態にあるのではなく、ハネムーン期、幻滅期を経て3か月から1年ほどで再建期に入っていくとのことである。 |
もっとも、生活再建がなければ心の回復はないとのことなので、二重ローンや雇用の問題等々、まさにこれから私たち弁護士の出番なのではないかと感じた。 |
また、災害後のストレス反応には様々なものがあり、特に子どもは、自分の経験や感情をうまく言葉で伝えることができないため、幼児返り、食欲低下、パニック行動、過呼吸、暴力的遊びといった行動が現れることがあり、周りの大人が行動や体調の変化などを注意して見てやることが必要である。堀口氏が経験されたケースでは、小学校低学年の子が暴力的になり、あちこちぶつかる、乱暴する、破壊するといった行動が見られたが、その後、プレイセラピーなどを通じて次第に落ち着きを取り戻し、学校に戻ることができたとのことであった。 |
さらに、被災者に対応する際のポイントとして、まずは被災者の現状を踏まえて話を聞くことが大切であり、子どもにはスキンシップを多くとり、「大丈夫」と安心する言葉を耳から伝えてやったり、一緒に遊んだりするとよいとのことであった。たとえば、「津波ごっこ」などは不謹慎だと叱るのではなく、子どもがストレスを発散するための行動なので見守ること、「身近な人の死」は儀式への参加など逃げずに対応することなど、難しい場面への対応も勉強になった。 |
講演後、司会の藤田香織会員から、今回の震災でも多くの子が被災ストレスを抱えているようだという新聞報道が紹介された。堀口氏の話によれば、目標がある人の方が早く回復するということであり、一人でも多くの子に目標をもって回復への道を歩んで行ってほしいと思った。 |
最後の質疑応答では、当会会員だけでなくボランティアの方や小学校の先生、福島県いわき市の弁護士など、一般参加の方々からも活発な質問が飛び交い、最後まで熱気は冷めないまま、閉会となった。 |
(会員 川本 美保) |