横浜弁護士会法教育委員会委員 竹内 裕惠 |
8月7日、東京地方裁判所において、第4回高校生模擬裁判選手権が開催された。
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大会の目的は、物事の捉え方や表現方法を学び、刑事裁判の原則や裁判員裁判の意義の理解を推進すること、及び、法教育に携わる教員と弁護士の交流を図ることにある。「高校生」模擬裁判選手権の主役は出場する高校生たちであり、全国で各4ブロックに分かれ、それぞれの大会で出場した高校生が白熱した模擬裁判を繰り広げた。
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模擬裁判選手権では、大会約2か月前に、エントリーした高校と支援弁護士(各高校ごとに数名の支援弁護士がつく)に対し、ルールブック、起訴状や書証等の資料が配布される。高校生は、これらの資料をもとに、本番当日には、検察側の冒頭陳述・主尋問・反対質問・論告、弁護側の冒頭陳述・反対尋問・主質問・弁論を、行う。模擬裁判といっても、シナリオが与えられるわけではなく、上記の資料をもとに、全ての内容を自分たちで考えて発表する。さらに、発表態度も採点対象になるので、プレゼン能力も試される。
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神奈川県からは湘南白百合学園高等学校と公文国際学園高等部が出場し、当会法教育委員会から、支援弁護士を派遣した。私は、公文国際学園高等部の支援弁護士のひとりとして、他の支援弁護士2名、担当の教諭とともに、公文国際学園高等部の出演メンバーをサポートすることになり、本番前には、高校で事実認定や刑事手続きについての授業や、裁判傍聴、リハーサルなど、7回の事前準備の時間を確保した。
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多様かつ高度な内容を要求される大会であるため、はたして2か月の準備期間で高校生たちがきちんとした模擬裁判を実施できるのか、不安に思うこともあった。
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しかし、公文国際学園高等部の生徒たちの熱意は、そんな私の不安を払拭して余りあるものだった。リーダーシップを発揮する子、黙々と時系列表を作成して事案を整理する子、実際に現場の状況を再現してみる子など、それぞれの能力を生かして分担し、なんと演劇部の指導のもと発声練習まで行ったとのことであった。
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大会結果としては、湘南白百合高等学校が優勝し、公文国際学園高等部は入賞を逃したが、出場した全ての高校が、それぞれに大きなものを得た大会となったことは間違いないと思う。
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少しずつでも、刑事裁判の制度や基本原則について高校生たちの理解が広がればという気持ちでいたが、逆に、目標に向かって真摯に努力することを思い出させてもらった。
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今後も長く、この大会が続いていってほしいと思う。
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8月28日、静岡県沼津市の沼津東急ホテルにおいて、約380名の出席者を得て、平成22年度関東十県会夏期研修会が開催された。テーマは、「名誉毀損・プライバシー侵害をめぐる法律と実務」である。 |
担当の静岡県弁護士会は、沼津支部、静岡支部、浜松支部の3つの支部からなるいわば連邦制の弁護士会である。本研修会においても、支部ごとに研究結果の報告がなされた。 |
沼津支部は「マスメディアを中心とした名誉毀損とプライバシー侵害」、静岡支部は「インターネットにおける名誉毀損・プライバシー侵害への対処法」、浜松支部は「弁護士業務と名誉毀損・プライバシー侵害/個人情報保護をめぐる諸問題」をそれぞれ取り上げた。 |
報告の方法も、パネルディスカッションあり、寸劇ありと、 支部ごとに工夫を凝らしていた。 |
また、各支部の報告の間に、加藤新太郎東京高裁判事の基調講演が行われた。加藤判事の講演は、名誉毀損の損害額の動向、名誉毀損・プライバシー侵害の判断枠組み、原状回復・差し止め等、多岐に渡り、判例を豊富に引用した詳細なレジュメとともに、大変参考になった。加藤判事によれば、名誉毀損訴訟、プライバシー侵害訴訟は、法理の背後にある当事者の思いをどうくみ取るかが難しいとのことであった。 |
静岡県弁護士会の研究の成果は、400頁を超える「新版 情報化時代の名誉毀損・プライバシー侵害をめぐる法律と実務」と題する書籍となって出版された。 |
研修会終了後は、沼津の海の幸を堪能できる盛大な懇親会が開催された。 |
(副会長 浦田 修志) |