非弁護士取締委員会(以下、「非弁委員会」という)は、昭和28年7月に非弁活動の調査・報告・対策等を目的として設置され、民事介入暴力対策委員会(以下、「民暴委員会」という)は、平成2年12月に民事介入暴力について調査・研究・対策及び民事介入暴力被害者救済センターの運営などを目的として設置された別々の委員会であった。 |
しかし、もともと民暴委員会は非弁委員会内の部会としてスタートした経緯や、平成2年当時は、暴力団関係者が示談などに介入してくる非弁活動が多く、情報の共有を目的として、両委員会の委員は併任、委員会も同時に開催されていた。そのため、平成10年の当会の機構改革の際に、両委員会は統合され、非弁護士取締・民事介入暴力対策委員会(以下、「非弁・民暴委員会」という)として活動してきた。
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しかし、近時は、暴力団を含む反社会的勢力が非弁活動を行う事例はほとんどなくなり、それに代わって行政書士をはじめとする隣接他士業による非弁活動が激増し、民暴対策と非弁活動の調査の関連性、情報共有の必要性がほとんどなくなってきた。
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また、全国の51弁護士会に対して非弁調査を担当している委員会等について調査を行ったところ、民暴関係委員会が非弁調査を行っているのは僅か7会しかないのに対し、業務改革(対策)等関係委員会が行っているのは19会、非弁調査専門委員会が行っているのは19会、執行部対応が5会となっていた。 |
さらに、非弁調査に関する業務量、民暴対策に関する業務量それぞれボリュームがあり、委員の負担が過大となるとともに、非弁・民暴委員会の開催時間も長時間に及ばさるを得なくなっていた。 |
そこで、昨年12月の常議員会で、非弁護士活動の調査・取締を目的とする委員会と民暴対策を行う委員会の分離が認められて、非弁委員会の新設、非弁・民暴委員会は民暴委員会へ名称変更(復活)となった。
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非弁委員会は、これまで非弁調査・取締を行っていた非弁・民暴委員会と隣接他士業との関係の深い業務改革委員会からの推薦者を中心とした委員構成で、4月28日に第1回委員会が開催され、瀬古宜春委員長のもとに新たなスタートをきった。非弁活動の通報は会員からも受け付けており、担当事務局には非弁通報の受付書式を用意しているので、交渉相手や広告内容に非弁の疑いがある場合など、遠慮なく通報して頂きたい。 |
民暴委員会は、委員の変更はないが、民暴対策に専念出来る環境となったことから、これまで以上の成果を上げるべく、委員の士気は上がっている。また、民暴マニュアルの改訂版を今秋に上梓するべく鋭意作成中である。 |
両委員会の今後の更なる活躍に期待していただきたい。 |
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(民暴委員会委員長・非弁委員会事務局長 菅 友晴)
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平成22年10月1日から、利用者(顧客)と金融機関(金融・保険・証券等)とのトラブルを裁判外で解決する金融ADR制度がスタートした。 |
金融商品取引法等の法律に規定する金融商品取引業等業務、銀行業務、信用金庫業務、共済事業、貸金業務などの業態ごとに紛争解決機関を設立し、申請により内閣総理大臣から「指定紛争解決機関」の指定を受けるものとされ、金融機関は同機関と契約締結義務を負うことになった。
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同契約には次の内容を含むものでなければならない。<1>紛争解決手続への応諾義務<2>事情説明・資料提出義務<3>和解案尊重義務・特別調停案受諾義務(いわゆる3大義務)。これらは利用者保護のために金融機関側に片面的義務を課すものである。
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しかし、自前の金融ADR機関を作るには手間と費用がかかることから、すべての業態に指定紛争解決機関が設立されたわけではない。現在、全国銀行協会、貸金業協会、生命保険協会など8団体が指定されているにすぎない。指定紛争解決機関がない場合、金融機関はこれに代わる「紛争解決措置」(顧客との紛争の解決をいわゆるADR法の認証紛争解決手続により図ることまたはこれに準ずるものとして内閣府令で定める措置をいう)を講じなければならないとされている。 |
そこで金融機関のうち多くが同措置として弁護士会が設置する紛争解決機関(仲裁センター、紛争解決センター等)と協定を締結することを選択することになった。ただし、金融商品取引法等では、紛争解決措置の内容として「指定紛争解決機関」に求められている上記3義務を課すことまでは求められていないが、金融ADR制度創設の趣旨である利用者保護の充実の観点から、当会(紛争解決センター)との協定の内容には同様の義務を定めている。 |
現在までに常議員会の承認を得て当会とADR協定を締結済の金融機関は別表のとおりである。ADRは本来、当事者を対等に扱い、手続に応諾するか等は任意であるが、金融ADRでは申立を受けた金融機関は応諾義務等を負う。また、当会と協定締結済の金融機関と利用者との紛争について当会紛争解決センターの和解あっせん手続を利用する場合の申立手数料は原則として金融機関が負担することになっており、この点でも利用し易い制度になっている。
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会員の皆様には、金融機関とのトラブルに関する法律相談があった場合、紛争解決の選択肢の一つとして金融ADR制度の利用を是非薦めて頂きたい。 |
(紛争解決センター運営委員会委員長 橋 富雄) |
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