10年前の9月11日。ニューヨークを象徴するツインビルに大型旅客機が突き刺さった。そして爆発、炎上。ビルは数時間後、驚くべきスピードで地面に沈む。巻き上げられた土煙がマンハッタンの街並を覆い隠す。煙が晴れたとき、2棟のビルはもうそこにはない。
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この映像は、世界中のテレビに繰り返し映し出された。誰もが目を疑う、現実とは思えないような映像だった。しかし、それはカメラがとらえた現実で、何の説明もいらない、どんな言葉でも形容しきれない映像の力に圧倒された。 |
ことし3月11日。東北地方を非常に強い揺れが襲った。数十分後、大きく盛り上がったような海水が沖から陸に押し寄せる。波はしぶきを上げて陸を突き進む。海が人びとの生活を飲み込む。 |
このときカメラは、自然の猛威を記録していた。みるみるうちに水位が上がり、いとも簡単に家屋を押し流す。これもまた、現実とは思えない。そのときの衝撃は10年前の記憶と重なった。 |
現実を時間とともに切り取ることのできる映像の力は、テレビにとって大きな武器である。私自身そこに魅力を感じて、この仕事を選んだ。しかし、その力は時に残酷だ。テロや津波の衝撃的すぎる映像は、視聴者にストレスを与えることもある。配慮が足らなければ、被災者や被害者を傷つけてしまうこともある。当事者にカメラを向けるとなれば、なおさらだ。 |
常に映像の持つ力を味方につけた報道に徹したい。 |
(tvk/テレビ神奈川報道局報道部 横堀 拓也) |