横浜弁護士会新聞

2011年3月号  −3− 目次

賀詞交換会 温かに 和やかに
 1月7日、ロイヤルホールヨコハマにて恒例の賀詞交換会が、大坪横浜地裁所長、成田横浜家裁所長、河村横浜地検検事正などの御来賓の御出席を頂き、岩田副会長の開会の辞で始まった。水地会長からは、新年のお祝いと共に当会は1204名の大所帯となり、会員一丸となって、法曹としての責任を果たしていくことの決意、法曹人口増加に伴う問題、給費制の問題に引き続き取り組んでいくことなどが表明された。
 次いで、米寿の会員、喜寿の会員、本会在会50年・35年の各会員への表彰が行われ、出席の会員に表彰状と記念品が授与された。
 大坪地裁所長からは、裁判員裁判や労働審判の推移の状況、法曹人口の増加に従い、若手法曹への法曹倫理・法的技術の伝達が一層、重大であり、国民の法曹に向ける期待に、裁判所、検察庁、弁護士会が一体となって、応えて行きたいという力強い祝辞が述べられた。
 被表彰者を代表し、稲木俊介会員が若い頃から女性にもてたという武勇伝を交えながら、弁護士は、事件の相手方に対しても思いやりと節度を持って接していくことの大切さを法曹人口の増加への懸念と共に話され、人生の最後まで当会会員として活動していきたいという当会への愛情溢れる言葉で締めくくられた。
 河村検事正の乾杯の発声での乾杯後、出席者が和やかに懇談を交わし、例年にない寒さの中であったが、非常に温かい雰囲気の中、会は終了した。
(会員 深澤 詩子)

新こちら記者クラブ 翻訳作業
 海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」勤務の自衛官の自殺をめぐる国賠訴訟の判決が1月26日、横浜地裁で言い渡された。
 裁判長は、艦内でのいじめと自殺の因果関係を認め、上司の監督責任も肯定した上で、賠償責任の範囲は死亡でなく生前の精神的苦痛にとどまると判断した。国側の主張を全面的に退けながら、原告側も「不当判決」と訴える勝者なき判決≠セった。
 われわれ記者は重要な裁判の際、事前に予定稿を用意する。今回の判決では<1>国の責任を認め、賠償を命じた場合(原告勝訴)<2>いじめと自殺の因果関係が認められなかった場合(被告勝訴)の2通りを準備していたが、「双方敗訴」のシナリオは想定外だった。
 さらに判決では、「事実的因果関係と相当因果関係」「予見可能性と賠償責任」といった、難解な用語が頻出した。判決文を前に悪戦苦闘しているうち、あっという間に締め切り時間が訪れた。
 長く難しい判決をどうかみ砕き、読者に伝えるかは、司法担当記者が日ごろから最も腐心するところである。裁判員制度の導入後、刑事裁判の判決は格段に分かりやすくなったが、民事ではまだまだ「翻訳作業」が必要だ。
 とは言っても、ただ法律の解説になってしまったのではいけない。判決の背景にある関係者らの思いまで伝えて初めて、生きた記事となる。今回の判決でそれができただろうか。他紙の記事と読み比べて反省しながら、日々「翻訳」の技術に磨きをかけていきたい。
(東京新聞 樋口 薫)

常議員会のいま 常議員会は責任ある立場の育ての場
会員  杉 茂(29期)
 私は、常議員は期枠で2回、支部枠で2回、当会副会長と日弁連副会長の後役で2回の6回目になります。6年弱に1回の割合です。
 最初の時は、1年間に1度も発言が出来ませんでした。とてつもなく会務に詳しい先輩がおられ、「すごいな。すごいな。」と毎回圧倒されておりました。
 2回目の時は、10年目位の時でしたので、自分が経験した委員会のことなどは、恐る恐るでも発言できるようになりました。
 常議員会で発言するにしても、依頼者を説得するにしても、相手方弁護士と交渉するにしても、ある程度の自信がついて来たと思えるようになったのは、当会の副会長が終ってからでした。その頃から、私を見る廻りの人の目が変わって来た、私が認められ始めて来た、と実感できて来たのです。「地位が人を作る」ということの恩恵に、僅かながらも与ることができました。
 過去5回のその時その時を振り返ってみますと、常議員会によって、少しずつ責任ある立場に育て上げて戴いた、と感じています。
 今年の常議員会では、期の若い会員が堂々と意見を述べられており、30年前では想像もできなかった光景です。
 一つ提案は、4月と5月の日程は、1月の常議員立候補の時点で、先に発表した方が良いと思います。そろそろ常議員も今回が最後かと思い、1年間全出席をと張り切っておりましたが、今回私は、5月までは既に日弁連外の予定が先に入っており、全出席がかなわなかったからです。

裁判官評価検討・人材育成支援等推進委員会の活動
委員長 小野 毅
 この長い名前の委員会は、<1>弁護士任官・非常勤裁判官の推進活動、<2>再任(保留、連絡待ち)判官の地域委員会への情報提供及び裁判官の人事評価手続への情報提供などの裁判官人事情報の募集活動を行っている。
 これらは、司法制度改革で開始されたものであり、従来の裁判所・裁判官制度に、外部から人材や意見を出すことのできる画期的な制度である。しかし、残念なことに弁護士の間で十分に認識され、活用されているとは言い難いため、当委員会が推進させていただいている。
 神奈川県内では、現在、横浜簡裁2名、川崎簡裁1名、横浜家裁5名の非常勤裁判官の定員があり、毎年1月頃に募集(10月から任期)している。既に20名以上が調停官として活動しており、裁判所からもとても高い評価をいただいている。経験者は皆非常に勉強になったと話しているので、是非手を上げてほしい。また、弁護士任官についても、3名が任官してからしばらく経っており、是非、後に続いてもらいたい。
 裁判官が再任する時期に、再任に当たって弁護士等からの評価を募集している。また、毎年の裁判官の人事評価に当たっても、評価を募集して、参考にする制度となった。しかし、これらの意見がなかなか出にくい状況から、当委員会で広報等をしているので、是非会員のご意見を寄せていただきたいと考えている。

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